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義腕の王  作者: リョウゴ
二章・神社の巫女とチートのおまけ
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舞台

 そして本日のメイン。劇場で劇を見る為に、劇場に着いたのは、集合の30分程前である。遅れなくて良かったと、思う。


 本日の劇についてだが、テレビさでCMが流れるレベルの有名さを誇る劇団の劇だ。基準がCMというのもおかしいかもしれないが、どれくらい凄いのかは俺には分からない。


 劇の中身だが、やはりすごかった。

 いやまあ、すごかったのだ。

 動き、声の使い方、道具の使い方などによる表現が非常に良かったように感じた。


 劇が終わり、劇場を出て行く人達の劇を賞賛する声が多いように思えた。まあ、中には寝ていた人もいないわけじゃないが、大半の生徒は、感動していたんじゃ無かろうか。


『いっやぁー。ご主人。感動しちゃいましたよ!一度見てみたかったんですよねぇー。こういうの!』


 それはアイにすら当てはまっていた。というかその辺にいる生徒よりも細かい感想言いそうな程である。

 やけにテンション高くて、よく喋る右腕を無視しつつ、帰るために歩を進める。


 一応、教師の短めの話が終われば、現地解散である。


 そのありがたーい教師のお言葉を貰うべく外に二年生全生徒が列を作っていた。邪魔じゃないか?これ。


「────んじゃあ、気をつけて帰れよ。」


 そんな感じで学年主任の男教師の話が終わり、解散となる。まあ、解散しても、割と同じ方向から来た人は多く、大体皆同じ電車に乗るんだが。


「おーい、秋、帰ろうぜ。」


 そう言って駆け寄ってくるのは、勿論野中である。


「良いぞ。」


 俺は短く了承の言葉を返し、振り向かずに歩く。


「おーい、篠原さーん、村上さーん、一緒に帰ろうぜー!」


 野中はあの二人にも声をかけているようだ。


 恐らく野中は2人に話し掛けるために、俺の反対側(進行方向と逆)に向いて話しているだろう。そういう風な声の聞こえ方をしている。仕方なく立ち止まり振り返る。


「秋ー、今行くー、ちょっと待っててー!」


 そして、3人が近付いてきた。


「さて帰るぞ。もう今日は疲れた。早く帰りたい………。」


 そう言うと篠原さんが微妙な顔で笑うのだった。




 家に帰ると。お爺ちゃんが待ちかまえていた。


「トーマス医師のところにいけ。さっき電話がきた。月一回は来るように言われただろ?」


「ああ、そうだったね。じゃあ週末にでも………」

「駄目だ、今日行け。二月近く放置してるんだ。出来るだけ早くした方がいいだろう。」


「といったって、何するんだ?メンテナンス?」


「そうだろうな。」


「つか、爺ちゃんついてくるの?」


「行くわけ無かろうが。」


 ですよね………。




 疲れた身体を引きずるように病院にきた。高校行く位の距離の移動だ。


 受付に話を通すとすぐにとある部屋に通される。


 そこにはあの外国人がニヤニヤとしながら待ちかまえていた。


「やあやあ鐘本秋君。右腕の調子はどうだい?動きが悪いとか、使いづらいとかないかい?」


 そんな質問に俺は迷いなく答えた。


「すごく良いです。今まで使ったものの中で一番使いやすいと思います。」


「そうかい。じゃあ念の為に義腕のメンテナンスをするから渡してくれ。すぐに終わるからね。」


 言われたとおりに義腕を渡す。因みに病院に入ってから、アイは一切言葉を発してない。あのお喋りが。




「終わったよ。まあ本来の用途通りに使われてるみたいだね。良かった良かった。」


 そういえば、と俺は兼ねてからの疑問を口にする。


「この義腕って何の試作品ですか。高性能なAIみたいのが積んであったりとして、ずっと不思議に思ってたんですが。」


「高性能なAI……?」


 トーマス医師が心底不思議だというような表情を作った。なので、一応、補足する。


「はい。なんかよく喋ったりするやつですよ。本当の人みたいに。」


「………本当の人間みたい…?…そこまで凄くは……あ、うん!そういうAIいれてるよ!うん!…………。あ、ああ、何の試作品かっていうと、多分もう知ってるよね。魔導義腕だよ。」


「やっぱりそうでしたか。ありがとうございました。」


 俺は回答と同時に義腕を受け取り、右腕につけてから、退室した。



 帰りの自転車。


「珍しいよな、アイが黙ってるなんて。」


『なーんか、いやなんですよね、あの医師の態度というか、雰囲気というか。好きになれないというか。』


「別に黙る必要は無いだろ。」


 アイはその発言に対し、少し考えたのか、少々間をおいてから答えた。


『………私がいることが気取られてはいけないような、そんな気がして。喋りませんでした…。』


 どう言うことだろうか。医師の作ったAIならば、そんな事考えるだろうか……。




 某所、屋内にて。


「くくくっ、やはり成功していた!私の試みは無駄じゃなかったのだ!喜べ!黒鬼、貴様は私の役に立ったのだ!」


 黒鬼と呼ばれた、肌は黒、額には一本の角が生えた体格の良い男はこう答える。


「ありがとうございます。ファザー。私は信じておりますとも。ファザーの実力を。」


「素晴らしい。ですが、まだまだファザーの試みは始まったばかり。目覚めただけでこれほど舞い上がっていては、この試みが完全な形となったとき、ファザーはどれほど喜びになるのでしょうか……。」


 青色の肌の貧相な体つき、ガリガリと言うほどではないがその一歩手前な体型、それでいて低身長な男が心配そうに呟く。


「大丈夫だ、最初のこの段階がクリアできた地点で成功したも同然。もうこれ以上上がって、気絶するなどは有り得ないからな。青鬼。」


 青鬼と呼ばれた男はこう答えた。


「左様でございますか。」


「では、ファザーの命令を遂行して参ります。」


 そう言うと、黒鬼と言われた男性は部屋を出て行き、それに青鬼と呼ばれた男がついていった。


 誰もいなくなった部屋で1人、不気味に笑う。


「くくくっ、やはり、やれば出来るということか。このような兵器を造ることが……。」

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