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どこまでも続く階段の途中

作者: 見崎志念

 人は、誰しも階段の一段にいる。

 それも、色のない、ただ真っ白な階段を、一段ずつ埋めていく。

 でも人は、真っ白なんて嫌だから、自分で色をつける。

 ある人は、一人が嫌だからと、下手くそな人を書いてとなりに縛り付ける。

 ある人は、自分は優れているからと、エスカレーター見たいに落書きをする。

 ある人は、自分は落ちこぼれだからと、黒いインクで見えない様に塗りつぶす。


 幅の広い階段は、次の段差が見えないほど遠かった。小さい頃は、手を伸ばせばすぐ次に行けたのに。


 隣の人は歪んだ鏡のせいで、すごく遠くを歩いているようで、あるいは、自分のはるか下を歩いているようで、正しい距離は分からない。


 人はずるいから、誰よりも先をいきたいけれど、怖がった。転がり落ちそうな高さで、戻れなくなった深い場所で、人は、新しい方法を思いついた。一段先は、別の自分なんだと、自分を作って、一段先に歩かせる。皆がそれをやるから、それが普通になった。


 一段先へ簡単に踏み出せる人は、きっと、舌を出して笑うんだ。


 人はまた、一段先に、自分を作る。

 たどり着いた段差を、怖がって。

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