会戦二手目 ダウトフルとプロモーション
〜エルフ集落:作戦本部司令室〜
2日目夜。
敵勢力の侵入から2日が過ぎた。
南方はミノタウロス、ドワーフ、カーバンクルが有利に戦闘を進めておりこのまま行けば明日にでも突破できるだろう。
VCを開き休んでいる彼女らに労いの言葉をかける。
「お疲れ様。体の方は大丈夫か?」
「問題ありません。油断はしていませんが逆に拍子抜けです」
「.........そうか。さすがは迷宮筆頭守護者だ。頼もしいな」
「身に余る御言葉です」
他の二人はもう寝ているらしい。
こちらでマップを監視してるので夜間の歩哨に立つ必要はない。
これで兵達にゆっくり休んでもらえる。
西方面も上手く敵の行軍速度を遅らせながら後退している。
敵は森の中を各自、散らばり散開隊形で移動しているのでゲリラ的に攻撃を仕掛けられる。さらに此方はマップを使用でき相手の位置が把握出来るので遭遇戦を有利に進めている。
夜間は夜戦は控え幾つかテントを張った簡易的な収容陣地で休んでもらう事にしている。
北に侵入した猪大鬼と東に侵入した大鬼はそれぞれ小鬼と豚鬼の上位種らしいので北と東の防衛方面は手をもてあましている。
小鬼や豚鬼よりも体が大きい分、進軍速度が遅くなっているのが救いだ。
生半可な攻撃では手に負えないと判断しミノタウロスには東周りで行ってもらうことにしている。
この戦いでこちらにも負傷者は出ているが命に別状はない。
序盤としての現状はまずまずだが実際に戦闘に入り気がかりな事がある。
ここまでの戦術を運用する敵がただこの現状を傍観している事だ。
「数に頼っただけの進軍。兵の配置や侵攻のタイミングにあれだけ気を使っていたのに対して開戦後は何もしかけて来ない。何故なんだ?」
「疑問ですね。まさかこの戦術一つでこちらを殲滅出来ると考えていたのでしょうか?もしそうならば舐められすぎですね」
「流石にそれは.......。何か相手にとって予想外の問題が起きそちらに気を取られている可能性もあるが。何か動きがあるとすれば明日だろうな」
「ええ、そうですね。明日にはミノタウロス達が南方の侵入者を撃破できますからね」
「相手が黙ってそれを許すとは思えんからな」
この戦いのポイントは主力の拘束時間だ。
相手からしたら主力を長く拘束しておかないと作戦が崩れる。
本当なら今日にでも動きがあるはずだったのだが.........。
「考えすぎだと思いますが何かの罠の可能性もあるかもしれません」
「............。この手の問題は考え出すと切りが無いが留意しておこうか」
「サラ様から先程VCがありまして無事、解放できたようです。これで相手の裏を付く最善手を打てます」
「システム解説は注意事項の欄しか読んでなかったから仕方ないがまさかダンジョンにそんなモノがあったとはな」
〜2日前〜
「次の一手か。戦局が動いてないこの段階では難しいが上手くすれば敵の裏をつく事も出来るよな」
「はい。その通りです」
「だが、このダンジョンの全戦力はもう前線に出してるからここから出来る事は限られてくるぞ?」
敵はこちらの戦術を読んでいると思うがここは無難にこのままの戦術で行くべきだ。
もはや各方面、戦闘に向け動き出している。下手に戦術を変えたりすれば、綻びが生まれるだろう。
「作戦はこのままでよろしいかと思います。私が上申したいのはサラ様とシャロン様が解放に向かった纏核武装の運用の事です。どこに配置するのが最善かと言う話ではないのですか?」
「ん?ちょっと待ってくれ。さっきから話に出てる纏核武装とは何のことだ?」
サラマンダーが目を見開き驚いた顔になる。
火の妖精のくせにいつもクールな彼女にしては珍しいことだ。
ギャップ萌え最高〜!
なんて事を考えながらガッツポーズをとっているとジト目で見られていた。これも彼女の新しい一面だ。
年上系美人が見せる意外な仕草はグッとくるものがある。カワイイです。
「君主様?ダンジョンシステム解説は全部お読みになりましたか?」
「ヨンデナイデス」
怒ると怖い事がわかった。
クールに見えても熱い青い炎のようだ。
今後気をつけよう。
「纏核武装はダンジョンの核が生み出す装備の事です。ダンジョンの発展と共に蓄積される魔素が具現化したものと考えられておりダンジョン防衛において無類の力を持っています」
「それにサラが選ばれたって事か?」
「そうです。解放には王族の力が必要ですのでシャロン様が付き添われて行かれました。だいたい2日ぐらいで解放出来るようです」
と言う話をしたのが2日前だ。
そして、現在俺の前には三つ折り状態の長弓を手に持つサラが立っている。
装飾されすぎて実用性がないように思えるその弓は【茨翠嵐】と言うらしい。
「お待たせ致しました君主様。これより殲滅を始めます」
如何でしたでしょうか?
感想お待ちしております。