アレグラの町(後編)
ルージュ達は家に戻り体を休めて心を落ち着かせる、もう一度アレグラに行くためルージュとヨルムは準備するこの先の希望を求めて……。
「体はもう大丈夫か? ルージュ」
「もう大丈夫だよ、だから行こうアレグラに」
意気込むルージュだがヨルムは浮かない顔をしている。
「なあルージュ、もう少し経ってからにしないか、嫌な予感がする」
心配そうな顔でヨルムが聞く。
「でも……魔王の力早くなんとかしたいし、魔力石の手がかりはアレグラしかないんだよね」
そう言われたヨルムは了承するがルージュにこう言う。
「わかった、ただしなにが起こっても人間には関わるな、良い奴でも悪い奴でもルージュには毒にしかならない、約束出来るか 」
「人を助けても駄目なんだよね……わかった、魔力石探しに集中するよ」
ルージュも考えながらも了承した。
「よし、ならいくぞアレグラに」
二人は再びアレグラに行き魔力石を探す。
「やっぱりないな~」
ルージュが探しているとヨルムがあわててやって来る。
「はぁはぁ、おいこっちにきて来れ」
「えっ!どうしたのヨルム君」
ヨルムについていくと一つの小屋の前で止まる。
「ここに魔力石がある、小さくだがガルド王家の紋章が刻まれている」
「本当に! なら扉に触ってみるよ」
そしてルージュが扉に触れると光だして扉が開くと目の前に一つの箱がある。
「ヨルム君! あったよ三つ目の魔力石」
「ああ、アレグラを治めていた奴がちゃんと封印していたんだな」
二人は喜びかけたが直ぐにやめる。
「駄目なんだよね……喜んじゃ」
「すまないルージュ、それは俺が気を付けなきゃいけなかった」
謝るヨルムだったがルージュは気にしない。
「大丈夫だよヨルム君、それじゃあ帰ろうよ」
「ああそうだな、帰るか」
二人は帰ろうとするが中央の広場から騒ぎ声が聞こえる。
「何だこの声は?」
「うん……何か嫌な感じがする」
二人は考えていると一人の男が近づいて来る。
「何だ~、まだ町の奴がいたかさっさと広場に来いって言っただろ」
男はアームズを構えて脅す。
「どうするヨルム君、戦う?」
「いや、状況がわからないまま戦うのは危険だ、きっとこいつ一人じゃない」
そう言われたルージュは手を上に上げる。
「へっ、わかればいいんださっさとついてこい」
そして広場な行くと住人が集まっていて、何十人かの男達がアームズを持っていた。
「この人達って何なんだろう」
「わからねぇが良い奴らではないだろう」
二人は最後尾で話していると一人の男が台の上に立ち喋り始める。
「さあ住人諸君、この軍にも見放された町を守ってやっている俺たちに感謝の言葉を聞きたいんだが」
そう言われると年老いた男性が男の前に行く。
「はい、たいへん感謝しています、住人を代表して町長のワシが代弁します」
頭を下げてお礼をする町長。
「うむ、では感謝の印を貰おうか」
「はい、こちらがお金でそして町の作物をお納め下さい」
すると台車が現れてその上には沢山の箱が乗っている。
「あれヨルム君、台車を押しているのヴェルテと両親だよね」
「農家って言っていたからな」
男の前に台車が到着するが、男は不機嫌そうな顔をしている。
「たりねぇーよこれじゃあ、もっと金あるだろ」
「これが精一杯です、これ以上は住人達が生活出来ません」
「うるせーよ、これじゃあ俺がリーダーにどやされるだろうが! そうだな足りない分は女を貰うとするか」
男はヴェルテを見る。
「こいつでいいだろう、おいお前らこいつを捕まえろ」
「えっ何で私が……」
言葉を失うヴェルテだったが手下達がヴェルテの周りを取り囲む。
「止めてください、食料なら出しますから娘は見逃して下さい」
「女の方が売りやすいからなさっさとついてこい」
「いやぁぁぁぁ、助けてお父さん・お母さん」
ヴェルテは必死で叫ぶが両親は捕まっていて動けない。
「誰か娘を助けて下さい!」
父親も叫ぶが住人達は下を向き黙っている。
「ヨルム君……助けちゃいけないの」
「……駄目だ俺達はスキをみて逃げる」
ヨルムにそう言われるがルージュはやはり納得いかない。
「こんなのってないよ……どうしたらいいの」
そう考えていると頭の中から声が聞こえる。
(だったら倒したらいいじゃない、あなたにはその力があるはずだよ)
(あなたは魔王!)
ルージュは心の中にいる魔王と会話する。
(だからあいつらをたおせばいいでしょ)
(あなたがやると殺してしまう、絶対に駄目)
(私は何もしないよ、あなたが戦えばいい)
魔王にそう言われると迷うルージュ。
(私も戦いたい……けどそうしたら憎しみもたまってしまうかもしれないから)
(でもさあ、今の状況の方が憎しみたまらない? さっさとどうにかすれば案外いけるかもしれないよ)
そう言われると迷うルージュ。
(ても……)
(私はどっちでもいいけど、少しアドバイスしてみたくなっただけ)
魔王の気配はなくなる、そしてルージュは少し考えてながらペンダントを握りしめ叫ぶ。
「ブラッドクロス、スタートアップ!」
「なっルージュ! やめろー」
ルージュは戦闘服になり透かさずに魔法を唱える。
「はぁぁぁぁ、燃えろフレイムバースト」
「えっ何だ、ぐうぁぁぁ」
手下に攻撃をしてヴェルテの前に立つ。
「大丈夫ヴェルテ? 今なんとかするから」
「ルージュ!」
「何だてめぇは、おいお前らやっちまえ」
男達はルージュを取り囲むがさらに魔法を唱え始めるルージュ。
「炎の嵐よ吹き荒れろ、フレアストーム!」
炎の風が男を襲い、男達を吹き飛ばす。
「ぐうぁぁぁぁぁぁ、こんなガキがこの大魔法だと……一旦逃げるぞ」
そして男達は逃げていった。
「もう大丈夫だよヴェルテ」
安心したヴェルテの目には涙が溜まっていた。
「ルージュ……うぁぁぁぁぁぁん、怖かったよー」
ヴェルテがルージュに泣いて抱きつく。
「本当にありがとうございます、二回も娘を助けてもらえるなんて」
両親も喜んでいるが住人達の顔が暗い。
「ちょっといいかの、ワシはこの町の町長じゃがヴェルテを助けてくれた事は礼をいおう」
「いえそんな……」
ルージュは照れくさそうにしているが町長から思いもよらない言葉が発せられる。
「じゃがあいつらはさらなる仲間を連れてきてこの町を襲うだろう、どうするのじゃ?」
「えっ……軍は助けてくれないんですか」
ルージュは困ったかおをするが町長が続けてこう言う。
「軍が来てくれていてたらこんな事態にはなっておらぬじゃろ、わからぬのか」
「でもそれじゃあ、ヴェルテを犠牲にする事が正解なんですか!」
ルージュは必死に正論を言うが町長はこう返す。
「しかたあるまい、それしか町を救う方法がないのじゃからな、そしてお前はどうするのじゃ」
「そんな……ひどい」
困り果てているルージュの前にヨルムが立つ。
「うるせーよ、勝手な都合ばかり言いやがって、俺らには関係ないそんな事知るか!」
「なっ! だったら最初から町の事情に関わるな、あのままヴェルテを渡していればしばらくは大丈夫だったのを」
「そうだ、そうだ!」
住人たちも加わりルージュに罵声を浴びせる。
「なんで……そんなこと言えるの」
「ルージュ! 気にするな、さっさと帰るぞこんな所にいては駄目だ」
ヨルムがルージュを心配して帰ろうとするが仲間を連れてきた男達が町を囲む。
「おい! さっきの女出て来い」
「えっ! 何?」
ルージュと住人達は外に出ると百人ぐらいの男達がいてその中から一人の男が近づいて来る。
「お前が俺の部下をやった奴だな、お前に話がある」
「どんな話……」
そう聞くと男はニヤリと笑いこう答える。
「なーにお前にも悪い話じゃない、俺らは軍を除名された奴らの集まりだがお前も俺らの仲間になればこの寂れた町を襲うのは止めてやる、どうだ」
そしてルージュは考える。
(そんな事無理……この人達は私を殺しの道具にするから)
ルージュが黙っているとヨルムがこう聞く。
「もし断ったらどうなる」
「もちろんこの町を破壊して住人たちは皆殺す」
「けっ、やっぱり腐ってやがる」
ヨルムが話をしている中でもルージュは考え込んでいると住人達からまた罵声が飛んでくる。
「だったらこいつらと一緒に出てってくれー!」
「町の平和を考えてよ!」
容赦のない言葉に何も答えられないルージュ。
「黙れ! 自分の事しか考えれないない奴らなんて気にせず帰るぞルージュ」
「逃げたいよ……ヨルム君」
「ならそれが答えでいいのか? はっきり言ってくれ」
答えを言おうとした時に頭の中にまた声が聞こえる。
(まだ選択肢はあるじゃない、この憎しみのまま私に任せる事が)
(魔王……嫌だよ)
(でもあなたの本当の気持ちはこいつらを全員殺すことだよね)
(違う!)
ルージュはそれを否定するが魔王が続けてこう言う。
(それは嘘だよね、さあ憎しみのままあなたは眠っていいよ)
そしてルージュの意識がなくなると目が赤く変化する
「ヨルム! ブレンディング!」
「なっ! ルージュ」
強制的にブレンディング状態になる。
「フフフ、久ぶりに出れたよ」
「何を……言っている?」
「ああごめんね、いま答えを言うよ」
そう言うと魔王はこう唱える。
「魔王ルージュが命ずる、我が声に応じよガルド兵達!」
すると地面から黒い軍団が現れる。
「さあこれが答えだよ、こいつらを全員殺せ!」
「なっ、やめろーうぁぁぁぁぁ」
次々と殺していくガルド兵達、ごろつき達とは力の差があった。
「うぁぁぁぁー 助けてくれー」
「死にたくないー」
しかし魔王は止めない、そしてリーダーの男が魔王に向かって来る。
「お前を殺せば止まるー」
男は持っていた剣を振り下ろすが、逆に男の腕が飛ぶ。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
「フフフ、これぐらいでそんなに叫ばないでよ」
そして魔王は男の足に剣を刺す。
「ぎゃあああ」
「ははは、反応がいいのは面白いね、さーてと久ぶりにコアを貰うよ」
魔王は倒れている男の胸に手を置くとそのまま貫く。
「がはぁ」
「さーてコアはどこかな?」
魔王はぐちゃぐちゃと体の中を探る、男は何も喋れなくなった
「あっ! あったよコアが、うーん血がソースみたいになっていて美味しそうだな~」
そう言うとコアを口に入れる、指に付いた血も舐める」
「この味はこれしか味わえないよね~さてと周りはどうなっているかな」
周りを見るとごろつき達は全員死んでいた。
「よし次はあなた達だね」
魔王は住人達を見る。
「えっ、ワシらは何もしていない」
「そうだ、もういいだろ」
「そう言う訳にはいかないよ、宿主はあなた達も恨んでいるから」
だんだんと近づいてくる魔王にヴェルテが前に立ちこう言う。
「どうしたのルージュ! あんなに優しかったでしょ」
「こいつらはそれくらいの事をしたからね、さあガルド兵達よ」
黒い軍団が武器を構える。
「やめてー! 皆謝るから……ルージュに謝るから許してよ」
「あなたを犠牲にしようとした連中でも許すなんて……わかったよ、あなたに免じて……」
泣きながら訴えるヴェルテの気持ちが通じたと思ったその時に魔王はこう言う。
「ヴェルテだけは生かしてあげる、ガルド兵! このクズ達を殺してあげて」
黒い軍団は容赦なく住人達を襲う。
「いやぁぁぁぁぁぁ」
「やめてくれぇぇぇぇぇ」
「ははははは、クズ達が死んでいくよ、あっ町長は私が殺すか持って来て」
そうすると町長が魔王の前に引きずり出される。
「何か言いたい事ある? 最後に聞くよ」
「悪魔だ! お前は悪魔だ!」
「ははは、それが最後の言葉でいいの? それじゃあ死んでね」
そう言うと町長の首を跳ねると血しぶきがあがり血だらけになる。
「ねぇヴェルテ、面白いでしょ」
「あ、あ、あ、」
言葉にならないヴェルテ、周りを見ると両親の死体も転がっていた。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
「あれ? おかしいな、なら綺麗な花火でも見せてあげる」
そう言うと魔王は魔法を唱え始める。
「天空から落ちよ紅蓮の業火よ、ヴァニシング・ノヴァ」
町に向かい紅蓮の業火が落とされると町全体を焼き尽くす。
「はははは、見てよヴェルテ凄く綺麗だよ」
「……」
もう何も喋れなくなってしまった。
「つまらないの、それじゃあ頑張って生きてねヴェルテ」
ふっと空をみると軍が近づいて来るのがわかる。
「じゃあ私達も帰ろうか宿主、あなたにはもっと絶望を味わってもらうからね」
そう言って消える魔王だった。
次話に続きます。




