最後の戦い
ヨルムの犠牲により一つの希望が出来た、フォルトゥレスを守るバリアがなければ乗り込む事が可能だ、今しかチャンスはないだろう修復出来る可能性もあるからして今すぐに行動しなければいけない、この悲しみを乗り越えて進む事が出来るのか。
「ヨルム……やってくれたよ」
「うん……だけどやっぱりやるせないよ」
ローゼとシャーロが話す中、それでもシルヴィアは自分の部隊の前に行き宣言する。
「……勇気ある者の行動により道が出来た、皆の者よ! ここで奮起せねばなんの為の軍人だ! シュヴァルツの野望ここで終わりにするぞ!」
「おー!」
シルヴィアも辛いはずだが顔にはださずに凛とした表情は変わらない。
「ルージュ……大丈夫、辛いならここにいてもいいよ」
「……私も行く、ヨルム君が作ってくれた希望無駄にしたくない」
「うんわかった、終わらせようこの戦いを」
ローゼが励まし立ち上がるルージュ。
「フォルトゥレスに突入するのは、私とローゼ、シャーロ、ヴェルテそしてルージュ付いて来れるな」
「うん、付いて行く」
「よし、他の者は突入のフォローをしろ、街はグレイス少佐が守っている、良いな!」
「はい!」
気丈に振る舞うシルヴィアにローゼが近づく。
「シルヴィアも大丈夫なの」
「聞くなローゼよ、こんな策しか取れなかった自分が不甲斐ないが、悔いるのも悲しむのも後で出来る、今は前に進むだけだ」
「あんまり自分を責めないで、シルヴィアだけの責任じゃないからね」
「ああ、すまない」
そして全員が整列してシルヴィアが命令する。
「ゆくぞ! 全員フォルトゥレスに向かい突撃だ!」
「おー!」
五人が前に行き残った者は魔力弾を撃ち落とす、そしてその様子を見ているシュヴァルツ。
「ぐうぅぅぅ、ならばレムリアに向けて攻撃しろ! そうすればあいつはレムリアに向かうだろう」
フォルトゥレスの砲台がレムリアに向けられる。
「撃てー、レムリアを火の海にしろ!」
次々と撃ち込まれていくがレムリアの正面に防御壁がグレイスの部隊によりはられていた。
「これ以上お前にこの街を好きにはさせねぇ、お前ら! 絶対に死守するぞ」
「おー!」
「ぐうぅぅぅぅ、このゴミ虫共が、撃て、撃て、撃て、撃ちまくれ、フォルトゥレスゥゥゥゥゥ」
レムリアに気を取られたしまった瞬間、ルージュがその隙を突く。
「いくよシュヴァルツ、ヨルム君に教わった闇の力と炎の融合、ダークネスブレイズ!」
黒い闇の炎が球体になりフォルトゥレスに向かいそして爆発する。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ、馬鹿な……フォルトゥレスに損傷だと……」
「これで中入れる」
「うん、行こう」
ルージュの魔法により壁が崩れて中へと行けるようになる。
「よし! 突入だ」
「わかったよ、シルヴィア」
五人はフォルトゥレスの内部に入っていく。
「我城に侵入者だ、排除しろアイアース共」
内部にアイアース達がルージュ達を襲う。
「ここは私がやろう、凍てつけブリザード!」
アイアース達へ凍てつく風をくらわせると、機能が停止し動かなくなる。
「行くぞ! シュヴァルツの下へ」
「うん、絶対に終わらせる」
アイアースを倒しながら進むとついにシュヴァルツのいる部屋に到着する。
「シュヴァルツ・グリューゲルよ、貴様の野望も終わりだ」
「お願いです、投降して下さい」
「クックック、何を言っている、お前らを殺せばまだ終わりじゃない、終わらせない!」
シュヴァルツは大剣を構える。
「もう止めて下さい! お願いですから」
「シャーロよ、もはや無理だ、この男に何を言っても届かない」
全員がアームズを構えた時、ルージュが前に出る。
「お願い、ここは任せて欲しい」
「ルージュ、あなたまた一人でやろうって言うの」
「お願い……」
ヴェルテが止めようとするが、シルヴィアがそれを止める。
「わかった、許可しよう」
「シルヴィアさん! どうして」
「しかし危なくなれば助けて入る、良いな」
「わかった、ありがとう」
そしてルージュかシュヴァルツと対峙する。
「私も大将までなった男、甘く見るなよ」
「そうだね、その時のあなたなら勝てない……だけど!」
そう言うとルージュは踏み出してシュヴァルツと打ち合いになる、しかしシュヴァルツの剣には鋭さがなくルージュの方が優勢に戦いが進んでいく。
「馬鹿な……ありえない」
「今の欲にまみれた剣なら勝てる! はあぁぁぁぁ」
「ぐっ!」
力を込めたルージュの一撃は、シュヴァルツの剣を宙に舞わせて後方に突き刺さる。
「なっ、あっ、あっ」
「終わりだよ」
シュヴァルツの目の前に剣を出すと、シュヴァルツはその場に座り込むでしまう。
「頼む……助けてくれ……」
「……あなたを裁くのは私じゃない」
そう言うと剣を下ろす、その時シュヴァルツは何とかするため、思考する。
「そうだ! お前に世界の半分をやろう、フォルトゥレスはまだ生きているこいつらを殺せば私とお前が好きに出来る、お前を支配者としてお前を認めなかった奴らを蹂躙しようではないか」
「……あなたに何がわかるの」
ルージュは不快感を露にする。
「私がこの三年間どれだけ苦しんでいたかあなたにはわかるの? 何度も両親や周りを憎もうとした、人自体を否定したかった、だけど……出来なかった、その気持ちを押し殺して生きてきたのにあなたは……あなたはぁぁぁぁぁ!」
「ひぃ!」
ルージュの剣がシュヴァルツに振り下ろされる、そしてシュヴァルツの目の前にきた時、ローゼの槍がそれを止める。
「駄目だよ、憎しみで力を使ってはいけない」
「でも……でも! あいつの存在を認めたくない、簡単に人を否定出来るあいつを」
「大丈夫、ルージュを否定する人はもういないから、ルージュの思った事をすればいい、だからあんな奴と同じ事をしては駄目」
ローゼがルージュを抱きしめ落ち着かせる。
「シュヴァルツよ、貴様の身勝手な行動でどれだけの人を苦しめたか数えきれないだろう、だが必ず償ないはしてもらうぞ」
「いやだ……この世界は私の物だ、私の物何だぁぁぁぁぁぁ!」
シュヴァルツは走り出しフォルトゥレスに繋がれているアスタルテの下に行く。
「クックック、このような私に歯向かう者がいる世界などいらない! 消えてなくなれ!」
シュヴァルツはアスタルテに繋がれていた機器を魔法で爆破させる、その衝撃でアスタルテも飛ばされてしまう。
「ハッハッハ、これでフォルトゥレスを制御する者はいない、貯まってたエネルギーが地上に落ちた時大爆発を起こす、そうなれば世界は消えてなくなるのだ、クックック、ハッハッハ」
「ローゼ……こんな奴でも憎んじゃいけないの」
「気持ちは同じだよルージュ、だけど……」
「……シャーロよ、そのアスタルテと言う子の保護を頼む、私は……」
シルヴィアがシュヴァルツに近づく。
「もはや私が裁かねばならぬだろう……二人にはこの罪は背負わせぬ!」
「シルヴィア、何をする気なの」
「ハッハッハ、もはや遅い、世界はなくなるのだ!」
シルヴィアは覚悟して剣を構えてシュヴァルツの首を切る。
「がはぁ」
「えっ! シルヴィア何を……」
「これも上に立つ者の務めだ、しかしこれは憎しみからではない、全員フォルトゥレスから脱出するぞ!」
「はっ、はい!」
戸惑いながらも脱出をしようとすると高度が急に下がり始める。
「ぐっ、まずい!」
「だったら、ぶち抜く」
そう言うとルージュは魔法で壁を爆発させ道を作る。
「外に出よう」
「うん、行こう」
全員が外に出るとフォルトゥレスは高度を下げ続けて落下していく。
「どうすれば……」
「ここまでなの……」
皆が落ち込む中ルージュが動き出す。
「絶対にさせない!」
「ルージュ!」
ルージュはフォルトゥレスの下に行き、防御壁を出して落下を食い止めようとする。
「ヨルム君が作ってくれた希望、絶対に無駄にしたくない!」
「……全員ルージュに続け! ありったけの魔力を込めて防ぐんだ!」
「そうだねシルヴィア、私も諦めたくない!」
「私も手伝おう……シュヴァルツに利用されただけの道具だったが、私も守りたい」
意識を取り戻したアスタルテも加わり全員で防御壁を使用するがそれでもフォルトゥレスは止まらない。
「くっ、やはり止まらぬか」
「もう駄目なの……」
諦めかけた時ルージュ達の周りにグレイス・シルヴィア隊が集まってきた。
「お前らばかりに苦労はさせねぇ、いくぞ!」
「はい!」
「お父さん……ありがとう!」
さらなる力で押し返すと徐々に落下スピードが下がっていく。
「あと少しなのに」
「一度止まってくれれば……」
ルージュ達が苦しむ光景を見たレムリアの人々にも伝わりシェルターの中から出てきて皆が祈る、その祈りはリベールやガルドからも伝わってくる。
「なに? この力は、魔力が溢れてくる」
「これならば、皆の者! もう少しだ!」
「おー!」
さらに力を込めるとついにフォルトゥレスの落下が止まる。
「よし! ローゼよ、ここに集まった魔力を一つに束ねろ、そしてフォルトゥレスに放て!」
「……わかった、アストレアお願い力を貸して、この戦いを終わらせるために!」
ローゼが集束を始める、様々な魔力と思いも集まってくる。
「きっとヨルム君と魔王の力もあるはず……」
「この戦いで犠牲になった人の数々の思いもある」
「全ての人の思いを束ねて放つ! コレクトブラストォォォォォォ」
ここに生きてる人の思い、犠牲になった人思い、その全てが集まった一撃はフォルトゥレスを空へと押して大気圏も突き抜け宇宙まで到達した時に爆発を起こし、そして消えていく。
「終わったの?」
「ああ! 終わりだ、皆の者よ我らの勝利だ!」
「やったぁぁぁぁぁ」
皆が喜び合う、人々も安堵して嬉しそうにしてるなかルージュはこの三年間を思い出す。
「終わった、やったよ……ヨルム君」
「うん、ヨルムもきっと喜んでいるよ」
「ローゼ……うわぁぁぁぁぁん」
ルージュがローゼに抱きつき、そして泣きじゃくる。
「怖かった、苦しかった、辛かったよ、でもヨルム君支えてくれた、ローゼ達も助けてくれた、みんなに感謝しているよ」
「大丈夫、ヨルムにもみんなにも絶対に伝わっているよ」
ローゼがルージュをなだめて、だんだんと落ち着いてくる。
「そろそろみんなの所に戻ろうか、レムリアの 人達も心配だしね」
「うん、わかった」
ルージュの長く地獄のような三年間が終わりを告げたのであった。
次話に続きます。
最後に後日談を書きますので次で最終話となります。




