だから僕は君が嫌いになれないんだ
普段は授業中(←)ノートに書いて、それを手直ししながらパソコンで投稿していくのですが、今回はパソコンの前で思いついて、そのまま書きました。
沙夜菜がかなーり背伸びして書いた、久しぶりの恋愛モノですv
僕は、一人喫茶店の一角に座っていた。
早くも無くなってしまったアイスコーヒーをしつこくストローで吸い続け、子供の頃にまだ幼かったあの子と二人で、ストローで氷を浮かせたりして遊んでいたことを懐かしむ。
──でも。
三時に来るはずの君は、三時半になっても来ない。誘い出したのは僕だから僕が先に来るのが道理だと、そう思って僕は三時の十分程前には来ていた。三時になった頃にアイスコーヒーを頼んだけど、今はそれが無くなって氷だけになり、その氷さえ溶けてきてコップの底には水がたまっている。
それほど、君が遅れてるってことだ。
心の中でつぶやき、僕は一人、ため息をついた。
四時になって、周りのお客が徐々に減ってきた頃、そして僕が一人で一時間以上も居座っていることに不信感を抱かれつつあった頃、喫茶店のドアの方でベルが鳴った。時間帯的には珍しい、新しいお客だ。
もしかして、君が来たかな。
そう思ってそちらへ目を向けると、拗ねたような顔の君が立っていた。僕が立ちあがって合図をすると、その表情は一段と不機嫌になって君が歩いてくる。
「まだ待ってたの?」
僕はうなずいた。
「一時間も遅れた人を?」
また、僕はうなずく。
「……三時って、言っただろ」
僕の声まで若干不機嫌そうに聞こえてきて、自分が拗ねてどうする、と内心あわてる。
「だって」
そこまで言って小さく頬を膨らませ、君は席へと腰かけた。
「……もう何か飲んだの?」
机の上のコップを見て聞いてくる。
「それほど、君が遅かったってことだ」
さっきの心のつぶやきを、今度は口に出して言った。
「だって」
もう一度君は言い、顔を背けた。その頬は薄紅色に染まっている。
「服と、髪型が」
──決まらなかったんだもん。
言葉の続きは、必死で耳を澄ませないと聞こえないほど、小さかった。鈍感と昔から言われる僕は、その意味がよく分からなくて首を傾げる。
──ちょっと喫茶店来るくらいで、一時間も格好に悩む人がどこにいるんだよ。
「あなたと会うのに、適当なカッコで来れないもん」
理解できないという態度を見せた僕に対し、むきになって君が言った。
おぉ、これは。
『あなたと会うために、カッコに悩んだんだもん』
頭の中で言い換え、口角が上がりそうになるのを懸命に堪える。
子供の頃から約束の時間をほとんど守らない君で、付き合ってからもそれは全然変わらなくて、今日呼び出したのは別れ話を切り出すつもりだったからなんだけど、
だから僕は君が嫌いになれないんだ。
若干、在り来たりだったらごめんなさい^^;
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。