人狼と体育祭 2
『午後の部ですが!なんと!最後の競技であるクラス対抗全員リレーですが!これ、一位に三百ポイントあげちゃい』
『ませんからね!?そんな最後だけやれば勝てるなんて言うのは』
『いやいや!別にここまでしっかりやって三百は超えてますからね。別に破格でもあのバラエティーでよく見た奴みたいにはなりませんよ!』
実況が何か変なこと言って脱線している。ちなみに今言ったリレーは、別に三百とか入ることはない。ついでに学年別でクラス対抗である。
『と言うわけで午後の部もスタートです!』
雲が朝から段々と出てきて、今はもう、曇りである。これ、雨降らないよね………?
「そう言えば、女子のみ参加の競技に微妙に恐怖を覚えるのは俺だけか………?」
なんか、気迫が凄くて。
「あれ、先輩じゃないですか?」
「こんにちはー。柚っち、知り合い?」
女子が二人てくてくと近付いてくる。
片方は見慣れた、左側で髪を括った女子だが、もう一方の首の後ろで黒髪をゴムで束ねただけという長髪の女子は見たことがない。……まあ、大方菊川の知り合いだろ。
「うん。知り合い。………。」
菊川がこちらを見て、自己紹介しろという視線を向けてくる。
「どうも、鐘本秋です。趣味は読書。」
「……あ、これ私も名前言うべき?」
「別にあんたは言う必要ないよ?」
「いやいや、言うべきでしょ?向こうが言ったのに私が言わないと悪いし。」
「私は黒河 麻華。特技は占い!」
特技が占い?
「この子の占いの精度分かりますか?先輩?」
「え、わかる訳ないだろ?」
「百発百中、です。」
「いや、たまたま言った事と似たようなことがあるだけだよ柚っち、大体抽象的なことだしさ。」
百発百中、ねえ……。それならすごいな。
「じゃあ、鐘本先輩も占ってみますか?恋愛運とかお勧めですよ~?」
「いや、先輩の恋愛運占っても無駄ですよ、無駄。」
「なんでだよ!?」
「あー、確かに、今占ったら、〈男が悪い〉って出ましたし、無駄ですね。じゃあ、普通の今後の運勢を占いますね。」
彼女は、懐からカードを沢山取り出し、上に纏めてばらまく。
なにしてんだ?これは。
「これ、とこれとこれか。」
表の絵が見えている物のみを選別して拾う。
「うわ、なにこれ!?相当やばいなこりゃあ。」
「麻華どうしたの?………うわ…。」
「で、どうなの?」
俺は内心何言われるのか心配になりつつ、聞く。
「一つ、幽霊が何かを起こす。二つ、知り合いか誰かの命が消える。3つ、何かを失敗する。」
「おいおい、不穏だな。三枚でそんなにわかるものなのか?」
「気分でカード毎回換えてるんですけど、この組み合わせはそう言うことです。抽象的なので自分なりに絞ったりしてますよ。」
「へ、へぇ。」
言って見せてきたカードは。
1枚目、幽霊がいすを投げている絵。幽霊は女性に見えた。
2枚目、骸骨が沢山あるろうそくの火のうち一つを吐息で消している絵。骸骨は鎌を肩にかけていた。
3枚目、猿が木から落ち、頭を打っている絵。
「と、いうか、こういう、絵しかないのか……?」
「ばらまいた百枚のうち五枚位しかないですよ?それをピンポイントで三枚だから。注意してください。鐘本先輩。」
「あ、ああ、占い、ありがとうね?」
「いえいえ、変なものを見せてすいませんでした。」
俺は、占い結果に薄ら寒い物を感じつつ、クラスのみんなのもとに戻った。
「麻華、大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ~。心配性だな~柚っちは~………。」
本日恐怖体験として、綱引きが上がる。腕は、生きてた。何で参加するって言っちゃったんだ?俺。
『楽しい楽しい体育祭も、リレーが終わってしまいましたねー!』
『そうですねー!あっという間でしたね!例えば今日の最初の──────。』
実況が今日の振り返りをしている間に閉会式の並びになるわけだ。リレー?一応、一位でした。いぇーいぇー!ふっふー!……疲れた。
我がクラス 全力出して 電池切れ
ってかんじで皆さん酷く疲れています。皆笑っていますけどね。
そろそろ閉会式が始まるな。
閉会式が始まる。
順位を発表する。
閉会式が終わる。
気付いたら終わってた。
「先生の話宜しくお願いします。」
いや、気付いたらSHRだった。俺も疲れてるんだな。
「じつはな?まさか一位を取れるとは思ってなかった。まあ、実際二位だったしな。でもな、皆頑張ったよ。──────、────。」
俺やっぱり疲れてるんだな。早く帰ろ。
「………打ち上げ、やりましょ!」
次に気付いた時には、先生はおらず、エリカさんが、呼びかけているところだった。
「いつやるー?」
「あー、明後日いけるー?」
「いけるいけるー!」
「じゃあ、明後日の日曜日だな!」
「うえーーい!」
どうやら明後日打ち上げあるようだ。
「秋、珍しいな、疲れてんのか?」
「んー。最近忙しかったんだよ。」
エリカさんがこちらに近付いてくる。
「直った。退院よ。だから、病院来なさい。早めにね。」
それだけ言って帰ってしまう。気付いたら野中もいない。
病院よって帰ろ。早く帰ろう。
「やあやあ鐘本秋君!いらっしゃい!…おや元気ないねぇ。最近なにか疲れることでもしたのかい?」
「ああ、本題に移ろう。義腕、これね、はい。いやー君のお陰で色々情報が集まって最高だね、君は被験者として。」
「どうだい?新機能!変形機能つけたのさ!ふふふ、ロマンがあるだろう!?え?ない?おおぅ、マジカヨ。」
「まあ、また壊れたら、来なよ?絶対だよ。」
『お久しぶりですご主人!って、もはや寝ながらにして帰ってますね?危ないですよ?』
お前から見て、あの医者、どうだ?
『………修理に出されてからさっき装着されるまでの記憶が無いんですよ。』
それがどうした?別におかしくはないだろ。
『なんか、怖いって思うんですよね、あの人。』
………そうか…。
そして、この遠足と体育祭の間の騒動は右腕が帰ってくるとともに収束した。
「げほっ……」
『どうしました?風邪ですか?』
「それはないだろ。うん。…げほっ…」




