16 条件その5
士道弓弦
突然ではありますが、弓弦のマワシの締め方講座っ。
まず、マワシを締める相手を選びます。
この場合は新道様、もとい新道明美。
本作品の主人公である新道様は、15話にて未だマワシを締めた事が無い相撲未経験者です。
で・
す・
がっ!
波防人であるボクに対して反抗的な態度を取りました。
サラサラヘアーをおもちゃの人形と同等の扱いするなんて到底許せる行為ではありません。
試着室に侵入して部屋の角に追い込んでやりましょう。
「さぁ、追い詰めたぞっ。この士道、新道様へはボクお薦めのマワシを締め込んでやる」
「こっ、怖いよ、弓弦ちゃん、落ち着こう、ねっ? ねっ?」
新道様が許しを乞うたとしても許してはいけません。
「足を、両足を開くんだ。この士道、新道様は仁王立ちで腕を組んだ状態になってもらう必要がある。その時、足を肩幅より気持ち少し開く様に指示を行う」
「怒っているのに指示が適格で怖いよぉ」
などど悲しげな声を上げていても、実際に恐怖は感じていない。
むしろ少し笑っているのが判る。
「何が可笑しいのです。新道様」
「ふふっ、だって弓弦ちゃんの指示には可笑しい所があるんだもん」
「むっ、相撲未経験の新道様がボクの指示に間違いがあるとはっ? この士道、聞かせて頂きたい」
「いいでしょういいでしょう。そこまで言うなら見せてあげましょう」
聞かせて、と発言したボクに対して、見せてあげましょう、と言う返し。
ボクが訝しげな顔つきになるのも構わず、新道様は試着室の姿見鏡の前に立つ。
「足を肩幅より気持ち開き、腕を組んで仁王立ちって……つまり、こう言う事でしょう?」
新道様の腕によって挟まれたバストが豊かさを強調する様に前に、上に突出する。
胸の谷間が強調されてしまい、視線が釘付けになってしまう。
「敵っ! 敵がいるっ!」
貧乳のボクにとって、標準的な胸の新道様はそれだけでも敵そのものである。
望んでやまない部分の成長がボクには無いのだ。八つ当たり、逆恨み、支離滅裂、何とでも取って貰ってもいい。
標準的な胸、それだけで敵として相対し、火花散る前から闘志を上げているのだ。
「その巨乳を見せてしまったと言うことは、この士道に対する宣戦布告と言う事でよろしいか?」
「ええっ~! 指示通りにポーズを取っただけじゃない」
「抗議の声をあげても意味はないぞ。持たざるものはいつも我が儘である。この士道、マワシの端を新道様に持つように指示を行う」
マワシの橋を新道様に持たせて、ボク自身は残りのマワシを持っている。
「わかったよぉ」
従順な新道様も可愛いなぁっ。と思いながらも次の行動に移っていく。
「少し足を上げて、マワシが股下を通る様にしていきます。この士道、しっかり締めていきますので、お覚悟をっ!」
「冷静になってもちょっと怖いよ。でもっ、なるほどっ。マワシを締め終わった後の姿は遥ちゃん、吹雪ちゃんの姿で知っているよ。ここからスタートしていってたんだね」
「そうだっ。マワシと言うのは、へその下を起点として、股下を通り、お尻を上がり、腰回りを締めていく。この士道、その後にもうワンアクセントつけているのだ」
「もうワンアクセントってなんだろう? まぁ、それは後の楽しみに取っておくとして、私がビックリなのは一本の布でやっているって事なんだよね」
お尻をマワシで持ち上げていきながら、次は腰回りを締め付けていく。
「一本の布ではないよっ。これは船の帆である。マワシと言うのは船の帆を使う事によって漁に向かう人間の暗線を祈願しているのだよ」
「へぇー。どうりで固いはずだよっ。って言うよりも、また神話みたいな話になっているね。どういう意味があるのか? 教えてよ」
ふむ、話してみてもいいのだが、ここで話すと長くなってしまう。それに吹雪の領分にも入っていくのでソレは波防人のボクにはふさわしくない。
人間同士の関わりを見る事こそ、波防人の楽しみの一つなのだ、
「そういった話は吹雪と一緒に勉強していくといい。所説ある情報と言うのは、取捨選択するだけでも楽しいものだ」
「なんか、最近似た様な単語を聞いた気がする。誰からだっただろう?」
腰回りを締め付けた後、お尻の上で結び目を作る……前に、「新道様っ。ここはズズイッと股割をしてみましょう」
「股割だねっ。これはねっ、腰が水平に落ちていってていい姿勢だよっ、って遥ちゃんから褒められたんだよ」
「ほぅ、それはそれは、この士道、是非とも新道様の本気の腰割を見てみたい」
「任せてっ。じゃあ、いっくよ? どのぐらいの力でいけばいいのかな?」
首だけ振り返り訪ねてくる新道様にボクは、「それはもう全力で。この士道にも遥に褒められる程の腰割を見せて頂けますか?」
「判ったよ~」
新道様が腰を落としていく。直ぐに表情には陰りが見えるようになる。
「んぅっ、こっ、これはっ。んっ、おっ、とっ、とっ」
新道様がバランスを崩して前のめりになってしまった理由。
「ふふっ、あっはは。明美、まんまとボクの策略に嵌まったな。この士道、エイヤッ、ソイヤッ」
「あっ、んんぅ、すっごい食い込んでくるぅ」
明美が腰割する動きに合わせて、たてマワシを引き上げてやったのだ。これによって固いマワシがグイグイっとお尻を突き上げるように食い込んで、更には腰回りも締め付ける事になる。
「ふふふふっ、この締め付けに酔いしれるといいっ。この士道、ここに至って容赦はしない」
「んっ、まさか、こんなに締め付けがキツいなんて、ごほっ、けほっ」
あまりの勢いに咳き込み始めた明美。
「もっ、申し訳ない。この士道、やり過ぎた」
頭を下げて謝る。明美はこちらが見えていないが、意図は伝わったようだ。
「ううんっ、これが正しいマワシの締め方だもんっ。ねっ?」
キラキラした声量に、ボクは本当に申し訳ない気持ちで、「だが、この士道、それとこれとは話は別だ。マワシはきっちり締め込む」
「えっ、ちょっと待っ……」
思いっきり引っ張りあげた後は、結び目を作ってマワシの完成である。
以上、弓弦のマワシの締め方講座を終わります。




