アレグラの町(前編)
魔力石を手に入れてこれで二つ目、ルージュは魔力石に魔力を込めて魔王の力を移す、これにより魔王の力は減少していく、その魔力石はヨルムが管理をして魔王に悪用されないようにする。
ここまでは順調にいっている、そしてこのアレグラの町でまた物語が動き出す……。
「これで魔力石が二つ集まったね、ヨルム君」
「ああ、順調だな次の魔力石なんだが、ガルド地方にあるアレグラと言う町に可能性がある」
三つ目の魔力石を探す提案をするヨルム。
「アレグラの町? どうしてそこにあると思うの」
「それはな、イザークの記憶を考えてみたんだが、アレグラは昔レムリアとガルドの国境沿いにあるから兵器として送ったんだ」
「それじゃあ、間違いないなくあるんじゃないの」
ルージュが笑顔になるがヨルムが続けてこう言う。
「だが戦争はレムリアに負けアレグラも奪われた、二つ目の魔力石がいま探そうとしている物かもしれない」
しかしルージュの顔は変わらない。
「無駄足かもしれないけど、行ってみようよヨルム君」
「わかったぜルージュ! だが町の中だから慎重にいこう、なるべく人には関わらないようにな」
そして二人は準備をしてアレグラに向かう、同じガルド地方のためそこまで時間はかからなかった。
「着いたねヨルム君、あまり大きな町ではないね」
「ああ、この町もコアがない人や小さな奴らばかりだからな、、発展しないしレムリアの連中も興味がないんだろう」
この世界は魔力でエネルギーを作っているため、ガルド地方は寂れている町が多いのだ。
「さっさと探そうぜ、ルージュ」
「うん、わかった」
二人は魔力石を探し始める、それっぽい建物や瓦礫の中色々さがしたが見つからない。
「なあルージュ、何か感じないか」
「今は何にも感じないよ……」
途方に暮れる二人だが遠くから女性の叫び声が聞こえる。
「きゃああああ、誰か助けてー」
「何か聞こえるよヨルム君、行ってみよう」
「まったくしょうがねぇーな、いくぞ」
二人は走り出して現場に行くと二人の男と一人の少女が町外れにいた。
「でっかい声だしてんじゃねぇー!」
男は少女の頬に平手打ちする。
「いたい……うっうっ」
「へっへっへ、女は高く売れるからな、さあさっさと来い!」
少女の腕を引っ張り連れていこうとした時に。
「させるかよ、爆ぜろダークネスボム」
「なんだお前は!」
そう言った瞬間爆発が起こり砂煙があがる。
「ぐうぁぁぁ、何も見えねぇ」
「えっ、何が起こっているの?」
戸惑う少女の腕をルージュが引っ張る。
「こっちだよ、逃げよう」
ルージュはそのまま少女を連れて町の真ん中まで逃げて来た。
「はぁはぁ、ここまで逃げれば大丈夫だよね」
「うんありがとう、それであなたは誰?」
少女が聞くとルージュは自己紹介を始める。
「私はルージュ・フォーゲランク七歳です、それでこっちがヨルムガルドのヨルム君です」
「よろしくな」
隣にいたヨルムも紹介すると少女の顔がようやくほっとした表情になる。
「私はヴェルテ・レベンス十二歳、さっきは本当にありがとう」
ヴェルテはショートヘアーで暗い緑色をしている。
「ねぇルージュお礼したいから家にきてくれない?」
「いいよ気持ちだけで、私じゃなくヨルム君の方が働いたし」
「だったら二人共招待するから、お父さんやお母さんにも会わせたいからね」
ヴェルテは二人を家まで案内する。
「ここが私の家だよ、ただいまお母さん」
玄関を開けると家事をしていた母親がいた。
「お帰りヴェルテ、あれその子達は?」
「この子はルージュ、私が人さらいにあいかけた所を助けてくれたの」
ルージュは挨拶をすると母親は頭を下げてお礼をする。
「娘が危ない所を助けてもらいありがとうございます」
「いえ、たまたまいただけですから……そんなにしなくても大丈夫ですよ」
「そんな事ないよ! ルージュとヨルムには感謝しているよ」
ヴェルテも再びお礼をする。
「それじゃあ中に入ろう、お父さんもただいま」
「ああお帰り、話しは聞こえてたよ娘が危ない所を助けてもらい本当にありがとう」
父親からも頭を下げられて困り顔のルージュ。
「お父さん、ルージュも困っているからこれぐらいにしようよ 」
「しかし……そうだ御飯でも食べてもらおう」
「それはいいですねお父さん、今準備します」
「あっ、お母さん私も手伝うよ、ルージュはゆっくりしていてね」
ヴェルテの親は農家をしているため、ガルド地方にいても食べ物には困らない。
「えーと、どうしようヨルム君」
「どうしようもないだろう、まあ逃げようと思えば出来るけどな」
そう話していると時間が経ち料理が運ばれてくる。
「はい出来ましたよ、さあ食べて下さい」
野菜料理を中心に数々の料理が並べられている。
「それじゃあ、いただきます」
そして料理を食べ始めるとヴェルテがヨルムに聞く。
「そう言えばヨルムは魔法使えていたよね、ここらへんじゃ使える人少ないけどどうやって覚えたの」
「……教えてくれた人がいたからな、それだけだ」
「へーそうなんだ、ルージュは使えるの」
突然聞かれて戸惑うルージュ。
「えーと、ヨルム君が教えてくれて少しだけなら」
「いいなー、私もコアがあればいいのになー」
ヴェルテがこう言っているとヨルムがこう言う。
「何言っているんだ、ヴェルテにはコアがあるぞ」
突然言われて動揺するヴェルテ。
「えっ! 本当に私も魔法使えるの」
「ああ、ちゃんと教わればな」
突然の言葉に両親も驚く。
「本当ですか! この子にはコアがあるんですか」
「コアがあればちゃんとした学校にも通わせてあげられる」
両親にはコアがないためヴェルテもないと思っていたし、一度レムリアの学校にいった時はガルドの生まれだけで落とされてしまったがコアがあれば入学出来る、この世界は魔力が絶対なのだ。
「本当に私にコアがあるの!」
「本当だって、一度どこかで調べてみればいいだろ」
ヴェルテは半信半疑だが納得した。
「良かったねヴェルテ、それじゃあそろそろ帰ろうかな」
ルージュが席を立とうとしたらヴェルテが止める。
「えー まだルージュとはそんなにお話していないよ、もう少しいて」
「うーん、わかった……」
そして皆で話しをするが時間が経っていくとルージュの顔に異変がでる。
「はぁはぁ」
「おいルージュ?」
ヨルムが異変に気づくとヴェルテにこう言う。
「それじゃあ本当に帰るぞ」
「えっ、もう遅いし泊まっていけばいいよ」
ヴェルテが誘うがヨルムはやはり断る。
「いや、悪いしもう帰る、さあいくぞルージュ」
「うん……ごめんねヴェルテ」
「わかった……それじゃあねルージュ」
そして外に出ると胸をおさえて苦しむルージュ。
「苦しいよ……ヨルム君」
「ルージュ! 魔王の奴またルージュにこんな事を」
心配して背中を擦るヨルム。
「ごめん……私喜んじゃたの、ヴェルテにコアがあった事を一緒に」
「謝るなルージュ、お前は悪くない早く家に帰るぞ」
ヨルムは転移魔法を唱えると家に到着する。
「ありがとうヨルム君」
「気にするな、いまは休め」
そう言うとベットに寝かせる、ヨルムはルージュを見守り夜が過ぎていく。
次話に続きます。