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Beyond the front line 〜弱キャラよ人類の最前線を超えろ〜〈プロト版〉  作者: トワイライトGoodman
第1章 異世界来訪編
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第12話【央都への旅路 邂逅①】

 

「ちょっと待ってくれ……」

 俺は幼女に持たれかかれたまま、呆然と立ちすくんでいた。


「これは一体どういう状況だ、ちょっと状況を整理しよう」

 俺は独り言のように(つぶや)き、自分の脳内をフルに稼働させた。

 まず広大な砂漠の中に不自然に置かれた荷物を見つけた、そしてそこに近づくと俺の足元で何かが動いた。

 次の瞬間砂の中から人食いの魔物が出てきたと思ったら、その正体は、今俺に持たれかかって倒れている幼女だった。


 うん、意味がわからん。


「おい、大丈夫か?!」

 俺がこの状況を自分で理解するのが無理だとわかった瞬間、悠貴の一言が耳の中に響き渡り、一気に物質世界に引き戻された。


「おい、意識はあるか?」

 俺はその幼女をそっと地面に置き問いかる。

 しかしその幼女から返事は帰って来なかった。


「大丈夫だ、心臓はまだ止まっていない」

 フィオナはその幼女の胸に手を当てそういった。


「二人とも、この砂漠地帯を抜けてすぐの所に町があったはずだ、急いで向かうぞ」


陽凪(かげなぎ)はその子を担げ、俺は荷物を持っていく」

 俺の身体能力を加味して、軽そうな幼女の方を俺に担がせたのだろう。

 流石(さすが)は現実世界で学年トップの成績を誇り、学校行事の中心にいた悠貴さん、こういう指示出しの正確さと判断の速さもずば抜けている。


「了解!」


 俺達は出来る限る全速力で砂漠地帯を走り続けた。

 そして約1時間後、砂漠地帯を抜け、最寄りの町の入り口へと到着した。


 はぁっ、はぁっ

「悠貴、フィオナ、俺はもう限界だ、この子を先に連れて行け」

 俺は生まれてこの方1時間も走り続けた事が無い上に、足場が砂だった為に余計に体力を奪われて、もうオーバーヒートしそうだった。


「カゲナギ、お前にしてはよくやった、そこでしばらく休んでろ」

 フィオナはそう言って、水の入ったボトルを俺に投げ渡した。


 俺は水を飲みながら、走って行く二人の背に向かって手を振った。

 町の民衆は何事かと、地べたに座り込んで水を飲んでいる俺に視線を集めたいたる。



 ♢ ♢ ♢



 翌日の夕方、その幼女が目を覚ました。


「おはようございます」

 なんで俺は幼女にまで敬語を使っているのだろうか。

 俺の体に染み付いた、女性への恐怖心は相当なものだと改めて自覚した。


「うぁー!あなたは誰ですか?」

 その幼女はベットから起き上がり、俺を見て変質者と勘違いしなのだろうか。

 びくびくと震えながら、こちらを見てきた。


「あぁー、えぇーと俺はオノダカゲナギ」

「砂漠で倒れた君をこの町まで運んできた人だから、別に怪しい人じゃないよ」


「これは失礼しました、助けてくださりありがとうございました」

 その幼女? いや念の為これからは少女と呼んでおこう。

 その少女は俺達が助けたという事実を話すと、丁寧に頭を下げた。


 ガチャ


 少女が頭を下げてから程なくして、町へ買い出しに行っていた悠貴とフィオナが戻ってきた

「目覚めたのか?」


「この方達は?」


「俺のパーティーメンバーの悠貴とフィオナ」

「この3人で砂漠で倒れた君をここまで運んだんだ」


「本当に本当にありがとうございました」

 その少女はベットから抜け出し、俺達3人に向かって深く頭を下げ謝意を述べた。


「気にするな、私達も倒れている子どもをほっとくわけにはいかんからな」

「気分はどうだい?」


「はい、だいぶ楽になりました、ただ少し空腹で…」

 少女はそう言って腹を押さえた。


「それもそうだろう、君は空腹、脱水状態で倒れていたからな」

「もうこんな時間だし、夕食を取りに行くか」


 俺達は今いる宿の一階にある食事処へ行った。


「食事までご馳走になってしまい、なんとお礼を申し上げればいいのか…」


「いいんだよ、この宿にも少し安く泊まれたしな」

 どうやらフィオナはバベリアでは、かなり有名なフロンティアらしく、バベリア内にあるいたるお店がフィオナがいるだけで割引してくれたり、VIP扱いになったりするのだ。


 それにしても、悠貴は食事にはやはり目が無いな、一言も喋らずに黙々と料理を食べている。


「それで僕はあの後どうなったのですか?」


「あの後、ここにいる私とカゲナギとユウキの3人で君と君の荷物をこの町まで運んで、医者に見せた」

「そして点滴を打って貰い、私達が君を引き取り宿のベットに寝かしたというわけだ」


「じゃー、今度はこちらから質問させて貰ってもいいかな?」


「はい、もちろんです」

 少女はまさに純粋無垢な声で元気よく返事をした。


「君の名前を教えてくれ」


「恩人さん達に自己紹介がまだでしたね、失礼しました」

「僕の名前は『ミア』、このバベリアでフロンティアをしている弓兵です」

 そのミアと名乗る少女は席を立ち、自らの名を名乗った。


 改めて見ると、とても可愛らしい容姿をしている。

 (けがれ)のない川の清流のようで、なおかつ月光にほのかに照らされた大海のような、透き通ってはいるが、どこか深みを感じさせる水色の髪色。

 髪を束ねず、自然なあどけなさを感じさせる控えのロングヘアー。

 まだ、未完成だが目はくっきりとしており、顔のパーツのバランスも整っている、将来は絶対美少女になるであろう顔立ち。

 体格は小柄で、身長は俺の腰とへその間辺りまでしかない。

 そして、一人称が僕のボクっ娘属性を所持している、まじで可愛い。

 結論を言おう、まだまだロリだな。


「弓兵のミアどこかで聞いた事があるぞ…」

「そうだ! 3年前まだ私が師匠のパーティーでフロンティアをしていた時、風の便りで耳にした」

「突如として現れた一発必中の矢を射る、まだ10歳そこらの天才少女、確か二つ名は『狩猟の聖弓(アルテミス)』だったはずだ」

 この少女が余程凄い人なのか、フィオナは食事に一切目を向けず話していた。


「はい、その通りです」


「なんで、そんな天才少女が砂漠地帯で倒れていたんだ?」


「それはですねぇ……」

 ミアは顔を少し下に向け、フィオナの質問になかなか答えたくない様子で重い口を開けようとしていた。


 御一読していただき、ありがとうございました。

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