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義腕の王  作者: リョウゴ
序章・義腕の少年
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見えざる者 1

 早く帰れるからどこか寄って帰ろう……なんて考えたが、この間金を使ってしまったので金がない。訳じゃないが、あまり使いたくはない。


 でも古本屋で立ち読みをすれば金がかからないじゃないか、と思ったので本屋へ行こう。気に入ったら買えばいい。……多分買わないな。


 本屋に到着した。

 自転車を停め、本屋に入る。



 しばらく本を読み、帰ろうと出口に向かう。と大きな何か、人くらいのものに体の右側にぶつかる。


「きゃっ……」


 人くらいのものじゃない、人だ。だが、ぶつかっておいて何だが、全く認識できなかった。おかしいな……。


「す、すいません」


 と、謝り、足早にこの場を後にした。ぶつかった相手はどこかで見た気がするがよく判らなかった。勿論本は買ってない。


 そのまま家に帰った後も何事も無かった。いつぞやの万引きみたいな、いつもと違うことは早々起きたりしない。別に望んでもいないが。


 

 高校二年目の一学期の主な行事は、体育祭と遠足である。よく知らないが遠足は一年が勉強合宿らしいので無く、二年が芸術鑑賞ということで劇を見に行くらしい。そして三年は某夢の国へ行くらしい。


 劇を観るまでは自由行動らしいので遠足らしいことはそれくらいか。劇はどこでいつやるのかは知らない。


 ……これって、遠足だろうかと思わなくもないが、遠足と言い張れば遠足だろう。うん。


 体育祭と遠足では先に遠足が5月中旬に来る。それまでにあるのは身体測定くらいだから、クラスに馴染めるように頑張るか。


「なあなあ、遠足、誰と行くか決めたか?」


 そう、少し先ではあるが、遠足では班行動を義務付けられている。因みに4人以上である必要がある。別に2人でも3人でも良いと思うんだが。

 

「その顔は決まってないな?そうだろ、そうなんだろ!」


 そして目の前にいる騒がしい男子はトモダチが多い。どうせ『僕は別の班に呼ばれてるから慈悲深い僕が君を僕の班に入れてあげるよ』とかそんなの言いに来たのだろう。そうだろ、野中。


「実は僕も決まってないんだよ。良かったら一緒に組まない?」


「意外だな、お前が他のに誘われてないなんて」


「いやいや、随分先の事だし考えてる人なんてあんまいないよ、だって昨日始業式だったんだし」


 誘われるとは考えているんですねそうですね。


「そうだな。組むか。どうせ班組めって言われても余り者になる自信がそこそこあるしな。」


「余り者にならない努力をした方がいいよ、秋。」


 どんな努力だろうか。


「というわけで宜しく野中」


「宜しく、秋」


 ………おっと、チャイムだ。朝の SHR(ショートホームルーム)の時間か。

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