幽霊っていると思いますか 1
二年になってからしばらく経った四月下旬のある日の放課後のことだ。
俺は突然、野中にこんなこと言われた。
「肝試し行かないか?」
「……夏でもないのにか?」
「いやいやー、真田さんに誘われてしまって。」
誰だよ、真田さん。
「去年一緒のクラスだった上にまた同じクラスになったんだから憶えてるでしょ。あの眼鏡っ子だよ。」
と、教室窓際で談笑している女子の一人を指差す。
「いや、だからなぜ、暑くもないのに肝試しにいくのかが分からないんだけど」
「それはね──」
野中曰わく、真田さんの友人の(これまた同じクラスの)村上という女子が神社の神主である親に頼まれたんだかで、とあるアパート(高校最寄り駅から徒歩七分程)のお祓いをしにいくらしいことを真田さんが知り、お祓いに着いていくと村上さんに詰め寄り お祓いの手伝い(きもだめし)しに着いていく許可をいただいたらしい。ついでに何人か誘って お祓いの手伝い(きもだめし)をしようと考えているという。
「それでね、顔の広い僕に白羽の矢がたったのだよ。」
「で、俺以外に誰誘ったんだ?」
そう聞いたら後ろから声掛けられた。いや正しくは、俺の目の前にいる野中に掛けたのだろう。
「何の話してるの?」
「ああ、篠原さん、丁度良かった。例の件、来る?」
「そういえば、お祓いの手伝いとか言いつつ肝試しとも言ってるそれは、なにが目的なのかな?よく分かんないや。」
「真田さんは、村上さんの手伝いをしたいから人手がほしい。だから遊びとして協力してもらおうとしてる。みたいだよ。あ、あと秋、僕は君たち二人しか誘うつもりないよ。」
「それで2人とも、来るかい?」
「「行くよ」」
なんかそれだと村上さんを助けると思って、と言われているようにも思えるけど、そうじゃなくてもやることないし行くつもりだった。篠原さんがどうなのかは知らないけど。
「そうか、じゃあ明日の18:00、曰く付きのアパートに集合ね、最近じゃ誰も寄りつかないらしいからきっと雰囲気出てるんだろうね。楽しみだ。」
と、言うと用は済んだとばかりに、野中は帰って行った。
「そいや、篠原さん」
「なに、アキ君」
俺は一つ気になったので聞くことにした。
「幽霊とか怖いのダメ何じゃなかったっけ、あんた。」