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Beyond the front line 〜弱キャラよ人類の最前線を超えろ〜〈プロト版〉  作者: トワイライトGoodman
第1章 異世界来訪編
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第19話【世界連盟本部】

 

陽凪(かげなぎ)、降りろよ」


「だって、ここでの俺の場違い感がやべぇーじゃないか」

 俺は自分の場違い感を感じ、世界連盟本部に入ること躊躇(ちゅうちょ)し、馬車から降りるのをぐずっていた。


「カゲナギ早くしてください、早くお城の中に行きたいです!」


「迷惑がかかるから早くしてくれ」


「悠貴やミアはともかく、俺みたいな冴えない男と一緒にいたらフィオナの立場的にもまずくない?」

「Eランクのフロンティアがこんなとこに居ていいわけないだろ」

「てことで、俺は帰って寝るわ」


「はぁ… 何を言ってるんだこの捻くれ者は」

「いいか、今君はユースティア=フィオナのパーティーの一員なんだ」

「だから… 世界の中心であるこの巨城の中を堂々と私に付き添って歩け、仮に君をバカにするような奴がいれば、私が蹴散らしてやる」 

「私が仲間にすると認めた男を侮辱すること、それはSランクフロンティアの私に対する侮辱と同意だ」

 フィオナは俺に向かって、堂々と仲間に対する思いを語ってくれた。

 その姿はまさに人を導く立派な大貴族の様相だった。


「フィオナ…」

「そこまで言うなら、仕方ないから行ってやるよ」

 フィオナの思いを聞いて、ぐずっていたさっきまでの自分がとても恥ずかしくなった。

 そして俺は女性が苦手なはずなのに思わずフィオナの顔を見つめ、軽くなった足取りで馬車から降りた。


 その後俺達は世界連盟本部の中に入城して、この巨城の中にあるフロンティアギルド本部を目指した。

 ここは巨城のどの辺りなんだろう、自分の位置感覚を分からなくなる広大な城内だった。


 ギルド本部の使者の案内で(しばら)く城内を進むと、人の2倍の大きさはある質素な扉とこの世界の言葉で『ギルドマスター執務室』と書かれた部屋の前についた。


 部屋の前につくと、ギルド本部の使者がノックをした。

「ギルドマスターフィオナ様御一行をお連れしました」


「あーご苦労様、君は仕事に戻ってくれ」


「了解しました」 

 ギルド本部の使者は俺達にお辞儀をして去っていった。


「じゃ、フィオナちゃん達入っていいよー」


 なんだろうこの感じ…細かいセリフまでは違うけど確かフィオナと初めてあった時と流れは、ほぼほぼ同じだ。

 まぁこれが俗に言うデジャブというやつなのだろう。


 それよりか今驚くべきは扉の向こうから聞こえてくる、おじちゃんぽい年季の入った声だ。


「フィオナちゃんーーー!」

 フィオナがドアを開けるや否や、フィオナより少し背の低い白髪頭の老人が部屋から飛び出してきた。

 フィオナは飛び出してきた老人を華麗な身のこなしで避け、その老人は顔面から勢いよく床にダイブした。


「痛いのー 何で避けるんじゃ…」


「ギルマスが相変わらずの変態じじいだからですよ」

 フィオナは床で這いつくばってる老人に対して冷たいトーンの声を投げかけた。


「まぁよい…フィオナのお連れさんもこちらに座ってくれ」

 老人は床からゆっくりと立ち上がり、自分の席へと戻っていった。


 俺達は4人とも、ギルドマスターと向き合う形でその部屋に備え付けられていたソファに腰を掛けた。


「ゴッホン、では話をするとしようかのー」

「フィオナちゃん、またおっぱいでかくなった?」


 ドン!


「おい、くそ変態じじい、真面目に話をしろ」

 ギルドマスターのセクハラとも取れるその発言を聞いた瞬間、隣に居たはずのフィオナがいなくなり、いつの間にかギルドマスターの頭に鉄拳制裁をかましていた。

  あの威力は俺が前フィオナから平手打ちをされた時の2倍いや3倍以上は優に越しているだろう。


「あのじいさん死んでないよな…?」

 悠貴はギルドマスターの安否を本当に心配そうに、緊迫した声で俺に尋ねてきた。


「ワンちゃん、ご臨終なされたんじゃ」

 フィオナがギルドマスターに鉄拳制裁をかましてから数十秒、ギルドマスターは視線を落とし顔を地面に向けたまま微動だにしなかった。


「あぁ…生きて帰ってこれたわい」

 微動だにしなかったギルドマスターが突然動き出した。


「生きていたんですか、変態じじい」

 これがゴミを見るような目というやつか。

 フィオナがギルドマスターを見る目には一切の光すら宿っていなかった。


「いやーフィオナちゃんみたいな美人の手で殺されるなら、それもまた一興かもしれんのー」

 だめだ、このじいさんは多分末期だ。


「3人ともすまんかったのー心配掛けて、(わし)たふな体だから大抵の事なら無傷で乗り切れるのじゃ」

 ギルドマスターは何事もなかったかのように、満面の笑みでこの状況をただ静観していた俺達に話しかけてきた。


「じゃ、仕切り直して話を始めるとしようかのー」


「儂の名前はガレス、フロンティアギルドのギルドマスターじゃ」

「まぁ儂のことは好きに呼んでくれ」

 白髪(しらが)頭のこの老人は自らの名をガレスと名乗った。

 歳は60歳前後ぐらいだろうか、陽気な感じでむしろチャラさまで感じてしまう。

 見た目はチャラチャラした雰囲気の普通の老人ではあるが、この老人とタイマンを張ったら絶対に負ける気がする。  


「それでギルマス、俺達は何で今日呼ばれたんですか?」

 流石(さすが)はコミュ力の高い悠貴、今日会ったばかりの老人の事をギルマスと略称で呼んでも違和感がない。


「聞きたいか?」

 ギルドマスターは神妙な面持ちで質問を返してきた。


「はい…」


「それは… フィオナちゃんのしなやかな体の成長を確認すぅ…」

 ギルドマスターがまたセクハラ発言をしようとした瞬間、俺の隣からは殺意に満ちたオーラが溢れ出てきていた。


「おい変態じじい… 残り少ない余生が減るぞ」


「あ…すまんかった、これは冗談じゃ」

「まぁーもちろんフィオナちゃんがバベリアに戻ってきたからというのもあるのだが、今日お前さん方を呼んだ一番の理由は君達じゃ」

 そう言ってギルドマスターは俺と悠貴を指差した。


「お前さん達、二人の容姿は黒髪に黒色の瞳、もしやとは思うがシノザクラ・サヤと同郷の者か…?」

 ギルドマスターからの質問を聞いた俺と悠貴は二人揃って、フィオナの方を向いて指示を仰いだ。


「二人とも、ギルマスには話して大丈夫だ」

「後、ミアにもこの際だから説明しておいた方がいい」


「説明って何の事をですか?」

 ミアは不思議そうにフィオナの顔を見つめていた。


「ギルマスの言う通り、俺と陽凪は彼女と同郷の異世界人だ…」


「どうゆう事ですかお二人とも?!」

 ミアは悠貴の放った言葉に驚きを隠せず、席を立ち会っがった。


「やはり、そうじゃったか」


 その後俺達はフィオナと出会い、央都センターへ辿り着いた過程をギルドマスターとミアに話した。


「異世界なんて遠い東の国というレベルじゃないじゃないですか?」


「いや、まぁー俺達のいた国はあっちの世界では極東の島国って言われてたんだよ」

 遠い東の国というのは紛れも無い事実のなのだが、ミアの言う通り、異世界にある国など方角とか距離とかそういう問題では無い気がする。


「フィオナちゃん、お主もまた数奇な運命の持ち主よのー」


「まったくですよ、人生で3人もの異世界人と旅をするなんて…」


「それで、フィオナちゃんはやはりあの島を目指すのか?」


「はい… あの島を突破しなければ、おそらく師匠がいる場所にはたどり着けないかと」


「そうか、『蒼天大瀑布』を攻略する気のじゃな…」


 コンコン


「ギルドマスター、至急連絡したいことが!」


「入ってよいぞ」

 ギルド長が返答すると大慌てで、さっきのギルド本部の使者の男性が部屋に入ってきた。


「ご報告致します 『七星樹(セブンズオーダー)』がギルドに対して大探索の命令を発令致しました」

「探索場所は上空4000メートルに浮かぶ人類の最前線『蒼天大瀑布』!」


「なんじゃと?!」


「願っても無い話だ…」


 状況を掴めていない俺と悠貴以外のこの場にいる者の表情が一気に真剣な顔つきに変わっていた。


 御一読していただき、ありがとうございました。

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