渦巻く欲望
あれからアイアース事件はなく数日が過ぎていた、ルージュとヨルムはそのまま特務部隊で過ごして平穏な日常だった、魔王もあの事件以来静かになり解除方法の研究も進んでいた、順調に見えたがまた物語は動き出してしまうのであった。
「おはよう、ローゼ」
「おはよう、ルージュ」
二人は挨拶を交わして食堂に行くと他の皆も集まっていた。
「あれ? ヨルムはどこ」
「ヨルムならそこにいるぞ」
シルヴィアが厨房の方に指を指すとヨルムが料理を作っていた。
「やっと許可をもらえてはりきっていたぞ、ルージュの飯は俺が作るってな」
「ははは、でもヨルムは凄いね料理も美味しいし」
「うん、ヨルムには感謝してる」
そして朝御飯を食べ終わり皆が会議室に移動する。
「さてそろそろ奴らの目的を詳しく教えてくれないかルージュ」
「奴らはフォルトゥレスを復活しようとしてる、だけど正確な場所や日時はわからない」
「魔王なら何かわかるんじゃないの」
そうローゼが聞くとルージュは魔王に話しかける。
「あの事件以来魔王は何もしてこなくなった、お願い出て来て」
するとルージュの目が変化する。
「何よ、私は今凄く機嫌が悪いの後にして」
「それはあの男に負けた事か」
「違う! 負けたんじゃない、魔力なら私の方が圧倒的だった運が悪かっただけ、今度は焼き殺してやる」
いきり立つ魔王だごシルヴィアが冷静にこう言う。
「魔力が強さか……その心ならあの男シュヴァルツには勝てぬだろう」
「えっ! シルヴィア何であの男の名前を知っているの」
「シャーロに写真を写してもらったからな、そこから探すのは難しくない程の有名人だ」
シルヴィアは書類をテーブルに置く。
「シュヴァルツ・グリューゲル、元軍人で大将まで出世した男だ」
「軍のトップまでいった人が何で……」
「大方フォルトゥレスとアスタルテを知ったからじゃないの、あれは世界を手に入れられるからね」
魔王がそう言うとシルヴィアも賛同する。
「そうだろうな、アスタルテは軍が保護をしていたからな」
「保護? 兵器として隠していただけでしょ、何かあった時のために」
「違う! 悪用されぬように軍が管理していたのだ」
珍しく熱くなるシルヴィア、その様子を見て魔王は話しを変える。
「まあ良いよそれでどうせ平行線だし、私に何か聞きたいんじゃないの」
「……まあ良いだろう、それでお前は次の狙われる場所や日時はわからないのか」
「わかっているけど言わない、私は機嫌が悪いの」
それを見てローゼが魔王に言う。
「だったら一緒にシュヴァルツを倒せば良いじゃないの、あなたもフォルトゥレスの復活は止めたいって言ってたよね」
「私と協力? でも良いのヴェルテは」
「正直に言えばしたくないけど、今はあなたしか知らないから仕方なく協力する」
「ふーん、わかったよ協力しても良いけど条件がある、この事件が終わるまで術式が完成しても私と宿主を切り離さない事」
これを聞いてシルヴィアが答える。
「やはりルージュの体は諦めぬか……わかった了承しても良いが私も条件だ、この事件が終わるまでルージュに何もせず自由にしろ」
「良いよ別に感情は宿主の自由で、それじゃあ私の推論だけどシュヴァルツの計画を言うよ」
「ああ、頼む」
そして魔王は話し始める。
「まずは場所、これは走りながら言ったけど三国の王城跡地に封印はある、ガルドとリベールはやられたからあとはレムリアだね、レムリアの城があった場所に今は何がある」
「それは……軍の陸空統括本部だ」
シルヴィアが言いづらそうに言う。
「でもそこなら守りも大丈夫じゃないの、人数もかなりいるでしょ」
「やっぱりヴェルテは単純だね、でも私はそう言うヴェルテが好きだよ、すぐ絶望してくれるからね」
「あなたは協力と言ってケンカを売っているの」
「まあまあヴェルテ」
シャーロがヴェルテを鎮めて魔王は再び話す。
「ここからが私の推論、その守りをどうにかする方法だよ」
「構わん、話せ」
「なら言うよ、近々陸軍が軍事パレードをやるそうじゃない、私ならまずそれを攻撃する」
「それは何故だ」
シルヴィアが聞くと魔王は笑顔になる。
「ふふふ、そんなの人を殺せるからに決まっているじゃない、それを見た馬鹿な空軍はた恩を売りに助けに行く、そうすれば本部はがら空き、私ならそうするよ一般人も大漁にいるから大混乱だよきっと」
「やっぱりあなたは悪魔よ、人を殺して喜ぶなんて……」
「ヴェルテよ、それはもう考えるなこやつの考え方とはまるで違うだけだ」
シルヴィアがこう言うとローゼが聞く。
「それでその計画はありえるの」
「確定ではないが確率は高いだろうな」
「私がわかっているのはここまで、それじゃあ宿主と変わるよ」
そしてルージュの目が元に戻る。
「ごめんヴェルテ、魔王が嫌な事を言って」
「ルージュが悪い訳じゃないから謝らなくていいよ」
「さすが悪は悪を知っているな、ならば対策がとれる私は軍に掛け合ってみるぞ」
皆やる気に満ちていたが、その時に一人の軍人がドアを開ける。
「フン、やはりここにいたか」
「お前はゲルツ! 何しに来やがった」
グレイスも驚いた表情をしている、すると隣にいたゲルツの部下が言う。
「貴様ゲルツ准将に向かってその言葉は何だ!」
「まあ良い、グレイスは私の旧友だ、それよりシルヴィア大佐そこにいる子供を私に預からせて欲しい」
「……それは命令ですか」
「そうだ、これは命令だ」
シルヴィアが考えているとローゼが前にでて来る。
「お言葉ですが准将、それはまたルージュを実験動物にする事でしょうか」
「お前は確かグレイスの娘だったな、なるほど父に似ているな、それでは出世は出来ないぞ」
「関係ないです、一人の女の子も守れない軍なんて嫌ですから」
ゲルツはハァーと溜め息をついてこう言う。
「それは命令違反あたるがそれでも良いのか」
「お前はいつから権力をふるって逃げる奴になった! それにローゼは関係ない、処罰するなら俺だけにしろ」
「グレイスだけ処罰してもこの娘を渡さないんだろう、それでローゼ、お前にはその覚悟はあるのか」
ローゼが答えようとした時にルージュが先に話す。
「もういいよローゼ、これ以上迷惑はかけられない、ヨルム逃げよう」
「ああわかった、転移魔法……」
唱えようとするヨルムをシルヴィアが止める。
「やめろ! ルージュ、逃げても何もかわらぬぞ、何故我らをもっと頼らないのだ!」
「私のせいで迷惑をかけたくないから……」
戸惑うルージュにシルヴィアがパンとルージュの頬をはたく。
「そんな事はどうでもいい! ルージュの本当の気持ちはどうなんだ」
「……」
少しの間沈黙になるが震えながらルージュが口を開く。
「……嫌だよ、逃げたくないしまた研究所に行くのは絶対い嫌! 助けて……」
「ようやく言ったな、ゲルツ准将よ私から言おう、ルージュは絶対に渡さぬ、ここにいる者を処罰するならセフィルス家の敵対行為とみなすがその覚悟はありますか?」
「……シルヴィア殿の父上は私の考えに賛同してくれると思うが……」
「私が処罰される事はセフィルス家全体に関わる事、それを止めなぬ父上ではないと思いますが」
シルヴィアの父親はゲルツより階級が上である。
「……わかったまずはセフィルス家の方々と話し合ってみよう、今日はこれで帰ろう、いくぞ」
「待って下さい、ゲルツ准将」
そして二人は本部へと戻っていった。
「本当に良かったの」
「当たり前だ、この選択に後悔などない! そうであろう、皆の者よ」
全員シルヴィアに賛同する。
「でもゲルツ准将がこうならパレードの時どうしよう、襲われるんだよね」
「それは俺に任せろ、もうこれ以上あいつを間違った方向には行かせない」
「ならばゲルツ准将はグレイス殿に任せよう、我らは賛同者を集めて奴らの計画を阻止する、良いな!」
「おー!」
全員が気合いを入れて今日の会議が終る……。
次話に続きます。




