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イザーク・ヨルムガルド

 ルージュ達は魔王の力によってレムリアから移動していた、飛ばされた先はガルド地方にある街グレンビル、この街でまたルージュの物語が動き出す。


「ここは……どこ?」


 ルージュが目を開けると見たことがない景色が広がる、隣を見るとヨルムがいた。


「ここはグレンビル、旧ガルド王国の王都だった場所だ」


「ヨルム君! 無事だったんだね」


 ルージュはほっとした表情を見せる。


「ああ、俺も今目を覚ました所だ」


「良かった~ でもここって本当に昔の都だったの」


 ルージュ達は街が見える丘の上にいた、その街並みは王都だった面影はなく、ボロボロの建物に荒れ果てた土地、人々に活気がない。


「そうだ、ここにはコアがない奴や魔力が少ない物が集まっているからな、街が発展しないからスラム街が多い地方だ」


 そう聞いたルージュは疑問を持つ。


「どうしてコアがない人が集まるの?」


 するとヨルムは言いにくそうに口を開く。


「それはルージュ……お前の力に関わる事なんだ、だから場所を変えないか」


「良いけどどこに行くの」


「この街なら空き家の一つぐらい見つかるだろ、そこで全部話す」


 ルージュは疑問を持ちながらも了承する。


「よし! なら探すぞ」


 そして二人は探し始める、数時間が経って街外れに一軒空き家を見つける


「ここでいいだろ、後はっと」


 そう言うと家の周りに結界が張られる。


「うわぁー 凄いよヨルム君」


「へっへ、この結界は俺とルージュ以外は通れない、これで軍の連中の追撃も大丈夫だろ」


 ヨルムは自慢げに話す。


「私にも魔法って使えないの」


「使えるぞ、少し教えれば大丈夫だが……今は魔王について話すぞ」


 ヨルムは真剣な顔をする。


「うん教えてヨルム君、今私に何が起こっているの」


「わかった、まず魔王なんだがこれは本物の魔王じゃなく、普通の人間であるイザーク・ヨルムガルドの意思がルージュの中にあるんだ」


「???」


 ルージュは意味がわからない様子だ。


「これじゃあわからないよな……なら古の戦争について話すぞ」


 わかった……頑張って理解するよ」


 だがルージュの顔は自信がない表情だ。


「昔このベガルタには三つの国があったんだ、レムリア王国・リベール王国・ガルド王国の三つだ」


 ヨルムが説明を始めて続けて言う。


「三つの国は仲は良くはないんだが戦争には発展していない、しかしガルド王国の中で反乱が起きるんだ」


「どうして反乱になるの」


「ガルドの王様はあまり良い政治をしていなかったんだ、民には重税で一部の者だけが栄えていた」


 ルージュは悲しげな表情をする。


「なら民達が反乱を起こしたの」


「加わってはいたが指導者は王の息子でイザークの兄が起こしたんだ」


「!!!」


 ルージュは驚く。


「家族でも戦わないといけないの」


「ああ、そうしないと民達は死んでいく、苦渋の選択だったと思うぞ」


「でも……家族で殺しあうのは嫌だよ」


 ルージュは下を向いてしまう。


「イザークも同じ気持ちだったんだ、他に方法があると言ってな、しかし戦いになり王は殺されるがイザークは納得しない」


「そうしたら……どうなったの」


 ルージュは考えたくない答えを考えてしまう。


「そう次は兄と弟の戦いだ」


「どうして……そうなるの他に方法はなかったの」


「なかったんだろうな、それに兄は邪魔な存在を消せると思ったから殺るつもりだったからな」


 ヨルムが淡々と説明をする。


「弟が邪魔なんて……」


「それに軍や貴族は兄に付いたから負ける気なんたなかったんだろ」


「えっ、それじゃあ戦いにならないじゃないの」


 ルージュが疑問を持つ


「いやイザークに付いた奴はいたさ、コアがなく魔法が使えない人達がな」


「どうしてイザークに付いたの?」


「イザーク自身もコアが小さくて魔力が弱かったからだ、だからイザークに付けば自分達も認められると思ったんだろう」


 それでもルージュの疑問が解決しない。


「でも魔力がないひとばかりじゃ負けるんじゃないの」


「イザークにはこれがあったけどな」


 するとヨルムが無色の宝石を出す。


「これはなに?」


「これはなこうやって魔力を込めてやるとこうなる」


 宝石が黒く変化していた。


「こうなればコアがない奴でも魔法が使える、このシステムを作ったのがイザークだ」


「すごーい、これでイザークは勝てたの」


「あと一つあるイザークはリベールの王子と仲が良かったんだ、この援軍が決めてだな」


「へーそうだったんだ」


 ルージュは納得する。


「しかし国を治めてからまた悲劇が起こる」


「えっまたなにか起きるの」


 ルージュがヨルムに聞く


「ああ、治めてから少し経ってからレムリアから晩餐会の招待状が届くんだ」


「平和になったからじゃないの」


「いや逆だ、レムリアは国力が弱くなったガルドなら勝てると思ったんだ」


 ルージュは再び悲しげな顔になる


「どうして……そんな事するの」


「あの時代だからな、その晩餐会を夜盗に扮した兵隊が襲うんだ、この結果イザークは助かるが一緒に来てた妻が殺される事になる」


「そうしたらイザークは怒るよね」


「ああ烈火の如く怒った、そしてまた一つのシステムを作るんだ」


 ルージュは恐る恐る聞いた。


「どんな……システムなの?」


 ヨルムはその問いに答える。


「敵から無理やりコアを奪う幻影の兵隊、それの召喚術式だ」


「やっぱり戦争をする為に」


「そうだ、その力でコアを手に入れて勝ち進んで行く、その姿から魔王イザークと称されるようになったんだ」


「それが魔王の由来だったんだ、それでその戦いはどうなったの」


 ルージュが聞くとヨルムは複雑な顔でこう答える。


「レムリアは堪らず最大の兵器を出すんだ」


 ヨルムは空を見上げる


「空を飛ぶ要塞フォルトゥレス」


「要塞が空を飛ぶの!」


 ルージュはびっくりした表情をする。


「その力はすざましくガルドを焼き払いイザークは負けた、だが最後にその恨みと憎しみをこの時代に残したんだ」


「どう言う事……」


 するとヨルムはルージュを見る


「お前の両親がしたのは、イザークが最後にかき集めた魔力と憎しみをルージュ

 に融合したんだ」


「どうして……私なの」


 振り絞った声でヨルムに聞く。


「お前のコアはズバ抜けて大きいだ、だから魔王の魔力も受け入れる事が出来たんだ」


 ルージュはその場に座り込む。


「どうして……お父さん、お母さん」


 虚ろな目をしたルージュにヨルムが近づき両手をルージュの肩に置く


「俺はまだルージュにとって辛いことを言わなければいけない、だけど! おれが何とかするから聞いて欲しい」


「もう嫌だよ……ヨルム君」


 今にも泣き出しそうなルージュにヨルムがこう声をかける。


「ルージュに何が起ころうとも俺はお前の友達でいる、ルージュが望む事を全力で支える、ルージュは俺に生きる目的を与えてくれたから」


 ヨルムはそのままルージュを抱きしめる


「本当に?」

「ああ、本当だ!」


「わかった……なら聞かせてこれから私に起る事を」


 ルージュは覚悟を決める。


「なら言うぞルージュと融合した魔王だがまだ完全には目覚めていない、その目覚める条件なんだが……」


 やはりヨルムも言いにくそうにしている。


「大丈夫だから話してヨルム君」


「わかった、条件はルージュが怒りや憎しみといった負の感情を抱くと魔王との融合が進み完全に魔王になってしまう」


「そうだ研究所でもそんな気持ちだった」


 ルージュは研究所の事を思い出す。


「一定以上の負の感情が溢れた時には魔王となるが、落ち着けば元に戻る、そしてルージュが嬉しいや楽しいといった正の感情は魔王によって止められる」


「止められる? どうやって」


「胸を締め付けるんだ、心臓を掴まれる感じでだな」


「それじゃあ、私が出来る感情があまりないってことだね」


 悲しげな顔はしているが言葉はしっかりしている。


「感情がなくなるかもしれないのにあまり衝撃がないんだな」


 ヨルムが不思議がる。


「びっくりしたし悲しいけど、さっきヨルム君が抱きしめて私の震えを止めてくれたからかな」


 ばっ馬鹿いってるんじゃねーよ、恥ずかしいだろ」


 顔が赤くなるヨルム。


「それにヨルム君なら何か対策があるから言ってくれたんでしょ」


 ルージュが少し笑ってヨルムに聞く。


「たっくよー 完璧ではないけどある、だけど今日はもう遅い一度体を休めろ」


 そう言われるとルージュは了承する。


「わかったまた明日話してね、ヨルム君」


「ああ、おやすみルージュ」


 そうして二人は眠るのであった……。 

 次話に続きます。



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