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義腕の王  作者: リョウゴ
五章・盲信する狂信者と人としての意地
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開かずの扉 10

 落下を始めた体のバランスに気を使い、重力に逆らうことなく落ちていく。


 義腕の彼等からすれば、格好の的だ。


 その彼等はこちらに右手を向け、魔法を放ってくる。それぞれ氷や炎、雷などとバラバラではあったが、人を死に至らせるには充分である事はどれも同じだ。


 ただ、やってくる魔法は私が砕いた足場だった岩塊の破片が防いでくれる。数発はしっかり破片をくぐり抜けて来るような魔法があったが、それは上に向けて放っていた矢が上から貫き防ぐ。


 結果、無傷で着陸。


 着地の隙を狙って魔法が飛んでくる。そしてそれに紛れて数名接近してきている。


 私は魔法を避けなかった。


 当たるかと思われた魔法は体に当たる寸前で弾かれる。まるでそこに壁があるかのように。


「…ありがとう、『大鎧』。」


 そのつぶやきに、返される返事があった。


『あの程度、小娘なら避けるまでもないと判断すると思ったからな。』


 大鎧と呼ばれた何か。それが実体化する。


 村上の体から赤いオーラのようなものが立ち上り、そのオーラが鎧を形成する。


「さぁて、久しぶりに全力を出しますか!」












 降り注ぐ岩を潜り抜け、外側へと登る。


 進んだ方向は気持ち悪さと、急に降り注いだ岩で分からない。


 段々になった岩を一跳びで、一段ずつ登る。


 日舞さんを肩に担いだままでなければ、先程の視界によるダメージが無ければ、一足で一番上まで上れたかもしれないなと、少し思わなくもない。



 最後の一段を登り切ったとき、正面には車椅子に乗った男がいた。その男の容貌は飢え死にしたそれに近いが、目には力があり、口角がひきつるように上がっていた。


「ああ、やっと……。」


 目の前にいる異質な男がうわごとのように呟く。一瞬、叩きのめそうか考えるも、俺には襲いかかってこなければ特に叩きのめす理由もない。少し目前の男に狂気のような何かを感じて、少々…血の気のある考えがよぎっただけだ。


 取り敢えず目前の男は無視をして横に、背後の窪みをよけて校舎まで走るつもりで動いた。


 その鼻先に炎が通る。


「待て、君たちも見ていくが良い、天使様の御身を。」


 意味不明な事を言う男。


 しかしその男の目が、有無を言わさぬ。眼力でこちらを見ていた。




 

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