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【9月3日 赤色】
抑えた手が真っ赤に染まる。
指の間から流れ出る一滴ですら、恋しくて、愛しくて。それでも、必死に押さえても流れ出続けた。
真っ白な制服のシャツを真っ赤に染めるその赤色に、自分だけが取り残される恐怖を感じていた。
赤色の水溜りの中に黒縁のメガネを見つける。
ふと、我に帰る。
微かな息が聞こえる。
どれだけ叫んでも、腕の中のその虚ろな目はこちらを見つめ返してはくれなかった。
もう片方の手でレンズの汚れたメガネに触る。
間に合え、間に合え。
涙が止まらなかった。