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Beyond the front line 〜弱キャラよ人類の最前線を超えろ〜〈プロト版〉  作者: トワイライトGoodman
第1章 異世界来訪編
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第3話【ユースティア=フィオナ】

ぜひ一つ前に投稿した【基本設定情報】を読んでから、こちらの第3話をお楽しみください。


 「では私どもからお伝えすることは以上になります」


 俺達は今、フロンティアギルド兼モンゼン行政府の6階にある受講室でフロンティアになる前の事前講習を受け終えたところだった。


 講習で話された主な内容は能力値についての詳細な説明とフロンティアの生活についてだ。

 

 フロンティアとなればバベリアの中にあるフロンティアギルド管轄(かんかつ)の施設は使い放題らしい。

 そこでは住居のみならず食事や最低限の探索アイテムの支給など、破格の待遇を受けることができる。

 

 これにより俺と悠貴の当面の目標であった宿と食料を手に入れるは、バベリアに行ってフロンティアを生業(なりわい)にすれば達成出来るわけだ。


 講習を終えた直後、俺達に講習をしてくれた受付の若い女性の所に別のギルド職員が一枚の紙と何かが入った袋を渡しに来た。

 そのギルド職員は小さな声で受付の若い女性に何かを伝えたようだった。

 

 「カゲナギさん、ユウキさん、たった今あなた達のフロンティアランクが決定されたようです」


 能力値を測ったその日にランクを決定するとはギルドも仕事が早いなと感心した。

 

 今から発表されるフロンティアランクはバベリアでの探索範囲や権限に大きく影響する。

 より上のランクを取得する事ができるれば他のフロンティアからの信頼も厚いものになるし、自分で探索団を結成することも可能となる。


 「では発表しますね」


 俺と悠貴、少なくとも俺は緊張してツバを飲み込まずにはいられなかった。


「カゲナギさんはFランク、ユウキさんはBランクです」


 まぁだいたいこんな結末になる予感はしていたので、俺はたいしたショックは受けないですんだ。


「ユウキさん、新米でBランクスタートはこのモンゼンフロンティアギルド始まって以来の快挙ですよ」

「おめでとうございます、我々ギルド職員一同あなたの活躍に大いに期待しています」


 そう言って受付の若い女性はユウキに何かが入った袋を渡して部屋を去っていく。

 

 俺の心の中に悔しさなどもうみじんも残ってはいない。

 「もうここまで来たら、生まれ星の(もと)が違うと諦めるしか無いよな」と思うしかなかった。


 俺が悠貴の隣で魂が抜けたように立ていると何か声が聞こえきた。

 「おいカゲナギ、さっき貰った袋の中にお金ぽいのが入ってたから飯でも食べにいこうぜ」


 そうだった、俺達は異世界転移をしてから何も食べていなかったのだ。

 流石(さすが)の悠貴さんでも空腹には耐え(がた)かったのだろう。


 「お、おう」と言って俺は小さく(うなず)いた。

 

 俺達は部屋を出て、廊下ですれ違ったギルド職員に食事処はないか訪ねたところ、2階に大食堂がある事が分かった。

 早速俺達はそこに行くことにした。


 大食堂では、フロンティアの人から一般人の人など数多くの人々で賑わいを見せていた。

 

 「現実世界でのフードコートみたいだな」

 

 「俺的に人がわんさかいる場所嫌いなんだが」


 「そんな事言うなよ、今は一刻も早く飯が食いたいだろ?」


 「あぁーそうだな」

 今は場所に対して難癖(なんくせ)をつけるより腹を満たすことが優先だ。


 「これで買えるだけの飯をください」

 悠貴はさっき貰った袋から金の硬貨のような物を取り出し、食堂のおばちゃんに渡すと、食堂のおばちゃんは少しだけ驚いた表情になっていた。


 「あっちの席で座って、ちょっとだけ待ってておくれ」


 そう言われて、席で待っていると肉料理、魚料理、サラダなどテーブル一杯の料理が運ばれてきた。


 その料理の豪華さに目を惹かれて、周りの客たちは一斉に俺達のテーブルに視線を集めた。


 「おいおい悠貴、さっきお前が払った金貨みたいなの、俺達の世界で言うところの諭吉さんじゃないか」


 「あぁーそうかもな」

 悠貴もあまりの料理の豪華さに唖然としていた。


 俺達は空腹のあまり、そのテーブル一杯の料理をあっという間にたいらげてしまった。

 食後、料理の感想を悠貴と言い合っていると、ギルド職員の男性が大きな声を上げて大食堂に入ってきた。


 「オノダカゲナギ様とカミガソユウキ様はいらっしゃいますか?」


 「はい、僕たちですけど…」

 悠貴はギルド職員の男性の呼びかけに応じ、席を立って手を挙げた。


 するとギルド職員の男性が俺達の座っている席へと近づいて来た。

 「ここにおられましたか」

 「ギルド長があなた達をお呼びです、ギルド長室までお越しください」


 そう言われて俺達がは最上階にあるギルド長室まで足を運ぶ事となった。


 「俺達はなんでお呼び出しを食らっているんだ?」


 「悠貴があまりにもチートな能力を持っていたからじゃねぇ」


 「これでなんかのスパイとかと勘違いされて拘束されたら責任とれよ」


 「陽凪、お前は考えすぎだ」


 ギルド長室の前につくと、ギルド職員の男性がノックをした。

 「ギルド長、お二人をお連れしました」


 「ご苦労さま、君は職務に戻ってくれ」

 

 「承知しました」

 ギルド職員の男性は俺達にお辞儀をして去っていった。


 「ではお二人さん中に入って来てくれ」


 俺達は扉の向こうから聞こえる声が女性の物で驚き顔を見合わ、頷きう合う。


 ドアを開け部屋に入ると、一人の女声が座っていた。


 「はじめまして私はユースティア=フィオナ、ここのギルド長兼行政府の(おさ)を務めている」

 

 簡潔に言おう、俺達の目の前にいるのは絵に描いたような美女だ。

 (つや)のある端正な顔立ち、頭の後ろで腰の中間まである少し赤みがかった金色の長い髪を束ねており、耳の横から髪を少し垂らしている髪型、高き理想と何にも揺るがぬような強い意志を宿した(くれない)(ひとみ)は、理知的で高潔な雰囲気を漂わせていた。

 欲張らず、欲張らなさすぎずの完璧な女性らしい体つきは、少々の色気すらも感じられる。

 身長は俺より頭一つ低い160〜165センチぐらいだろうか。

 ほぼ完成しているが少しだけあどけない幼さが残っている顔立ちから察するに、歳は俺達より少し上といった所だろうか。


 白を基調にし少し肩を露出させた清楚なレース服に、赤を基調としたロングスカートを身にまっとており、その服装は彼女をより潔白に見せていた。


 「能力値から照らし合わせて見ると、そっちの猫背でパッとしないのがカゲナギ君で、たくましい体つきのイケメン君がユウキ君であってるかな?」


 「まぁ、そうですけど」

 悠貴は俺を気遣ったのか冷静な声でギルド長の問に答えた。


 流石(さすが)にリアリストと勝手に自負している俺でも、初対面の美女からパッとしない奴扱いを受けるのは少し心に刺さる物がある。

 まぁ実際パッとしない捻くれ野郎が俺なのだから、言い返すことはできないけども。

 

 「カゲナギ君、からかって悪かった、だからそんな()ねた顔をしないでくれ」

 少しにこやかな表情でギルド長は俺に謝ってきた。


 ギルド長が謝ってきたので、とりあえず俺は軽く頷いた。


 「まぁとりあえず二人共掛けてくれ」

 俺と悠貴はギルド長と対面する形で部屋の中にある高級そうなソファに腰を掛けた。

 

 「なぜ私が君達をここへ呼んだか分かるか?」

 

 「わかりませんよ」

 悠貴はさっきの冷静な声のまま返答した。


 部屋の中にはさっき俺をからっかた時とは違い、緊張した空気が張り詰めている。


 「じゃ単刀直入に言おう、君達二人は地球という星、それも日本という国からやって来た異世界人じゃないのか?」


 ギルド長ユースティア=フィオナが放ったその言葉に、俺と悠貴は心臓の鼓動が止まったかように数秒の間静止した。

 

 御一読していただき、ありがとうございました。

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