幽霊っていると思いますか 2
「幽霊とか怖いのダメ何じゃなかったっけ、あんた。」
そう、私、篠原 日舞は、お化けとかそういう類は大の苦手なのだ。何でと言われても、怖いものは怖いのだ、理由なんてない。
「そうだねぇ、野中君が人助けと言うから、ついに行くなんて言ってしまったけど、まあ多分…大丈夫…だと思うよ。」
本当はすごく怖いけど。
「まあ、平気ならいいか。今まで野中が肝試しとか学祭のお化け屋敷とか誘っても篠原さん、来なかったから、人助けっていう盾を使って連れて行って怖がる様を楽しもうとしてなきゃ良いけどな、野中の奴。」
そんなことは考えてなかったよ、野中君。
「野中君はそんなこと考えてないと思うけど、私がそうだと思ったり真田さんが同情で誘おうとしてて、ただ男子と遊びたいという考えで動いてたりしてたらすぐ帰るつもりだよ。」
「……怖かったら野中に言えよ?話持ちかけたんだから責任くらいとらせとけ。」
「まあ、うん、野中君だけじゃなくてアキ君も頼りにしてるからね?」
ああ、『俺を頼るな面倒くさい』とか考えてるよ。全く、酷いなあ。
「出来れば俺は頼りにしない方向で宜しく。」
そこで会話がとぎれて、別れの挨拶をして、別れた。
そうして別れた後自転車で件のアパートを見てみる事にした俺は、今アパートの近くでとある人物と遭遇した。
「真田さん…?」
真田さんと思しき人は大きめのバックを背負いアパートの敷地に入っていく。どうやらこちらには気づいてないらしい。
俺は自転車を、適当なところに置き、アパートの敷地内へ入る。
このアパートへの入り口は一つで、中に入ると広間になっていて一階部分に四部屋、二階に五部屋という造りになっていた。
「あら、どなた?」
二階部分からは下の広間を見下ろせる造りになっていて、そこから、下を見ることで上にいる真田さんが俺に気付いた。
「酷いなあ、同じクラスの人何だけど。」
「ああ、確か、か、蟹元さん」
「鐘本だよ。というかいいのか?肝試し発案しといて先に見に来て。一人できて、お化けにのろい殺されても知らんぞ。」
「それを言うならあなたも……というか、誰から肝試しについてきいたんです?」
「野中。」
「そうですか。彼が2人誘うといったうちの一人があなただと。」
「まあそうだけど。」
最初から俺らしか誘うつもりなかったんじゃん。
「そうそう、せっかく会ったんだから、発案者さんに聞いときたいことがあるから答えてくれ」
そう言うと、話に答えるつもりなのだろうか、こちらに階段を使って軽やかに降りてきた。
「まあ、外に出ましょう、話はそれからにしてください。」
「まあ、まず聞きたいことは───」
まあ、まずどうでもいいことから、聞こうか。
「幽霊、いるって信じてる?」
「幽霊ですか、はっきり言って信じてないですわよ、でなければ肝試しやる訳ないではないですか。」
「話じゃお祓いの手伝いって聞いたけど?」
「……野中さんはそこまで話していましたか。」
「おかしいよね、お祓いの手伝いを、幽霊なんているはずがないと思っている人がする、なんて。」
……まあ、友達がいるはずないものに苦労してて、それを見てるのが苦しいってのなら別だろうけど。
というか、俺が聞きたいことは本来ただひとつなんだ。
「私は。」
……ん?
「……いえ、こんなこと、答える必要がないですわ、帰らせて貰います。」
「え、なんか、ごめんね。」
俺が謝ろうとしたときには少し離れていた。歩くのはええ。
というか、地雷踏んだか俺。
「本当は、入るとき背負っていたバックの中身がパンパンに入ってたのに出てきたときに空になってた理由を知りたいだけだったんだがなぁ。」
そうつぶやき、この場を去ろうとしたときに、何かに見られている気がしてアパートを眺める。
「気のせいか。」
が、俺は特に気にせずこの場を立ち去った。
き の せ い だ っ た の だ ろ う か ?
背負っていたバックが空になっていることを明言しないで表現するにはやはり技量が足りなすぎたので明言してます。