改変されたポーツマス講和会議
1. 講和会議までの背景:両国の力関係は史実と逆転
■ 日本
• 奉天で主力の1/3を失い、戦線維持不能
• 財政破綻が目前(臨時軍事費の枯渇)
• 朝鮮半島北部も露軍が進出しつつある
• 日本海海戦の勝利で「国土防衛」は確保したが
戦争目的はすべて達成できず
日本は“勝っている海軍と負けている陸軍”の矛盾を抱え、
最小限の体面を保つ講和を求めざるを得ない。
■ ロシア
• 陸戦勝利で満州と北朝鮮を掌握
• 国内の反戦機運はあるが、史実より弱い
• 皇帝側近は「この勝機を逃すな」と強硬派が主流
• ただしバルト艦隊の壊滅は大きく、極東での攻勢継続は困難
ロシアは“最小限の面子回復”ではなく
**「満州・朝鮮の優位確保」**を堂々と要求できる状況。
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2. 開幕前の外交戦:アメリカは日本に同情しつつも助けない
■ セオドア・ルーズベルトの判断
史実同様に仲介はするが、この世界では次の判断を下す:
• 日本はすでに限界→「ロシアに譲歩せよ」
• 満州・朝鮮の全面掌握をロシアに与える気はないが
• 「門戸開放」と「極東秩序の安定」が守られれば妥協可
アメリカは日本を救う気はあるが
ロシアに“過度な圧力”はかけない。
史実の「日本の要求をルーズベルトが後押し」という構図は完全に崩れる。
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3. 会議の参加者と雰囲気
場所はもちろん史実同様にニューハンプシャー州ポーツマス。
しかし雰囲気は決定的に違う。
■ 日本代表
• 小村寿太郎(外相、史実同様)
• 山県系の強硬論者は排され、消極和平派で固められる
• 「日本は勝者だ」とは口にできない空気
■ ロシア代表
• セルゲイ・ウィッテ(史実同様)
• 歴史世界線よりずっと強腰
• 奉天勝利を背景に“帝国の威光”を前面に押し出す
■ 雰囲気
史実の「ロシアの敗戦国ムード」は完全に消え、
むしろ日本側が萎縮し、ロシアが堂々とふんぞり返る。
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4. 争点:何を巡って対立したか
この世界での主要争点は以下の5つ。
1. 満州の帰属(軍事・租借地・鉄道)
2. 朝鮮の地位(独立か、ロシアの優越か)
3. 旅順・大連の租借権の譲渡問題
4. 賠償金(ロシア要求型になる)
5. サハリン(中立化、またはロシア単独領)
史実との差分の最大点:
・賠償金:史実と逆でロシアが日本に賠償を求める構図
・満州の主導権:ロシアが維持、日本は二軍的地位
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5. 交渉の推移:日本は「損害最小化交渉」へ
以下、時系列で描きます。
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第1段階(初週):ロシアが強硬要求を突きつける
ロシア側要求:
• 満州の軍事占領権の維持
• 南満州鉄道(長春以南)も可能なら露国の管理
• 朝鮮は「外交権は朝鮮王朝に残すが、実質露国顧問団を置く」
• 日本は朝鮮からの完全撤兵
• サハリンはロシア領
• 日本は「無益な戦争を継続した責任」として賠償金を支払うべき
日本側は当然拒否するが、
奉天敗北の事実があり、反論に迫力を欠く。
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第2段階:アメリカの介入(ルーズベルトの調停)
ルーズベルトは次の方針を提示:
• 満州はロシア軍の駐留を認めるが、門戸開放を遵守
• 朝鮮は「独立」を建前にしつつ、実質ロシア優位の状態を黙認
• 賠償金はゼロ(ロシアが引くよう圧力)
• 旅順・大連はロシアの租借のまま
• 日本には「鉄道の有限な通行権」のみ付与
これはロシア寄りだが、ロシアも「賠償金ゼロ」以外はほぼ満足。
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第3段階:日本の譲歩(交渉中盤)
日本側は次の線で妥協を模索する:
• 満州南部の鉄道使用権(管理権はロシア)
• 開港都市での日本人居留と通商権(これは国際法上当然)
• サハリン北緯50度以南の中立化(←ロシアは拒否)
• 朝鮮独立の明文化(←ロシアはOK。だが実質介入継続)
日本の真の狙いは「賠償金だけは阻止」
→ これはルーズベルトが支持し、ロシアも最終的に引く。
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第4段階:最終妥結
最終的に、以下の条項で合意。
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6. この世界線の“改変ポーツマス条約”
■ 1. 満州に関する条項
• ロシア軍は満州全域(旅順・大連・長春・吉林)に駐留を続ける
• ロシアの租借地(旅順・大連)は継続
• 南満州鉄道の管理権はロシア
• 日本には「使用権」「通行権」のみ
• ロシアは門戸開放(外国勢の通商自由)を約束する
※日本は旅順も大連も得られない。
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■ 2. 朝鮮に関する条項
• 朝鮮の完全独立を双方が承認
• 日本は軍と顧問団を撤収
• ロシアは「朝鮮政府の要請に基づく顧問派遣」を認められる
→ 実際には露韓密着化の入口
• 朝鮮は中立国として扱われる
※史実の「日本の保護国化」と完全に逆転。
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■ 3. サハリンに関する条項
• ロシアが全島を保持
• 日本人漁業権は限定的に認められる(史実より弱い)
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■ 4. 賠償金
• 双方請求せず
• ただし日本が戦争捕虜の返還費用を負担(名目上)
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■ 5. その他
• 日本は満州・朝鮮の軍事的利権を全面放棄
• 通商条約や治外法権はそのまま維持される
• ロシアは極東での軍事整備を続行できる
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7. 会議後の反応(両国内)
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日本国内
• 史実以上の失望
• 「満州も朝鮮も失うとは何事か!」と軍部・世論が激怒
• しかし財政破綻寸前で「講和しかない」状況は誰も否定できず
• 小村は「国土を守っただけで精一杯」と弁明
• 日露戦争は「不完全勝利」どころか
**“海軍だけ勝ち、陸軍が負けた敗戦”**という歴史観が主流になる
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ロシア国内
• 「旅順の屈辱を雪いだ」と高評価
• 戦争長期化と財政負担は不満だが、
奉天・満州支配の維持が大きな成果として受け止められる
• 皇帝政府の威信は史実より保たれ、
1905年革命は規模が縮小する
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8. 最終評価:この講和は“ロシア優位の妥協和平”
この世界線では、ポーツマス会議の本質は以下の通り:
ロシア:満州と朝鮮の主導権を事実上確保
日本:国土防衛と海軍の威信を守りつつも、満鮮を失う
史実とは完全に逆の力関係が反映された講和になる。




