p7 国作りメンバー
前回のあらすじ
職人を手に入れるため、職人の獣人の場所へ向かう緋高とアダマス。
しかし、獣人の寿命はケガのせいで数十分だった。
アダマスの脚力のお陰で15分で着き、工房で妹の襲撃に遭うがなんとか切り抜け、獣人を治しに行く。
獣人が自分を襲った男の特徴を言うと、神様が今までにないほどブチギレた。
「なんと礼を言えばいいか。感謝いたします。私はゼンバルグです。この子はデル。」
「……」
ケガが完治した獣人の男は、俺たちに向かって頭を下げた。デルは、ずっと黙って下を向いている。初めて見た姿はほぼ人間同様であったが、猫耳がついていた。ゼンバルグは二足歩行のオオカミのようなのに、なぜデルだけ人間の容姿をしているのだろうか。
その後、俺たちは自己紹介を済ませた。カミルルスさんの事も話したし、幽霊(神様)の事も話した。
「デル。お前も頭を下げなさい。」
「……ありがとうございました。」
デルは無口な人というより、すねている感じだ。恐らく、我々を襲った手前、感謝するのが嫌なのだと思う。兄を守るために襲ったのだろうから、恥じることはないのだが。
「何か手伝えることはありませんか?」
「あ、その。」
「私たちは今、この世界に秩序ある国家を築こうとしているのだけど、どうしても物作りなどの時に職人であるあなたの力が必要なんだ。私たちと一緒に、国作りを進めていかないか?」
「あ、代弁あざす。」
「……命を救ってくれた恩に比べれば。その要望は安いものです。いいでしょう、手伝います。」
「……」
職人の獣人が仲間になってくれた。妹さんも仲間入りだと思う。これでおおよそ国作りの主要メンバーはそろった。
そういえば、先ほどから神様の応答がない。
「神様ー? 大丈夫?」
「……あ、ごめん。少し考え事。」
「……さっき、ゼンバルグさんから謎の男の話を聞いてから様子おかしいけど、なんなんだ? そいつ。」
「……憶測だったのが先ほど確信に変わった。ゼンバルグを襲った犯人は……」
その後、神様の口から衝撃の言葉が出てくる。
「俺の親父だ。」
「! 親父って……その襲ったやつが?」
「……これ以上言わせないでくれ。思い出したくもない。」
「……ごめん。」
神様の家族の話はあまり聞いてない。その親父と神様の間に何があったのかは分からないが、神様がとてつもなく嫌っているというのは分かる。
「そんなことより工房だ。どうする? こいつの工房、家まで移動はできないぞ。」
「あ、確かに。機械をツリーハウスまで運ぶか?」
「何百個あると思ってんだ。流石に無理。」
「うーん……しょうがない。ここに拠点を移転しよう。」
「ま、それしかないよね。」
とりあえず、家に帰ってカミルルスさんに相談した。アダマスさんたちには、工房の護衛をしてもらってる、
「うーん。別にそこまで思い入れはないからいいよ。いい家に住めるのならうれしいしね。」
「よし、さっそく行動だ。神えもん、大量の素材出して?」
「嫌だ。」
「神ピーの方がよかった?」
「そうじゃなくて、俺が出すより早く集まる方法があるの!」
「え?」
「あ、そうか。カミルルスさん! ちょっと待ってて!」
「うん。」
一瞬考えて、すぐに分かった。そうか、あの人が居るのか。俺はすぐに家を離れてダッシュである人の所に向かった。
「え? 木を伐ってくれ?」
「うん。結構多めに伐ってきてくれない?」
「うーん……この斧だと先に壊れそうな気がする。」
「安心して、そこは幽霊パワーで何とかしたから。」
「幽霊ってすごいね。分かった。多めに採ってくるよ。」
「……たしかに、アダマスさんいれば解決だったわ。」
「だよね。神界でもあんなフィジカルいないよ。」
本当にあの人はなんなんだ。強いにもほどがある。現実に居たらオリンピックで金メダルぐらい余裕だったと思う。
「これで素材は大丈夫。あとは土地だ。でもここら辺は平原だから、土地はもう確保できてる。」
「よし、素材が集まったらゼンバルグさんに家作りを頼もう!」
「あ、その前に頼みたいことがあるから、ゼンバルグのとこに行ってくれない?」
「分かった。」
神様が個人に頼むことは大体重要だ。俺も国作りを頼まれたし。
「どうしました? 緋高さん。」
「緋高、機械外して、ゼンバルグさんに近づけて。」
「? 分かった。」
俺がゼンバルグさんの前に機会を近づけると、かすかに音が聞こえた。
「~~~~~~~~~~」
「……承知しました。できるときに片手間でやるので、納期までに間に合わない可能性がありますけど」
「それでもうれしい。緋高、機械戻して。」
「? なに言ったの?」
「後でわかるよ。」
神様はいったい何をゼンバルグさんに頼んだのだろうか。
そんなこんなで結構な時間がたったが、アダマスさんはまだ帰ってこない。もう夜だ。今日は工房で寝ることにした。
「うぅ、床が固い。布団だけじゃ無理だ―」
「みんなかわいそうだねーw俺は転生科のソファーで寝るからー!」
「お前より先に寝てやる!」
そう言って目を閉じた、夢に落ちる寸前、小さく神様の言葉が聞こえた。
「カル・ゼルヘルク……この世界に居るのか……」
「お前は今度は俺が殺す。アテルの件も晴らさせていただくぞ。」
カル・ゼルヘルク……恐らく神様の親父の名前だ。それより、アテルの件? 神様とアテルさんはどんんな関係なんだ? そんなことを考える前に、俺は深い眠りについた。
某ゲーム機2が欲しい。
明日は休みます。