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私の気持ち 2


 そういう事もあるよね…仲良くして友達が転校とか、私も経験したことがある。その子と離れるのも寂しかったけれど、その子と同じくらい仲良くなれる友達が出来るか不安だった。

 今でも一番仲良くしてくれているユマちゃんが転校しちゃったらもう相当寂しい。ユマちゃんや…それから…今まで仲良くしてくれた子たちを思い浮かべて、そしてタダの事を考えた。

 もしもタダが今どこかに引っ越すことになったら…


 タダをまた変に意識してよそよそしい感じになっている今だって、タダがいなくなったら寂しいと思っている。すごく寂しくなってしまうとちゃんと感じている。


 …でも…

 タダはこっちにも小6の時に転校して来て、最初は大人しい感じだったけれど、ヒロちゃんやその周りの子たちと仲良くなって楽しくしていた。私と同じような感じで自分からあれこれ人を誘ったりするヤツじゃないけど、もし転校してどこか遠くへ行ってしまっても、そこでうまくやっていけるんだろうな…

 転校先でもモテまくって大変なんじゃないかな?それでもし本当にそこで楽しく過ごせたら、タダはこっちの事なんてすぐ忘れてしまうんじゃないかな?もちろん私の事だって…

 

 

 この先、そういうことは必ずある。それぞれ進学とかしたら離ればなれになるだろうし。私は県内の大学に家から通いたいと思っているけれど、タダは今でも成績が良いからちゃんと先の事を考えて、それに合わせて一番自分に合ったところを見つけて県外にでも行くだろう。

 …そうなったら私は、どんな気持ちでタダを見送るのかな…

 この先もっとタダを好きになったら、急に離れなきゃいけなくなった時に私は、自分の気持ちをどんな風に扱えるんだろう。

 


 いや。

 …付き合ってもいないのにこういう事考えるってすごく重いんじゃないかな私…




 「それでな、」と、ヒロちゃんが話を続けた。「クリスマス会やろうって話になってな。でも二人きりでやるとなんかダメな感じがしてな」

「なんで?」

「なんとなく」

「なんで?」

「…」

「なんで?」

しつこく聞いた私に頭をボリボリ書きながらヒロちゃんは答えた。「いったん離れてばなれになるかも、って思ってたところに一緒にいれるってなって、しかもクリスマスとかなったら自然盛り上がるだろ」

「…」

「急に盛り上がったら、また急激に盛り下がんだろ」

「…そんなことないと思うけど」

「ま、そのへんいいんだけど、ユキがユズも一緒がいいって言うから。そいでオレに頼んでみてっていうから」

 

 ユキちゃん本当に良い子なんだよね…最初はユキちゃんが良い子だから余計にユキちゃんに嫉妬していた。でも今では転校しなくてすんで良かったね、って本気でヒロちゃんに言ってあげられる。…これもきっとタダが私を好きだって言ってくれてるおかげなんだろうけど…



 でもなあ…

 あの微量のチュウがなあ…

 どんなに勘違いだって思おうとしても、そうじゃないよやっぱりって気持ちにもなる。こんなぎこちない感じのままそんなダブルデートみたいな感じになったら…

「ダメなん?」と、ヒロちゃん。

「…別に…ダメじゃないけど…」でもなあ…

「4人つってもカズミもいるから5人だけどな。イズミはもともとユズ呼ぼうとしてたらしいじゃん」

「…」

「それで、イズミがオレらにもうちに来たらいいしって言ったからな」

「…」

「ユズ、またケーキ焼いてもらうんだろ。すげえよなイズミ」

「…」

「どうしたん?イズミとけんかしたん?」

「…」

タダはヒロちゃんになんでも喋っちゃうからな…。普段学校ではコミュ力ない感じなのに、ヒロちゃんにはなんでも喋っちゃうからもう~~~~~~!

「なんか…」とヒロちゃんが言うのでドキッとする。「ユズが来たがらないかもってイズミが言うから」

「…」

「けんかしたん?」

「…」

「なあ、なんかあったん?」

「…」

もしかしてタダ、私にした事話してないよね…

 いや。私には何もしてない体だし。私が思い込んでるだけかもだけど。


 「タダはなんか言ってた?なんで私が来たがらないかもって言ってた?」

 そう聞いたらヒロちゃんはニヤッと笑ったのでドキッとした。

 嫌だヒロちゃん…悪い感じの笑い浮かべてるけど…

 「なんかウソみてえに進展しねえって言ってたな」と、ヒロちゃん。「なんかユズ、学校であんまイズミと絡まないらしいじゃん」

 さらに悪い笑いを浮かべてヒロちゃんは付け加えた。「でも、この事オレが言ったってイズミに言うなよ」

秘密な、って…本人に言うってどうなのヒロちゃん。

 ていうか進展しないってどういう事!?進展とか言っても『付き合おう』とか言うわけでもないし、そのくせ微量なチュウしてきたかもって私は思ってるのに。


 「どうなん?」と、ヒロちゃん。「オレが言うのもアレだけどな、あんなイケメンをな、悩ませるってすげえなユズ」

「ヒロちゃん!止めてそういう変な感じで言うの!恥ずかしい。声大きいし」

ギャハハハハハ!と下品に笑うヒロちゃんだ。

「タダは何も悩んでなんかないよ。いつも普通の感じだし。ずっとなんにも…」

「は?」と急に真顔のヒロちゃん。「イズミはユズがいつもすげえ普通っつってたぞ?それでユズがマフラーくれてすげえ嬉しくて自分も使ってたマフラーやったらすげえ恥ずかしそうでちょっと嬉しそうな顔したけど、ほんとにその時だけで、そいで全然学校にもつけてこねえって言ってたけど」

「…」

タダめ。ほんと何でもヒロちゃんに話しやがって。

「だって赤いヤツだもん」と、色のせいにした。「そんなのしたら目立つかもだし」

「そうか?ユキも赤いヤツ巻いてるぞ」

「…」



 タダがくれたマフラー、私だって着けたいと思うけど、それを着けたところをタダに見られてタダが『あ~~着けて来た~』って顔をしたら恥ずかしいから着けられない。そしてそんな顔をしなくてやっぱり素の顔をされても付けられない。

 家では巻いてるけど。意味なく鏡の前で巻いてみたりしょちゅうするけど。

「学校以外では着けてるよ」

そう答えると、ぱああっと笑顔で「そっかそっか」とうなずくヒロちゃん。

 なんでヒロちゃんがそんなに嬉しそうなんだよ。


 「なんかな、」とヒロちゃんがまた悪い笑いを浮かべ、こそこそ話をするように言った。「イズミがな、マフラーのユズの匂いが薄くなってきたってイズミが言ってたぞ」

「え!?」

「ユズからもらう前と後初めて学校にしてきたときにユズにマフラーさせてそいで使ってるらしいじゃん。すげえニヤニヤしてたしイズミ」

 そんな事まで話すなタダ!

「ラブラブじゃん結構」と笑うヒロちゃん。

「最低」

私がそう言ったら、「なにが」と、ちょっとむきになるヒロちゃんだ。「オレんとこもしてるけどな。たまに交換。そいでユキも匂い嗅ぐ言ってたし」

ユキちゃんもか!

 「言っても」と、ヒロちゃんが言った。「ユズもイズミのマフラーの匂い嗅いだろ?」

「!!」

嗅いだけども!

「…そんなことしてない」

「ハハハハ」と笑うヒロちゃん。「したな、その言い方は」

「してない!」 

「それでどうなん」とヒロちゃん。「ユズも来れるよな?もちろん」

急に話戻した!

「ユズ、家でもなんかやるんだろ。だから昼にイズミんちで、まあイズミがケーキ焼くって言うからあとなんか持ち寄って…」

ヒロちゃんがビジョンを披露しかけたところに、「あら、ヒロちゃん!」と言う私の母の声。

 うわ~~こんなところにお母さん来ためんどくさ…

「ヒロちゃん久しぶり!またイケメンさんになってもう。ユズルをクリスマスに誘ってよもう」

はい、さっそくお母さん余計な事言った!



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