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ルージュの成長

  ルージュ達は自分の家に戻っていた、血だらけまま呆然としている、この状況を乗り越えて動き出す事は出来るのか……。


  「なあルージュ、まずその血だけでも落とさないか」


  「……」


  ヨルムが心配をして声をかけるが反応がない


  「あれはお前がやったんじゃない魔王だ! だからそんなに悩まないでくれ」


  魔王は負の感情を抱き続けるとルージュを乗っ取ってしまう、ヨルムはそれを心配しているとルージュが口を開く。


  「でも……私が殺したのと一緒だよ、レムリアの時も私が感情をコントロール出来ていれば死ななくて良かった人達ばかりなのに」


  自分を責め続けるルージュ、しかし魔王の甘言に惑わないのは難しいのだ。


  「お願いだルージュ……自分を責めないでくれ、ルージュは精一杯やっている」


  ヨルムが必死にルージュを認めさせようとするがルージュがこう言う。


  「なら私が助かるまであと何人殺さなきゃいけないの、また同じ状況になったら私どうしたら……いいの」


  「俺が守ってやる、ルージュに人は殺させない!」


  ヨルムが力強く言うがルージュの顔は暗い。

 

  「ゴメンヨルム君、もう少しだこのまま考えさせて」


  「わかった、けど血だけは落としてくれ、それじゃあ悪い考えしか思いつかない」


  ヨルムはルージュの顔についてた血を布で落とす。


  「ありがとうヨルム君、きっと歩き出すから」


  そう言うと別の部屋に行ってしまう。


  「ああ、待っている」


  そしてしばらくの時間が経ち数日は落ち込んでいたルージュだったが、少しづつトレーニングを始めていき歩きだすルージュ、あのグレンビルの事件から一ヶ月が経っていた。


  「それじゃあ、今日もトレーニングに行って来るね」


  「ああ、俺も午後から行くから出来る事をやっててくれ」


  「うん、わかった」


  そう言うとルージュは外に出ていく。


  「さーて午前中は部屋の掃除をして昼の弁当作りだな」


  ヨルムは掃除を始める、壁と床を磨き前日に買った家具や小物も配置してカーテンや花瓶も飾り華やかにしていく。


  「ルージュには少しでも良い環境で過ごして欲しいからな、弁当もこれでよしっと」


  ヨルムは二つの弁当を持ち出掛けて行くと集中してやっているルージュが見えた。


  「おーい、そろそろ飯の時間だー」


  「あっヨルム君もうそんな時間何だ、今そっちに行くよー」


  ルージュはトレーニングを止めてご飯にする。


  「やっぱりヨルム君の料理は美味しいね、凄いよー」


  「まーな、料理はイザークが得意だったからなその記憶で作れるんだ」


  ヨルムは魔王の魂と繋がっているため記憶や知識も思い出せるのだ。


  「でも聞いているとイザークって魔王には程遠いよね、魔法は得意じゃないし」


  するとヨルムは悲しげな顔になる。


  「そうだな、イザークは芸術関係も才能があったんだが…… あの戦争さえなければ魔王なんて言われなかったんだろうな」


  「それじゃあ、私の中にはイザークがいるみたいなものなの」


  そう聞くとヨルムは首を振る。


  「違うな、ルージュの中にいるのはイザークの記憶と知識そして憎しみだけだ、イザークの意識を入れる事は出来なかったんだ」


  そう言われるとまたルージュはヨルムに聞く。


  「ならこの魔王って何?」


  「この魔王はルージュの性格が元になっているんだ、それに憎しみや恨みを付け加えたのが魔王って訳だ」


  こう言われると納得するルージュ。


  「私が元だから何回もなると体を乗っ取られてしまうんだね」


  「そうだ、そうならないために頑張ってトレーニングするぞ」


  そう言われたルージュは弁当を食べ終わると立ち上がる。


  「うん頑張ろう!ヨルム君」


  「よし! なら始めるか」


  するとヨルムは刃を構えるとルージュも剣を構える。


  「いくよ、ヨルム君」


  そして夕方まで二人はトレーニングをして家へと戻って来るとルージュは驚く。


  「うわぁー凄くキレイだし家具もみんなあるよ」


  「どうだルージュ凄いだろ、家電も全部使えるぞ」


  喜ぶルージュだったが突如胸に痛みがくる。


  「胸が……苦しい」


  胸を押さえ苦しむルージュ。


  「大丈夫か! ルージュ」


  魔王の意識が少しづつ目覚めてきて喜びの感情を止めさせたようだ。


  「痛い……助けて」


  苦しむルージュをヨルムが抱えて移動する。


  「ベッドまでいこう、横になれば少しはマシだ」


  そのままルージュをベッドの上に寝かせる。


  「ごめんね……ヨルム君」


  「気にするな、今ラクにしてやるからな」


  そう言うとヨルムは魔法を唱える。


  「かの者を眠りへと誘え、スリープコール」


  「えっ、ヨルム君?」


  するとルージュは眠りにつく。


  「これで大丈夫だろ」


  そう言ってたヨルムだったがイラつきを露にして壁をドンと叩く。


  「クッソールージュと魔王の融合が進んでやがる、グレンビルの事件が原因か」


  そしてヨルムはルージュの手を握る。


  「させねぇー絶対に!」


  そのままヨルムはルージュを見守り続けてそして朝が来る。


  「朝……なの」


  ルージュが目を覚ますと椅子に座りながら眠るヨルムがいた。


  「ヨルム君……」


  ルージュが立ち上がり近づこうとするとヨルムが目を覚ます。


  「ルージュ大丈夫か?」


  ヨルムも疲れているのにルージュを気遣う。


  「大丈夫だよヨルム君、ありがとう」


  「それじゃあ、飯食ってから今日のやること話そうぜ」


  ヨルムは台所に向かい朝ごはんを作る。


  「ヨルム君、昨日の事もだけどご飯の事も本当にありがとう」


  ルージュが頭を下げるとヨルムは照れくさそうにしてる。


  「何言ってるんだよ、俺はルージュを守るために生きているんだ気にするな。」


  「うん……でも私はヨルム君に何も出来ていないから」


  そうするとヨルムは笑ってこう答える。


  「俺はルージュが笑顔でいる事が嬉しいんだ、だからその笑顔を取り戻すためにも魔力石を探すぞ」


  ルージュは複雑な顔をしていたが気持ちを切り替える。


  「わかったよヨルム君、それでその魔力石はどこにあるの?」


  「一つは間違えなくガルド城跡地にある、イザークの記憶がそう言ってる」


  するとルージュは拳を握りしめてこう言う。


  「ならそこに行ってみよう」


  「ああ、行くぞルージュ」


  そして二人は跡地へと向かう、ルージュ達はガルド地方に住んでいるためそこまで時間はかからなかった。


  「ここがそうなの?」


  ルージュが見回すと城壁だったであろう物があり、崩れかけた建物がある


  「ああそうだ、何か感じないか」


  そう言われたルージュは集中してみると何かを感じる。


  「こっちだよ、ヨルム君」


  「おい、走ると危ないぞ」


  しかしルージュは走り出す、そして一つの建物を見つける。


  「これだよ、ここから感じる」


  「よっしゃ、なら扉に触れてみろ」


  ルージュが扉に触れると光だして扉が開く。


  「えっ!何が起こったの」


  「ルージュ見てみろ中に何かある」


  ヨルムが指を指す方に光輝く魔力石があった。


  「これがそうなの?」


  「ああそうだ! これで魔王の力を移せる」


  ヨルムがそう言うとルージュも喜ぼうとするが躊躇する。


  「そうだね……良かった」


  その様子をみたヨルムは申し訳なさそうにする。


  「すまない、つい喜んでしまった」


  「いやヨルム君は悪くないよ、でもこれで一つ目が見つかったね」


  「よし一旦家に戻ろうぜ」


  そう言って外に出ると軍隊に取り囲まれていた。


  「お前がルージュ・フォーゲランクだな、ゲルツ大佐の命令でお前を拘束する」


  「てめぇら……ふざけるな!」


  ヨルムが怒り刃を手付ける。


  「子供と思って油断するないくぞ」


  軍人達はアームズを構える。


  「ルージュは下がってろ、お前は俺が守る」


  「ダメだよヨルム君、私も一緒に戦う」


  そしてルージュはペンダントを握りしめる。


  「ブラッド・クロス、スタート・アップ」


  ルージュは戦闘服になる。


  「ルージュ……わかったでも無理をするなよ、憎しみをためると魔王が喜ぶ」


  「大丈夫、今までのトレーニングの成果を見せるよ」


  ルージュは真っ赤に輝く剣を構える。


  「いくよ、はぁぁぁぁぁー」


  そして戦闘になるが数の多い軍がやはり有利に進める。


  「くっ、敵が多過ぎる」


  そう言うヨルムだかルージュがこう言う。


  「数を減らすから詠唱中を守ってヨルム君」


  そう言われたヨルムはルージュの前に出る。


  「わかったぜルージュ」


  そして詠唱を始める。


  「炎の嵐よ吹き荒れろ、フレアストーム」


  炎の風がルージュを中心に巻き起こる。


  「ぐうぁぁぁぁぁ」


  ルージュを囲んでいた軍人が吹き飛ばされる。


  「もう一ついくよ」


  ルージュが再び詠唱を始める。


  「天空から落ちよろ業火の炎、ヴァニシング・ノヴァ」


  空が赤くなり灼熱の炎が降り注ぐ。


  「全員防御だー」


  軍人達が防御壁をはるが耐えきれず焼かれていく。


  「ぐうぁぁぁ、助けてくれー」


  「はぁはぁ、まだやるの」


  ルージュがそう聞くと軍人達は撤退していく。


  「やったなルージュ、ここまで魔力をコントロール出来るようになったのか」


  「これも、ヨルム君の教えのおかげだよ」


  ルージュはヨルムに感謝する。


  「よしなら家に帰るか」


  「うん帰ろう、二人の家に」


  そして家路に急ぐ二人だった……。


  次話に続きます。



 

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