高校二年目の始まり 1
「ふぁぁ」
今日から学校がまた始まる。始まってしまう。
今日から二年生として登校するわけだが、勿論一年のときとクラス替えされている。なので新しいクラスで孤立したらどうしようとか、考えなくもないが、仲の良い友人が同じクラスになっていたのは、春休みに行われたクラス発表で判明しているので、多分大丈夫なはずだ。多分。
そして俺が通っている高校は進学校であり、部活が有名とか頭のいい高校だとか言うことはない。
まあ偏差値はそこそこ高かった気がするが。
新学年になって早々に寝坊をかます訳でもなければ、途中で事故に会ったりすることもなく、のんびりと自転車で登校する。
ぐうたらと欠伸をしつつ自転車を漕ぎ、大体30分程で高校に着いた。
自転車を高校の自転車置き場に停めて、生徒玄関から校舎に入る。つい、下駄箱やら教室やら間違って一年生の時に使っていた方に行こうとしてしまったが。
そして二年となった俺の新たなクラスである、2-3の教室の前に来ると、もうすでに数人、教室にいた。だが、その中に知り合いはおらず、とりあえず黒板に指示されているようにすることにした。
黒板には仮の席(といっても,ひと月はこのままだろう)として名前の番号順に座るように書いてあった。
他にも今日の予定が書いてあり始業式とホームルームだけで解散だと言うのが分かった。
始業式が終わり、騒がしく教室に戻る人達の波に乗って帰ろうとしたとき、不意に後ろから声を掛けられた。
「よう、秋、今年もよろしくな」
「あぁ、よろしく、野中」
「………去年も今年も同じクラスの友人に対して苗字で呼ぶのはどうなんですかねえ、篠原さんや」
「…ええ!?私に聞かないでよ、それと私に対して苗字で呼んできてるよね!?」
この二人は去年良く教室で話していた友人だ。
先に俺に話しかけてきた男子は野中…ええっと……。
「おい、野中、お前名前何て言ったっけ」
「………え……いや!仮にも一年お前と友達でいた僕の名前を忘れるとか!それって酷いよ!僕は野中──」
まあいいや、野中は野中だ。それ以上でも以下でも以外でもない。
「去年も思ってたけどアキ君の野中君に対する態度ひどくない?」
この女子は篠原さんだ。やはりそれ以上でも以下でも以外でもない。
「野中はこの扱いで喜ぶMだから平気」
「喜んでないよ!?」
ぶっ叩かれた。
「ごめんごめん、つい。鉄板だからさ」
何て反省無いかのように俺は言う。
「…さっさと飽きてくれないかなあ」
多分俺はしばらくぶりに会う度にこのネタを使うだろう。卒業までは飽きないな、うん。
「それにあんまり面白くない。いじめてるようにもみえる。」
おいおい篠原さん面白くないはずないだろ、絶対。爆笑物だよ。絶対。
「…少なくとも僕はいい気がしないからな」
「だからごめんって、後で名前憶えとくから」
なんて平和(?)なやり取りをしつつ、教室についたのだった。
「……よくこれで野中君とアキ君友達辞めるとか言わないよね」
篠原さんが何か言った気がするがよく聞こえなかった。