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p9 反抗期

前回のあらすじ

アダマスが一夜にして圧倒的な量の材料を取ってきて、拠点作りが始まろうとしたとき、神様が変なことを言い出した。今、何もすることがないから、新しいことをしよう。そうして、魔法工学というものをすることに。実は魔法工学の職人だった獣人の妹、デルに依頼し、最初に作る物を決める。

それは「中枢型魔工知能体」というものだった。

「なんすかそれ」


 とても長くて中二病みたいなネーミングだ。でも、魔法工学って言うんだから名前通りすごい感じの物なんだろうな。


「ええとね、要はいろんな情報や知識、国民の魔力などを管理するAIだよ。他にも超絶便利機能があるやつ」

「カミルルスさんの存在意義が消えそうな気がする」

「ヘックシュン! ……風邪でも引いたかな?」


 遠くからなにか聞こえたような? 気のせいか。


「あ、うん。現実でもそんな感じのものがあった気がするけど。」

「そういうのとは結構違う。あとクソ便利だよ。」

「うーん。まぁ神様が言ってるんだからいいものなのは認める。でもどう作るんだ。」

「さっき言ったとおり、魔法工学の材料は取得が難しい素材が大量にあるからねぇ。ま、頑張ってよ!」

「んな適当な!」


 昔RPGもやってたから分かるんだが、こういうのは絶対龍の卵とか伝説の鉱石とか必要な奴だ。てかああいう素材どこに使ってんだろ。材料の量と完成品の割合が釣り合って無くない?かっこいいからいいけど。


「材料採りはアダマスと猫がいたら大丈夫でしょ! 承諾でいいよね? おけありがとう!」

「何も言ってないんですが。」

「じゃあ材料を言っていくよ」

「人の話を聞けや! あぁ、もういいや。」


 自分の意見を超押し通してる……


「でもね、たった一つしかないから安心してよ!」

「お、意外とお得。」

「たった一つの材料、{魔法の羅針盤}って言うやーつ」

「なにそれ」


 魔法の羅針盤。ほんとなんか魔法っ!! って感じがする。魔法が何なのか詳しくは分からないけど。


「ま、厄介な所にあるんだけどね。」

「厄介な所?」

「ちょっと、説明が面倒になるんだけど。緋高、昨日寝る前にお前は聞いたと思う。俺の親父……カル・ゼルヘルクとの関係を。」 

「……知ってたのかよ」

「分からないとでも思ったか? お前が寝てるか寝てないかぐらい分かる。羅針盤の場所を説明するには、まず俺の親父の話をしなきゃいけない。緋高、最初の川へ。」

「分かった。」


 俺は神様に言われたとおり、人気の少ない最初の川へ向かった。


「ありがとう緋高。話させてもらうよ。長くなるけど許してくれ。」

「うん。」

「俺の親父、カル・ゼルヘルクは、元々とても優秀でいい親だったんだ。俺にも、優しく接してくれた。でも、アテルが引き取られた日からすべてが変わった。元々アテルは捨て子のようなものだったんだけど、うちの親が引き取った。事実上、俺の妹だ。アテルはとても優秀でね。優秀な能力にとても速い吸収。俺が数か月間かかった奥義のようなものの習得も、数日で完了させた。その圧倒的な才能ゆえに、俺の親父はアテルの才能に溺れ、見劣りした俺を虐待し始めた。アテルはそんな俺を気にかけて、父にやめるよう呼びかけたが、アテルの才能しか見てなかった父はアテルも虐待し始めた。力さえあれば、アテル本人には興味がなかったんだ。」


 意外と重い。こんな神様にもこんな重い過去があったのか。能力不足と言うだけで泣いていた過去の自分を殴りたい


「アテルは、そんな父に嫌気が差して家を出た。そこから虐待はエスカレートし、ついには俺の家を出た。そこでアテルと再会し、父に見つからないため規模が小さい転生科で細々とやっている。」

「ここから本題だ。ゼンバルグの話から、そんな親父がこの世界にいることが分かった。そして、その親父とグルの奴が{魔法の羅針盤}を持っていることが昨日の夜に分かった。中枢型魔工知性体を作ろうって言ったのは、羅針盤のついでに、あいつの情報をゲットするためってこと。」

「なっが。聞く気失せそうだったわ。でも、随分辛い過去だったんだな。お前も。」


 ちょっと失礼だったかもしれない。てか、こんな暗い過去だったのにどうしてこんな性格なんだ?


「分かってもらってうれしいよ。みんなには、悪名高いやつが持っているとだけ言っといてくれ。あと、こんな緊急事態だ。向こう数か月仕事がこなさそうだから、俺がそっちの世界に行くことにする。能力はみんなが見ていないところで使う。遠隔じゃ、能力が荒くなるから能力の痕跡みたいなのが残っちゃうけど、それが無いから、多分神様だと気づかれないと思う。」


 ……ん? いまこの神様なんて言った?


「へ? こっちに来る?」

「うん。事情がなきゃ上に怒られるけど、カルの奴も上といざこざがあったからな。あいつが居るって言ったら許してくれるだろう。俺は新しい仲間とでも言っておけばいい。」

「いや、できるの? だって、転生なんて数分単位で仕事ありそうなんだけど?」

「俺がいる転生科は判断材料なし限定の転生科だから。仕事なんてそうそう舞い降りないよ。」

「なるほどね……そんなピンポイントな」


 さっきの話を聞くに、父に見つからないよう目立たない転生科の中でも小さい判断材料不足限定の転生科にいるんだろうな。


「分かってくれ。お前も俺を生で拝めてうれしいだろ?」

「……まぁ、お前がいいのならいいよ。」

「よし決定だ! おいしい飯用意しとけよ?

「うーん。名前どうしよ。てか、お前の名前なんなん。」

「まったく話聞いてねえな! いいけどさ!」

「だからお前の名前何?」

「あぁ……最近名前なんて使わなかったからうろ覚えだけど……アン・ヴェネスト・ゼルヘルク。ま、ヴェネって呼んでよ。」

「分かった。幽霊の幽太でいいね。」

「え?」


 帰り際、神様に色々言われたがうまく説得して結果ゴーネという偽名を使うことになった。ゴースト×ヴェネだ。

 なんやかんやあったが、さらに生活が楽しくなりそうだ。そういえば、神様って一体どれぐらい強いんだろう。もう遠隔じゃなくなるから、神様の真の力が見れるかもしれない。楽しみだ。

更新遅れました。申し訳ございません。テスト勉強の期間なので更新が不定期になります。ご了承ください。

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