1960年代の中東
1. 1960年代中東の大前提構造
● 基本構図
• 中東は「脱植民地化は進んだが、統合には失敗」
• 強大なイスラエル国家が存在しないため
→ 民族的対立よりも「政権の正統性」「資源配分」「大国代理戦争」 が主
軸
• 冷戦構造は
日英中心の連合国圏 vs ドイツ圏(+東米)
の間で展開される
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2. イスラエル不在の影響(非常に大きい)
史実との最大の違い
• 第一次〜第四次中東戦争が存在しない
• 「アラブ統一 vs イスラエル」という明確な敵軸が消滅
その結果:
アラブ諸国は
• 対外戦争ではなく
• 国内対立・クーデター・政権闘争にエネルギーを消耗
パレスチナ
• 国家化されない
• 英仏委任統治の残滓+アラブ諸国の緩衝地帯
• 難民問題は局地的で、世界的争点にならない
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3. スエズ運河とエジプト
■ スエズは「連合国の生命線」
• 連合国(日本・英国・英連邦)が絶対死守
• ドイツのインド洋・中東進出を阻止するための要衝
■ エジプトの立場
• 史実のナセル主義は弱体化
• 軍事政権は成立するが、反英一辺倒にはならない
エジプトの特徴(1960年代)
• 名目上は非同盟
• 実態は 英日寄りの現実路線
• スエズ国有化のような強硬策は起きにくい
→ 英日軍事介入のリスクを理解しているため
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4. アラブ諸国の状況別整理
■ サウジアラビア
• 王政存続
• 石油は史実以上に重要
• 日本との関係が極めて強い
• 日本:エネルギー安全保障
• サウジ:技術・インフラ供与
→ 「日サ同盟に近い経済関係」
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■ イラク・シリア
• 不安定国家
• クーデター頻発
• ドイツが影響力を行使しやすい地域
ただし:
• ナチスの人種政策への警戒感も強く
• 完全な傀儡化は困難
→ 慢性的な内戦・権力闘争状態
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■ イラン
• 極めて重要な位置を占める
理由
• ソ連崩壊後の「中央アジアへの門」
• ドイツ・連合国双方が影響力を狙う
1960年代のイラン:
• 王政は存続
• 反共・反ナチス色が強い
• 日本・英国との軍事協力が進む
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5. 中東におけるユダヤ人問題
■ 中東には大規模なユダヤ国家は存在しない
• ユダヤ人の主たる避難先は
• 東方イスラエル(極東)
• 西米の一部地域
■ 中東のユダヤ人
• 戦前からの小規模共同体は存在
• しかし:
• 欧州での大量虐殺
• 英本土・東米での粛清
の影響で数は激減
→ 中東は「ユダヤ問題の中心」ではなくなる
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6. 大国代理戦争の舞台としての中東
1960年代の中東は:
• 朝鮮・米国ほど激しくはないが
• 低強度の代理戦争が常態化
例
• クーデター支援
• 武器供与
• 石油利権を巡る政治介入
• 情報戦・諜報戦
特に:
• ドイツはイラク・シリア方面
• 連合国はサウジ・イラン・エジプト方面
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7. 1960年代中東の総括
この世界線の1960年代中東は:
• イスラエル不在により「民族大戦争」は回避
• その代わり
• 権威主義国家の乱立
• 石油と運河を巡る大国政治
• 永続的な不安定
という状態。
一言で言えば:
「爆発しないが、常に燻り続ける中東」




