「感受性」
センスが捩れすぎているのか、
感性があまりにも鋭すぎるのか、
彼の唄は皆に届かない。
あの子の唄も皆には届かない。
捩れすぎたセンスは皆の心の入り口を通過できないのか、
鋭すぎる感性は皆の心へ凶器となるのか、針治療でバタフライナイフを出されるようなものなのか、
よくわからないけれど。
傷だらけの心で磨かれた感受性から生まれる彼らの唄は、
傷を知らないみんなの心のなかでは震えない。
あたしの心があの子たちの唄で震えるのは、
似たような傷を知っているから。
多分。
そういうこと。
だから、あたしの思考回路の散文的な残骸も、
きっと、みんなには届かない。
傷痕抱えた可哀想な人にしか届かない。
けれど、誰かに届いているのだとしたら、
それだけでとても素晴らしいことだと思うよ。