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義腕の王  作者: リョウゴ
四章・非凡な少年と鋼色の牙
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平穏な日常

 まあ、何事もなく、一月近く経つ。


 はっきり言って、特に何か魔導師的な事件に巻き込まれることは無かった。


 今は6月下旬、期末テスト一週間前である。


『本当に何も起こらないときは起きませんよねー…。』


 じめじめとした梅雨。雨、雨、雨と毎日雨を見ているとうんざりする。ちなみに空に手を向けて魔力の腕を水属性にしようとして成功している。まだ、周りの物を利用しないと出来ないのだろうか……。


 雨で嫌なのは小説が濡れることかなあ……。


「おい、秋、今度勉強会やろうぜ!」


 野中がよくわからん事を言っている。いや、わかるけど……分かるけども。


「それ、どこでやるんだよ、公民館?人んちでか?それとも高校?」


「そら、人んちの方がいいだろ?シチュ的に。」


「それ、完全に勉強する気ないだろ。つか移動が面倒だから高校でいいじゃないか。…本当にやるんだったらな?」


「いや、もうメンバーは決まっているのさ、頭いい人とか数人呼んでる。来るか決まってないのお前だけ。場所は決まってないけどさ。」


「……いつやるの?」


「そりゃ、次の土曜日、テスト前の休みの日にやるよ。」


「予定は入って無いから行くけどさ。」


 ふと、外を見る雨はいつの間にか止んでいて、雲の隙間から太陽の光が差していて、きれいだった。









「あ、久しぶりだよね、鐘本君がここへ来るの。」


 晴れたので、雨降ってる日は来なかった神社に顔を出しておく。


 階段を登ると、神社でのんびりしていた村上さんに声をかけられた。


「まあ、最近は来る気が起きなかったから。」


 俺はそう答えると、自分で作った魔力の腕とトスバッティングを始める。ちなみに俺自身がバット…というか、ただの棒を持ち、自分の魔力で作ったボールを打ち、魔力の腕に捕球させるだけである。何気に難しい。


「あー、少しはまともになったみたいじゃない。」


 村上さんはそう言うが、これは俺が自分で考えついてやったことだ。

 やり始めた頃は、村上さんに何やってんの?みたいな目で見られるわ、そもそもボールをまともに打てないわ、打てても手が届かない上の方にいくわで大変だったなあ。一応魔力の腕の横移動は簡単だが、上に伸ばすのはあの頃はまだ、そこまで早く出来なかったし、野球などの球技の経験も無かった訳じゃないけど、得意じゃなかったし。


 まあ、まともに打てるようになっても、村上さんにはなにしてんのみたいな目で見られてたし、腕が別方向に動いちゃったりしたし。



 そして、最近、村上さんの言うように、まともには、なった。


 まあ、最近は神社(ここ)には来てなかったけどな。


「そういえば、あの木の枝…じゃなくて杖、大事にしてる?」


「知り合いに勝手に削られた。」


 村上さんが木の枝もとい杖の話題に触れたのは貰ってから初めてである。


「え……あ、うん、そう言うこともあるわよね。」


 まあ、出来は良かったけどね。


「で、その枝は削られてどうなったの?」


「削られたあと、帰って、きた。」


 棒で魔力でできたボールをボスボス打ちつつ答える。


「更に、持ちや、すい、杖になっって、帰って、きたっと!」


 最後に一発デカいのを打つ。何気に魔力の腕の制御が難しく、手を掠めるけど取れないなんて事がまだまだ多いが、最後は成功させた。


「へ、へぇ、どんな感じになったの?写真とかある?」


「写真とかないから明日実物を持ってくるよ。」


「…………普通人にもらったものを他人(ひと)にいじらせたりしないよね………」


「なんか言った?」


 村上さんは何でもない訳じゃないけど言っても無駄だと言わんばかりの表情を溜め息混じりでする。


『言わんばかりのって………。』


 そう言えば音姉さんはここの所、土日ものんびりしてるというのが減った気がする。気のせいかな。


『それ、今は関係ないですよ。というわけで帰りましょうか。』


 なにが、というわけで、だ。だがまあ、俺は暗くなる前に家につくような時間に帰った。

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