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義腕の王  作者: リョウゴ
四章・非凡な少年と鋼色の牙
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改良された枝

「あー、勉強会な、場所は。」


 翌日。野中は場所が決まったらしく、それを報告しに来たようだ。


「場所は?」


「篠原さんの家な。誘った人たちが、そっちの方が近いらしくてな、そっちになった。篠原さんの家どこだか知らないだろうから、一回そこの駅から下りで二駅行ったところの駅の北口集合ってことだ。」


「人数は?」


「僕とお前と篠原さん、荒井に池田さん、ついでにエリカさんと村上さんかな。7人だよ。」


「思ったよりいるけど、そんな人数の高校生がいて迷惑かからないのか?」


「大丈夫らしいよ、篠原さんの家、広いから。」


 野中のいかにも見てきたというオーラがちょっとうざい。なんで、自分の家じゃないのにどや顔してるんだよ。


「見たことあるのか?」


「あるさ、あるよ、篠原さんが休んだ時に限って緊急性のあるものが配られててさ、そのたび届けに行くのが僕だったし。」


「そうなのか。」


「まあ、周りの家に迷惑かけないように、真面目に勉強するようにしなきゃね。」


 そう言って、その場を立ち去る野中。




 今更だが、篠原さんをさん付けで呼ぶのをやめようかとか、何度か考えたことはあるけど、タイミングが掴めなくて、やめてない。多分野中も、そうだろう。









「それで、これが杖。」


 そしてその日の帰りにもともと木の枝だった棒が(おとはさん)の手によって立派に───かどうかは分からないが──ビフォーアフターした杖を神社で村上さんに見せる。村上さんは魔術覚えようとした頃とは大違いで割と早い時間にここにいる。まあ放課後すぐ来てもいるのだということだ。


 村上さんは杖を顔を近づけて観察した後、杖を掴むと集中し、何やら呪文のようなものを呟く。呟き終えると同時に左手の杖を上に掲げたが、勿論俺にはなんの意味があるのかさっぱりだった。


 すると、杖の上から突然桜色の龍が延びていく。『正しくはただ杖の上の辺りから桜の花びらが出現し桜吹雪を起こしているだけですけどねー。』とアイが言うが実際そうだ。村上さんが起こしたのは、見ただけだと普通の花吹雪と言うやつだろう。その花びらの向かう先は天。ぐるぐると竜巻のように空へと舞い上がっていった。


「す、凄いわね、この杖。返してほしくなっちゃうくらいに。」


 それほどなのだろうか、別に返してもいいっちゃあ良いんだけど。違いがよく分からないし。


「感覚の問題なのよ、余りすんなりと出来ない魔術をやったとき分かり易いわ。あっさりできすぎて恐ろしくなっちゃったもの。全く、これを削ったの、天才じゃないの?そっち方面は私には分からないけど。」


「それくらい言うなら返そうか?まだ俺には早かった気がするし。」


 その良質な杖が手に入るという誘惑に少し迷いを見せたようにも見えたが村上さんはこう、きっぱりと断った。


「もともとそんなにいい枝じゃなかったのよ。それを押し付けた訳だしひとにあげたものを今更返せというのはダメでしょ。例え返却を申し入れても受け取りません!大事に使いなさい、絶対よ?」


 ………きっぱりという表現はなんか違った気がする。


 村上さんはそう言うと、杖をバトンパスするかのように返してきた。あ、ちなみに上から振り下ろすように渡してきたでも間違いじゃないけど、ゆっくりと渡してきたのです。


「そういえば、鐘本君てさ、野中君の言ってた勉強会来るんだっけ。」


「ん?ああ、そうだけど。」


 突然どうしたんだろうか。何か聞くことでもあるのか……?


「勉強出来る方?」


「まあ、上の下か中の上というか、平均点よりかは取れるけど、出来る方と聞かれると頷きかねるな。」


「…………そうなのね。」


 なんかちょっと期待外れみたいな顔をされた。

 『だから表現がまんまですよ』知るか。


 …………もしかして……?


「もしかして、あんまり勉強得意でいらっしゃらないと?」


「いや、なんかメンバー聞いた感じだと教える側が少なくて、ちょっと不安だなぁ、と。」


 どうやら的外れだったようだ。単なる思い付きとはいえ自信はあったんだが、どうやら村上さんは勉強が出来る側のようだ。まあ、見た目からして、できそうな感じはするよね。うん。わかってた。


「まあ、野中とか下から数えた方が早いとか言ってたしね…。まあ、本人曰く勉強する気が起きないとか言ってたけど、あいつ、やる気有るのかなあ。」


「まあやる気がない人が勉強会なんて開こうと企画しないでしょ。」


 そうでもないんだろうよーと左手の杖をぶんぶん振り回しつつ、魔力の腕を何本も召喚す…………る?


「うわぁ!?五本も腕出せてる!?」


 今までどう頑張っても二本目が一瞬出る程度だったのに五本も出して、しかも現状を維持している。にもかかわらず、負担が皆無。


「杖、すごく効果あるじゃない。」


 そう、村上さんは言ったのが少し残った気がしなくもない。





 どうやらこの杖は生身で触れてないといけないようだ。持つなら左手。その検証をするだけで1日終わってしまったがまあ、杖の良さが分かってよかったのかもしれない。


『杖、近接武器みたいでしたけどね』


 そう。検証ついでに杖を持って、魔術を使ってみたのだ。


 ファイアボールを使うと、杖の先に刃が付き、槍のようだった。他の魔術でも同様の事が起きた。まあ、刃の位置は変えられるが、本来の魔術とは別の魔術が出来てしまった。ちなみに村上さんに渡したら普通に発動したので、俺だけの可能性もある。ここに他の杖は無いため調べられないけど。


「まあ、しかたないじゃないか?」


『そうかもしれませんね。』


 今日は帰ろうとしたときには既に辺りは暗くなっていた。

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