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Beyond the front line 〜弱キャラよ人類の最前線を超えろ〜〈プロト版〉  作者: トワイライトGoodman
第1章 異世界来訪編
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第1話【始まりの町にて】


 今、俺が今確認できる状況といえば中世ヨーロッパ風のレンガ造りの町並みと、そこを行き交う人々が俺たち二人に対して、今までに見たことが無かった物を見るかのような視線を向けらている事ぐらいだ。

 

 しかしそれはこちらも同じことで、髪の色や体格まで多種多様、加えて身につけているものも露出の多い物、ローブ、鎧、など日本では普段は目にしない物ばかりだ。

 まさかここは異世界なのではと思ったが、そう判断する前に一応悠貴(ゆうき)にこの状況を訪ねてみることにした。

 

 「おい悠貴、ここはどこで、あの人達は誰だ?」

しかし悠貴は呆然とした顔で斜め上だけを向いており、全くの無反応だった。


 「おーい、悠貴さん。おーい、生きてますか」


 「陽凪(かげなぎ)、目の前にあるバカでかい壁はなんだ……」


 そう言われて俺も顔を斜め上に向けた。


 そこには雲を突き抜け、少し湾曲状になっている壁が見えた。

 俺はその壁を見た瞬間ここが現実世界ではなく、異世界とかそうゆう(たぐい)の世界であるという推測が確信へと変わった。


 「あの壁が何なのかは俺も知らん、だが一つ言えることはここが異世界であるという事だ」

 

 「俺達は二人揃って異世界転移させられたんだぁーーー!」      

 アニメやゲームでみた世界、つまり異世界に転移した事に興奮と喜びが隠せなかった。

 俺が大声を上げた事により、さらに周りの視線を集める。


 「こうゆう異世界転生とか転移した者には、チート級の能力とか装備を持ってるんだ」

 俺はこの世界でそんな能力と装備を使って冒険したりするのかなぁと考えると心が弾む。

 

 「お、おう」

 悠貴は反応に困りとりあえず同調する声をだす。


 俺がさらに異世界について語ろうとすると、悠貴が冷静な声で話始めた。 

 「陽凪ちょっと待ってくれ、チートの能力とか装備があるのは結構な事だが、ここは日本では無いよな?」


 「あぁー、まったくもってその通りだ」


 「じゃ俺達の持っているお金やスマホも使えないし、泊まる場所も食料もないって事だ、それってかなりやばい状況じゃねぇか?」

 

 「あぁー、まったくもってその通りだ」


 そう俺はこの時、異世界転移したことにより興奮して見えていなかった現実をようやく理解した。


 昔ながらのアニメやゲームなら主人公は最初からある程度のお金や武器などをもっており順調に物語の序盤を進めることができる。

 しかし、いきなり異世界に転移して前いた世界の物が使えるわけもないし、その土地のお金などを最初から持っているはずもない。


 つまり俺ら二人は今、この世界で使える財産は何一つ持っていない、一文無しのホームレスというわけだ。


 「おい、悠貴ヤバイぞ、どうするよ」


 「それはこっちのセリフだ、陽凪は異世界というのに詳しんだろ、じゃこうゆう時にどうすればいいか分かるんじゃないか?」

 

 「まぁ何となく分かるけどよー、だがなぁーそう上手くは行かないと思うぜ」


 結局俺たちは数分間その場で今後の方針について話し合った。

 その結果、とりあえず街を見て歩きこの世界の情報を街の人々に聞きながら、宿と食料を手に入れることを当面の目標とすることにした。

  

 街の中を散策し始めておそらく2,3時間程が経過しただろう。

 そこで俺と悠貴がこの地の人々からこの世界について得た情報はいくつかあった。

 それを簡単に整理すると大まかには4つ情報を入手することができた。

 1つ目、この世界、いや少なくともこの土地の人々は何故かわからないが俺たちと同じ言語を使うこと。

 2つ目、あの雲を突き抜けている壁はあまりのでかさに壁のように見えるが、その全貌は壁ではなく『バベリオ』と呼ばれる巨塔だということ。

 3つ目、やはりこの世界には魔法などのRPGゲームに出てきそうな類の概念が存在するが使えるのは一部の人間だけだということ。

 4つ目、これは俺が独自に得た情報なのだが、異世界に来ても悠貴はコミ強で俺はコミ障だということ。


 現実世界の人のみならず、この異世界の人々までもが悠貴に対して快く会話をしているというのに、俺に至っては話しかけようとすると格好が変だと言われて会話もしてもらえない。


 「くそぉー、何故だ、何故なんだーーー」と俺の心の中で悲痛の叫びを上げていることなど悠貴は知る(よし)もないだろう。

 

 「陽凪、新しいことが分かったぞ」

 少し離れた場所で異世界の女の子に聞き込みをしていた悠貴がこちらに戻ってきた。

 

 「あぁん、なんだよ」

 

 「どうしてキレ気味なんだよ?」


 悠貴は純粋な疑問を抱く子供のような顔をしていた。

 これだから陽キャのみなさんは、俺みたいな部類の人の(しゃく)に障るのだ。

 

 「ほっとけ……で何がわかったんだ?」


 「あのバベリアと呼ばれる巨塔の中には財宝とか何やらが眠っている未開の地があるらしく、そこを探索する人達を『フロンティア』と呼ぶらしい」

 「それでこの町は『モンゼン』という名の町らしいのだが、バベリアに行く前にフロンティア達がいろいろな準備をする町らしい」


 「フロンティアっていうのはつまり、俺たちの世界で言うところの探検家とか冒険者的なやつか?」 


 「あぁ、おそらくそうだな」

 

 「それでだ陽凪、フロンティアっていうのは誰でもなれるらしい、能力さえあればな」

 

 「まずはこの町の中心にある『フロンティアギルド』でフロンティアになるための手続きをしないといけないとか言ってたな」 

 

 「それにしてもこの町の人々は異国人慣れしているそうで、助かったなぁ」と悠貴は最後に独り言をもらした。


 「よくもまぁー、これだけの情報を違う世界の初対面の人達から引き出すことができるなぁー」と 俺は心の中で不本意だが悠貴に感心してしまった。

  

 「じゃ、とりあえずそこに行くか」

 

 (かく)して俺と悠貴はフロンティアギルドに足を進める事となった。


 御一読していただき、ありがとうございました。

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