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Beyond the front line 〜弱キャラよ人類の最前線を超えろ〜〈プロト版〉  作者: トワイライトGoodman
第1章 異世界来訪編
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第5話【意外な要請】


 翌日の昼下がりの午後、俺達は宿にあったこの世界の衣服に着替え身支度をすませた。

 その後、宿を出てフロンティアギルド内にあるギルド長室を再び訪れようとしていた。


 「やばいぞ悠貴、約束の時間を過ぎている」

 

 「あぁ、ギルド長も首を長くしてお待ちのことだろうよ」

 「まぁ元はと言えば、何回起こしてもお前が起きないから遅れたんだけどな…」

 横を歩く悠貴はとても険悪なオーラを放っている。


 「仕方ないだろうー、俺達ゲーマーは夜型人間なんだ、朝は弱いんだ」


 そんな取り留めの無い言い合いをしているうちに、俺達二人はギルド長室の前に着ついた。


 俺に向かって悠貴が顎をくいっとしてノックしろと指示を出してきた。

 険悪なオーラの悠貴の圧に押され、俺は恐る恐るノックをした。


 「どうぞ、とりあえず座ってくれ」


 「ギルド長、遅れて申し訳ありません」

 席に着くや否や、俺と悠貴は二人揃って頭を深々と下げた。


 「君達、美人なお姉さんを待たせるとはどうゆう要件だ?」

 「私は常勤の職務や会議をキャンセルしてまで、君達を待っていたんだぞ」

 ギルド長は微笑みながら話しているのに、心が笑って無い気がする。

 

 「俺が寝坊しちゃいまして、昨日いきなり転移して環境が変わって疲れが出た的な感じですかねぇー」

 「まぁ睡眠は人間の基本中の基本ですから、睡魔には勝てないのは仕方がないですよ」

 俺はギルド長の不穏なオーラを収めようと適当な言い訳をした。

 

 「カゲナギ君は口が達者だな…」


 「まぁ俺のいい所って言ったら、リアリストな所と理屈屋な所ぐらいですからね」


 ギルド長はため息をついて割り切ったような表情になっていた。 

 

「まぁ今は時間が惜しい、今は君達には話したい事がたくさんあるからな」


 「後私のことはギルド長ではなく名前で呼んでくれ、それと敬語も使わなくていい」


 「わかった、じゃフィオナさんでいい」

 流石(さすが)はコミ強の悠貴さん。

 昨日あったばかりの女性に対して躊躇(ちゅうちょ)なくフレンドリーに話しかけれる度胸をお持ちのようだ。

 

 「さんもいらない、私も君達を名前だけで呼ぶ事にするから」

 「私と君達はそんなに年の差はないし、私のことは美人な先輩お姉さんとでも思ってくれ」

 この人はこの人で平然と自分の事を美人と言える自身をお持ちのようだ。

 まぁ実際美人なんだし良しとするか。


 「わかりまし…わかった」

 俺は会って間もない人とフレンドリーな感じに接するのは苦手というよりは、女性と親しくするのが苦手なのだが、勇気を振り絞ってぎこちなく返事をした。

 

 俺達が親しく接するとフィオナは満足そうな表情をした。


 「じゃ本題を話すとしよう」

  

 「二人には私と一緒にバベリアでパーティを組んで欲しい」

 

 「えぇー!」

 俺と悠貴は二人揃って、驚きの声を上げた。


 「頼む、私はバベリアで3年前にいなくなった師匠を探さなくてはならない」

 フィオナは俺達に深々と頭を下げてきた。


 「他のフロンティアじゃなくて何故俺達なんだ?」

 俺は率直に疑問に思ったのでフィオナに問いかけた。


 「他のフロンティアは私の要請をことわ……じゃなくて今知り合いのフロンティアは皆忙しくてな」

  フィオナは少し焦り気味で理由を述べた。

 

 「どうする陽凪?」

 

 「まぁFランクの俺がバベリアに行くのは怖いが、フロンティアにならないとこの世界では生きて行けないし、それに俺達と同郷のシノザクラ・サヤなら、俺達が転移した理由について何か知ってるかもしれない」

 「まぁ俺は別にいいぜ」


 「わかった、一緒にバベリアに行こう」

 俺がパーティを組む事を承諾すると、悠貴はすぐにフィオナさんと要請を承諾した。

 

 「二人とも本当にありがとう!」

 フィオナは余程ありがたかったのか、俺の肩を持って引き寄せお礼を言ってきた。


 「あぁ、はい……」

 女性耐性もFランクの俺は、女性の顔がこんなに近くにあるのに気が動転してしまい、小声で返事をした。


 「だが一つだけ前もって言っておこう……」

 「師匠がいると思われるのは人類の最高到達点付近、もしくはその先だ」

 「つまり私達は、未開の地で師匠を探さなければならない」


 「そこって危険なのか?」

 俺は薄々嫌な予感を感じ、質問せずにはいられなかった。


 「あぁーもちろんだ、人類の最高到達地点付近はAランク以上のフロンティアでないと軽く命を落とす領域だ」

 

 「だからさっき他のフロンティアは断ったて言いかけたのを言い直したんだな」


「悠貴さん、フィオナさんには申し訳ないけどさっきの話断ろうぜ…」

 俺はにこやかな表情で悠貴に呼びかけた。

 

 「陽凪、男に二言はないぜ」

 「一度男がした約束は貫き通すのが筋だ、それにこんな美人な人が困ってるんだぜ」

 悠貴もにこやかな表情で俺に話してきた。


 「お前はチートスキルがあるからいいけどよ」

 「Fランクの俺がそこに行ったら即死じゃね?」


 「大丈夫だカゲナギ、これでも私はSランクのフロンティアだ」

 「それにユウキのスキル『英気繁栄』はギルドで鑑定した所、ユウキの体内の生命エネルギーを英気に変換しステータスを加算するスキルだ。しかも逆境になる程、変換倍率が上がる特典付きのな」


 「つまり俺は危険な場所に行ったり、強い敵と対峙した方がステータスが上がるって事なのか?」

 悠貴は自分自身がこんなチート能力を持っていると知っても、興奮せずに冷静に質問している。


 「そういう事だ、こちらの予測ではユウキが人類の最高到達地点付近に行った時、Sランクのフロンティアと同じぐらいのステータスになると予測している」


 俺は悠貴と俺の間にあった差がさらに開いたという事実を知って、愕然(がくぜん)とした。


 「つまりSランク級のフロンティアが二人いれば君を守れる」

 「だから君は戦闘員ではなく支援役として物資の補給、回収をしてくれればいい」


 「わかりました……」

 俺はとりあえず返答を返しておいた。


 「ちょっとトイレに行ってくるわ」

 返事を返した直後、俺はそう言って部屋を出て、屋上にあるバルコニーに出た。

 


 何という事だろうか。

 せっかく魔法やスキルがある異世界に転移したのに、Fランクでしかも、できる仕事は支援役だけ。

 なのに人類の最高到達地点に行く?最も危険な場所で人探し?

 

 「何が異世界だ、ふざけるのも大概にしろよーーー!」

 俺の大きな罵声は町中に響き渡った。


 御一読していただき、ありがとうございました。

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