荊嵐無双
「お待たせ致しました君主様。これより殲滅を始めます」
「いやいや。今は夜ですよ。朝になってからで大丈夫ですので」
「心配にはおよびません。この弓は地脈を経由して敵の位置を把握しますのでダンジョン内なら何時如何なる時でも使用できます」
〜エルフ集落:広場〜
「それでは始めさせて頂きます」
サラが弓に魔力を送ると三つ折りの状態から一瞬で展開し弦が自動でチューニングされる。
「地脈接続_。【承認】」
「マップ照準同期_。【承認】」
「核を経由し術式展開_。【承認】」
《地脈に接続完了。敵勢力捕捉完了》
地脈から溢れた魔力が収束し矢を形成する。
弓に魔力の矢をつがえ斜め上に向け構える。
サイトと言われる弓の照準器から緑光が放たれる。
照準と同期した西方面マップに大規模な円が浮かび上がりその円の内部にはオークの夜営地点がすっぽりと収まっている。
「照準_会いました!」
「ここから狙うのか?無理だろ!」
「地脈経由で魔素燃料を使用しております。ダンジョン内全てが射程圏内です」
「.......了解。始めて下さい」
(もう何も言うまい)
「_通れ」
サラは矢を射った。
矢は金属同士がぶつかるような澄んだ音と共に、1条の光となって放たれ残光を残しながら飛んでいく。
矢が照準通りの場所に爆風を伴い着弾すると荊棘が地面から突き出し円の内部にいるオークを串刺しにする。
これが【茨翠嵐】の地対地専用スキル荊嵐殲の効果だ。いわゆる範囲間接攻撃である。
オーク達が理由も分からず蹂躙されて行くのをマップを通して見る。
(無茶苦茶だ。パワーバランスがおかしいだろこれ。モウ戦術ナンテイラナイヨネ)
「殲滅終了と判断します」
「ゴクロウサマデス」
戦術にこだわりすぎてこの世界が魔法やスキルがあるファンタジー世界だったことを完全に忘れていた。
「君主様?何故落ち込んでおられるのですか?」
「...............。」
チートでもなんでもさっさとケリがついた方が良いに決まってる。
「ありがとうサラ。連続使用は可能なのか?」
「ダンジョンの魔素を使用していますので多用すると魔素不足になるかと思われます」
「そうか。あと二発行けるか?」
「問題ありません」
「良し。使用した分のマナ回復はどのくらいだろうか?」
「このダンジョンの規模ならば半日で回復します」
「すげー」
「では始めます」
〜翌日〜
サラの一人無双で戦闘は一方的に終了した。
どうあがいても弾道ミサイルに歩兵が勝てるわけがないが余りにも呆気なかった。
スキル【荊嵐殲】で生じた荊棘により殲滅されたゴブリン達は光のエフェクトに包まれ霧散したので処理する手間が省けて助かる。
明日にはエルフ達も戻り普段通りの平和な生活がまた始まるだろう。
伸びをしてベットから上半身を起こす。
「結局、黒幕は分からず終いか。ん?」
「君主様ぁ........。サラはぁ....お慕い申し上げておりますぅ」
「君主様が......愛おしぃ」
「むにゃむにゃ」
三者三様に寝言を呟きながら幸せそうに寝ている。
えっ!?サラさん、サラマンダーさん、シャロンさん何故ここに?
一人でどぎまぎしていると
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猫獣人族のクロと犬獣人族のシロがダンジョンマスターに謁見を申し出ています。
許可しますか?
《YES//NO》
YESを選択すると謁見者を集落広場に転送します。
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唐突にアナウンスが流れる。
朝からなんのようだ?
さてどうしたものか。
とりあえず、皆を起こしてから考えよう。
ひと段落着いた矢先にまた面倒ごとが転がり込んで来たのと言う事は嫌でも分かる。




