妖精のお花畑
俺たちが目指す目的地、妖精の花畑は比喩やネットスラングではなくそのままの意味だ。
鬱蒼と茂る木々の間を抜け進むと森の真ん中に大きな野原が現れた。
森に囲まれるように存在する野原には花々が咲き小川が流れ穏やかに太陽の光が注いでいる。長閑という言葉が相応しい光景に心が休まる。
妖精の花畑というだけあってあちこちに妖精の姿を確認することが出来きテンションをあげているとシルフに興味があるのかマンドレイクとドリヤードが近づいてきた。
マンドレイクは人間の子供のような見た目をしているが肌の色は緑で頭に花が付いた髪留めをしている。
ドリヤードはマンドレイクの亜種で容姿はマンドレイクと同じだが背中に羽が生えており飛ぶ事が出来るらしい。
シルフが少女だとするとマンドレイクとドリヤードは童女と言ったところだろう。
シルフが戸惑っているとどこからかマンドレイク達が集まり出して賑やかになる。
どうやらマンドレイク達はシルフと遊びたいようだ。
シルフが困ったように俺を見つめてくるのでいいから遊んでやれと言ってやる。
良好な関係を作っておくことは必要だ。
シルフ頑張れ‼︎‼︎せっかくできた友達は大切にしないとな。
猫妖精と犬妖精が花畑に座り休憩している俺の周りを物珍しそうにしながら飛んでいる。
猫耳‼︎‼︎‼︎犬耳‼︎‼︎‼︎
手のひらに乗るくらいの大きさの妖精だ。
手乗り幼女だと!?
耳をピクピク尻尾をフリフリ、羽をパタパタ飛ぶ姿は愛らしく気が狂いそうになる。
決してロリコンではない俺がロリコンに目覚めてしまいそうになる恐ろしい場所だ。
まさしく妖精の花畑に相応しい。
では気を取り直し本題に入ろうか。
モンスターの強さについて検証してみよう。
マップを開き赤く表示されている点をタップしステータスを表示する。
今回表示したのは俺の膝の上に座り気持ち良さそうに寝息を立てているドリヤードだ。
近寄ってきたドリヤードがあまりにも可愛くてつい膝の上に乗せ頭をナデナデしてたら懐いてしまったのだ。
完全に安心しきっており身を俺に預けている。呼吸時に微かに上下する肩が愛おしく抱きしめたくなるのを我慢するのは容易ではない。
名前:ドリヤード
性別:女
種族:【妖精種】
種族LV23
HP:300
MP:1000
STR:100
VIT:100
DEX:800
AGI:500
INT:900
MND:700
CHR:500
LUK:800
HPがヒットポイントで体力ゲージ
MPがマジックポイントで魔力ゲージ
STRが筋力、近接攻撃力
VIT が防御力、自然回復力、HPの最大量
DEX が集中力、命中力、遠距離攻撃力
AGIが回避力、攻撃速度
INTが知力、魔法攻撃、MPの最大量
MNDが精神力、魔法防御力
CHRがカリスマ、魅力
LUKが幸運度 固定値なのでLVアップで変動しない
うーん。やっぱり数字見ただけではわからない。
ウンディーネやシルフ達と比較しても数値の大きい小さいしか判断できず強さ的にはどうなんだろう。
物思いに耽っているとドリヤードがいつの間にか起きていて心配そうに俺の顔を見上げているので大丈夫だよと頭をナデナデ。
気持ちいいのかくすぐったそうにしている。
「どうしたものか。サラさん。具体的に強さの基準になるものは無いですかね?」
隣に立ち周りを警戒をしているサラに声をかける。
「一概には言えませんが種族LVを判断基準にしては如何ですか?」
「それは俺も思ったんだが。種族ごとに能力の構成と傾向が違うからな」
ゲームにおいて勝つ為に重要なものはLV、装備、アイテム、技や魔法そしてプレイヤーの習熟度だ。
単純にLVをあげて貴重な装備を手に入れれば誰でも強くなれるが、身の丈に合わない性能の上に胡座をかいて振る舞う者はいつか足元をすくわれる事を俺はゲームで知っている。
要するにLVだけが全てじゃないって事だな。
勿論、LVや装備も大切なのだが、戦闘においてはそれぞれ自分の役割を理解し考えながら立ち回る必要がある。
俺たちのように集団でダンジョンを守るなら尚更だ。
「..........模擬戦でもしてみる必要があるのかなぁ」
「・・・戦うの?苦手!やだ」
「そうか。苦手か。戦闘向けの種族じゃないしな」ナデナデ
「回復なら出来る!」
「そうか。そうか。なら後方支援担当だな」ナデナデ
「こーほーしえん?頑張る!」
まぁ強さの基準は置いといて適性で判断して運用して行こう。
この森には攻撃に特化した種族もいるようなので心配はしていない。
次は西へ向かおう。
如何でしたでしょうか?
感想などお待ちしております。
よろしくお願いします。