日本海海戦の影響
1. 日本海海戦直後(1905年5月28日~6月初旬)
▼ 日本国内:歓喜と安堵、だが「運よく助かった」という空気
奉天大敗北で沈んでいた日本国内は、日本海海戦の勝利で一気に沸き立つ。
しかし史実と違い、
「勝ったが、国家は危険な状態だった」
という“冷静な現実感”が伴う。
• 陸軍:遼陽の防衛線で限界
• 兵力動員はすでにピーク、予備兵力ほぼ皆無
• 財政は戦費の増大で崩壊寸前
海軍勝利の熱狂があるものの、
政府・軍首脳部は続戦が不可能であることをよく理解していた。
→ 日本側:講和の必要性が史実以上に切実。
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2. ロシア側の反応(5月末〜6月)
▼ ロシア帝国:衝撃は史実以上
奉天勝利で「まだ勝機がある」と思っていたロシアは、
日本海での壊滅により完全に逆転される。
• バルチック艦隊壊滅で、海上輸送は皆無
• シベリア鉄道は単線で兵力補給に限界
• 戦局挽回は不可能
• 国内では革命運動(1905年革命)が再燃、皇帝政府は動揺
ロシアにとっても講和は“必須”になる世界線。
史実以上に、
• 政府も世論も「戦争継続不可」
• 皇帝側近は平和条件模索を急ぐ
となる。
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3. 国際世論の反応(6月)
▼ 英国:日露双方に講和を強く促す
英国は史実以上に強い危機感を持つ。
理由:
• 奉天の敗北で日本陸軍が崩壊寸前
• 日本海勝利が「最後の一撃」に見える
• このまま戦争が長引けば、日本が崩れる可能性が高い
• ロシアが満州・朝鮮で優位を確保し続ける懸念
英国は日本に対して非公式にこう助言する。
「今のうちに講和せよ。次は勝てない」
日本側もそれを理解し、講和の機運が高まる。
▼ アメリカ:仲裁の動きを加速
ルーズベルト大統領は、
史実以上に「自分が介入しなければ戦争が泥沼化する」と判断。
この世界線では、
• 奉天敗北の情報があり、
• 日本が追い詰められていることも把握
→ アメリカは仲裁の積極性が史実より強い。
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4. 日本政府内での講和決定プロセス(6月中旬〜7月初旬)
▼ 桂太郎内閣:講和一択
海軍の勝利で国民感情は高揚しているが、
財政・軍事・兵站状況は最悪。
陸軍参謀本部の分析:
• 戦線維持はあと数ヶ月が限界
• 兵站崩壊に近い
• 予備兵の質は低化
• 追加動員は国内経済破壊につながる
海軍も同意:
「バルチックの次が来れば防げぬ」
財政は寺内財務大臣が「破綻寸前」と直言。
日本政府は、日本海海戦の勝利後1週間以内に“講和一択”を確定。
▼ 国内の講和派・主戦派の構図
• 講和派:政府、山本権兵衛、財界、外務省
• 主戦派:一部の陸軍強硬派、新聞世論
ただし奉天敗北の影響で「続戦不可能」が明白なため、
主戦派の影響力は史実より小さい。
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5. ルーズベルトへの仲介依頼(7月初旬)
日本はアメリカへ正式に仲介を依頼する。
史実では「日本側がアメリカに依頼」する形だったが、
この世界では、
• 奉天敗北により「自国不利」の自覚が強い
• ロシア側も講和を望む
• ルーズベルトも早期収束を望む
三者の利害が一致しており、
仲介プロセスは非常にスムーズに進む。
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6. ロシアもアメリカに仲介を依頼(7月中旬)
ロシア政府は、
• バルチック艦隊全滅
• 貴重な戦艦の損失
• 国内革命の危機拡大
などを理由に、史実より早く、
アメリカ仲介を受諾。
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7. 講和会議の準備(7月下旬〜8月初旬)
▼ 交渉の焦点がすでに見えていた
この世界線では奉天大敗北があるため、
日本の「要求最大値」が史実とは異なる。
史実の日本の要求:
• 満州権益(鉄道・租借地)
• 朝鮮半島の優越権
• 賠償金
この世界線では:
日本は満州・朝鮮の要求を大幅に控える
理由:
• 日本の戦略的敗北(奉天)
• 財政破綻寸前で占領統治維持不能
• 陸軍が既に満州・遼陽から退く準備
日本の方針(この世界線)
• 朝鮮:国際中立化または列強共同管理(優越権は求めない)
• 満州:南満州鉄道の一部利用権を求める程度
• 賠償金:現実的には断念方針
• 南樺太:譲渡可能なら要請(ただし優先度低)
• ロシアの極東での軍備増強停止を要求
つまり
日本は「権益よりも安定と和平」を優先する外交姿勢。
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8. ポーツマス講和会議(8月10日開始)へ
以上の経緯により、
史実では日露双方にまだ不信感が残っていたが、
この世界線では双方が「続けられない」状態で会議入りする。
→ 会議は史実よりも緊張が低い
→ “日本強硬・ロシア拒否”という構図は薄い
→ 書類仕事のように淡々と合意形成へ進む
講和成立の確度は史実よりはるかに高い。
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まとめ:奉天大敗北 → 日本海大勝利 → 講和の流れ
1. 奉天敗北で日本は「続戦不能」の状態
2. 日本海海戦勝利は“奇跡の延命”
3. 日本政府は即座に講和方針を決める
4. 国際社会(特に英米)は講和を強く支持
5. ロシアも革命危機で講和を急ぐ
6. 交渉準備は史実以上にスムーズ
7. 会議は淡々と始まり、権益の争奪は縮小
8. 最終的に早期終結の方向へ流れる




