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義腕の王  作者: リョウゴ
二章・神社の巫女とチートのおまけ
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錯劇場 5

 意識を集中させ、地面に魔力を流す。平面上なら、三本の刃を阻む位置まで魔力を運ぶ。


 すると、地面から赤く輝く大きな右腕が生え、三本の刃を横薙ぎにし、全て弾いた。


 うまく行った。幻覚だろうと弾いてくれるようだ。当たらなければヤバかった。


 このまま防戦一方だというのは気分が悪い。が、攻めることはできない。


 どうしたものかと思考を巡らせていると、ふと、先ほど三本もの刃が飛んできていたことを思い出し、最初に一本ずつ飛ばして来たこと、そして断続的に一本ずつ飛んできたことを考えると。


 割と近くに居るのではないだろうか。


 そう考えついたが、だからといって見えない今、攻撃を当てることはできない。いっそ義腕に体を使わせるかと考えもしたが、アイはあまりその手法を好まないことをこの間聞いていたので、あまりそれをする気にはなれなかった。




『後三分!!!』


 ちょこまか逃げては見たものの、攻撃に当たらない俺にじれったくなったのか、姿見えぬ魔導師が突然。


「ふんぬわぁぁ!!いい加減当たれよ!もう怒った!もう怒ったぞ!」


 ブチ切れた。


 そして、俺の周りの床に大量の刃が生え、剣の山のようになった。ってヤバいぞ!これじゃ逃げ場がねえ!


 そんな事お構い無しに、魔導師は合図を兼ねた叫びを上げる。


「もう逃げ場は無いぞ!この際貴様が死のうが問題ないない!!剣よ!役者を貫け!──閉幕──!!」


 剣山じみた刃が浮く。前に!!!


「腕えええええええ!!!」


 床から生えた魔力の右腕で俺を横にぶん投げた。投げられる前に目を瞑り、何も認識しないようにする。そして、一瞬の浮遊感が俺を襲い、偶然か、子供を遊ばせる場所へと吸い込まれるように飛んでいく。


 固いものは無いが、当たれば痛い。全身に痛みを感じながら、素早く立ち上がる。体はしっかり動く。辺りを見渡すと、あの特徴的な銀髪が見えた。恐らく『閉幕』の影響だろう。


『今なら!第三眼(こころのめ)ぇ!!』


 まだ五分経ってないが、目視出来ると言うことは術を掛けていないという事。それなら多少短縮出来ると言うことか。


「ふふふっ、まさかそのような捨て身で回避するとは……。だが今度は逃がさん。─霞─」


 恐らくは、さっきみたいに認識出来ず、体が消える技であろうが。


「腕よ。」


 俺は腕を魔導師の足元に出現させて、その胴体を腕ごと押さえ込んだ。


『さて、魔力の右腕を媒介にして〔魔力吸収〕!』


 アイ曰わく触れていればほんの少しずつ魔力を吸収出来るらしいこの魔術で、相手の魔力を根こそぎ奪う。


「ぐぬぬ………。」


 銀髪の魔導師は呻く。そして、奪い始めて少ししたら村上さんが来た。


「はあ、何してるの?アンタら。」


 その問いに対する答えを俺は持ってないけど。篠原さんが巻き込んだし。

 篠原さんが、いつのまにここにいたのかは分からないが、答えた。


「これで店行けるよね。」


 呆れ半分の村上さんが言う。


「勝手に人の心を読まないでって。」





「いただきまーっす!」


 そんな野中の声を聞きつつ、ラーメンを頬張る。


 やはり有名店なだけあって、絶品である。うん、まあ、あまりこういうの、味の違いが分からないんだけどね。どう言うのが良いのかってのが。


『いいなあ、そんな良いもの食べたこと有りませんよ……。』


 いや、お前、食べ物たべた事無いだろ。


『……ん?そう言われてみればそうかもしれませんな。』


 おかしな事言うなよ。全く。


 篠原さんがこちらを驚いたように見ていたような気がしたが、気のせいだろう。


 今回の一件は、村上と何度も戦闘をしている妖狐が引き起こしたものだ。村上と因縁があったらしいが、元々は村上の神社に仕えていた狐だった事が有る事くらいしか村上は鐘本に言わなかった。

 因みに、狐の処分はそこまで重くはならないらしい。



 ラーメン屋を満足げに出る一行。


 そんな中暗い顔をしている少女が1人。


 彼女はこう呟いた。


「さっきのは、何だったの……?」


 だがそのつぶやきは人の耳には届かず、消えた。

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