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「‥‥何、‥ここ。」
彷徨いながら歩いた終着点は少しひらけた土地に、枯れた噴水、お世辞にも趣深いとは言えないボロ屋敷だった。
私は目の前のボロ屋敷を見据え立ち止まった。以前は重厚感があったのであろう大きな門も、錆びついて動かないのだろうか。開けっ放しでその役割すら果たしていない。
もちろんだか、ゆりは特にここに用がある訳でもない。だがしかし、もう歩き疲れてしまったのだっだ。
進んでも進んでも街並みは変わらないし、どうすれば良いのか全くわからない。なにせ収穫はオンボロ布のみである。どうすれば、自分はこの状況から逃れることができるのだろう。もう自分はダメなのではないか。覚めてきたお酒はゆりに疲労感しか与えなかった。ただ呆然と立ち尽くし、落ちてしまった気分を少しでも気を紛らわそうと門の錆で剥がれてしまった所の数を黙々と数えた。
見れば見るほど目の前のボロ屋敷は、なんとなく親近感を覚えた。立派なものだったであろう門構えが今は錆びて剥がれ落ち、端の方はところどころ枯れた蔦が絡み合って見る影もない。門の隙間から見える石畳みまでもところどころ剥がれ落ちてしまっている。
そのオンボロ具合を見ると、まるで今の私と同じじゃないかなんて思えた。
そんなときガチャとそのボロ屋敷の扉が開いた。
「あぁ、‥‥君か‥‥」
少し頬が痩けているのが残念だが、綺麗に整えられた髭に、撫で付けた髪、執事服。
初老の男性がスタスタと何故か私に向かって歩いてくる。