p5 武力最強の女
前回のあらすじ
カミルルスを仲間に引き込んだ緋高。
工場をつくり、ついに本格的な国づくりがはじまる……と思いきや、国造りというものがよくわからない二人はとりあえず仲間を集めることに。
しかし、緋高はカミルルスがことわざを使っていたことに違和感を覚える。
ことわざという文化はこの世界に存在しないはずなのだ。
カミルルスの謎を解き明かすべく、まずは国造りということで
仲間を探しに旅に出た。
「とりあえず、カミルルス云々の前にいい感じの仲間紹介してくれ。」
「あーはいはい。武力担当から行くよ? ええと、名前はアダマス・ダルクナーデ。年齢21歳、黒髪ロング、胸は中ぐらい。戦闘能力が極端に高く、夜道で襲ってきた男性4名を返り討ちにして更生させたり、ダガーを持った男性数名の攻撃をすべて無傷でよけきり、全員の背後に音もなく近寄り0.5秒で全員気絶させた。武器は日本刀のような刀で、切れ味が異様に鋭い。」
「わ、女だ。」
「飢えてるゾンビか何か?」
「え、ゴリゴリマッチョじゃないよね?」
「安心しろ違う。」
「良かった。」
まだトラウマが消え切っていない。でも多少女欲が減って助かった。
「でもさー、居場所がよくわからないのよねー。その娘めっちゃ隠密得意で僕も時々見失っちゃうんだよね。」
「じゃあ全力捜索しかないか……」
そうやって森や山を探索していると……
「!」
「どしたん神様」
「1時10人、5時4人。山方面だ。」
「あ、かっこいい人が戦いの前に言いそうなことだ。すげぇ」
「時計思い浮かべろ。真ん中に自分がいて、12時の方向に向いている。そうしたらさっき言った場所がどこらへんかわかるだろ。」
「なるほど。右上と右下ね。つまり右斜め前と左斜め後ろね。ってどうすりゃいんだよ!」
「ごめん、一応魔法で何とか出来るけどさ。僕が全力になれたらこいつら眼光だけで失神させれるのに。」
「嘘だろ絶対。て冗談こいてる場合じゃねぇよ! 一体どうすりゃいいんだ……」
茂みから14人のチェンソーを持った男が出てきた。
「こいつら脳筋のくせに文明の利器もってやがる!」
「ちょっと力使えば追い払えるけど……僕は何もしない方がいいかな。」
「なんでだよ! ふざけんな!」
「ま、すぐに分かるさ。」
男たちが飛び掛かってくる。俺には分かった。このまま攻撃を受けたら良い子どころか悪い子にも見せれない姿になることを。でもどうしようもない。
「あ! まずい! コンプライアンス!」
と、その時。謎の影が男たちのチェーンソーの刃を真っ二つに斬った。
「!?」
「なんだぁ? 刃が真っ二つになったぞ。」
瞬きする間もなく、俺の目の前に目の前に謎の美人が降り立つ。
「失せろ、貴様の体がそのようにならないうちにな。」
その美女は男たちに向かってそういった。
「ひぃ! すげぇ圧! 怖!」
「あ、なんだよ嬢ちゃん。そっちこそケガしないうちに逃げな……ってあれ? あの小娘どこいっ」
その瞬間、謎の美女は刀の柄で首をたたき、男たちを瞬く間に失神させた。
「そこの男……というより、その男に憑いている幽霊! こいつらをどっかにやって!」
「たく俺は霊じゃな……まぁ、それでいいや」
そういいながら、神様は男たちを浮かせてどこかへ放り投げた。
「え? 知り合い?」
「いや、初対面。だけど恐らく、てかこの女が」
「アダマス・ダルクナーデ。この世界で知る限り最強の女だ。」
さっきのが最強の戦い。明らかに格が違う。目が追おうとした瞬間にすでに戦闘が終わっていた。
「怖がらせちゃった? ごめーん! つい本能で威圧感出しちゃった。」
「え? 二重人格? ギャップデカすぎない?」
なんだろう、俺の周囲にはとても個性的な人しかいないのか?
「たぶん長旅で疲れているでしょ? 私の家に案内してあげよう!」
「あ、はい。ありがとうございます。」
(あれ? てかそういえば……)
何とか正気に戻った俺は、アダマスさんに一番言いたかったことを言ってみる。
「え? てかなんで神さ」
「俺は霊ってことにしろ。神って言うととさっき言ったとおり面倒なことになるんだよ。」
「ゴホン……霊が憑いているってわかったんですか?」
「こんな世界で住んでいるせいで五感が異様に高くなっちゃってさー、気配で存在しないものまで察知できるようになっちゃったんだよねー!」
「まぁ、一応存在してるけどね……」
「そんなことより着いたぞ! 私の家だ。」
そこにあったのは、ものすごい雑に組み立てられたテントだった。
「「……え?」」
「ん? どうした?」
「神様……多分俺のほうがましなの作れるよね?」
「それだけは認める。多分戦闘以外苦手なパターンだこれ。」
「まぁ、ゆっくりしてって! ごはん用意するから!」
「心配しかねぇ!」
でも、少し安心した。これからこの人が仲間になるのか。戦闘も優れているし、なによりなんか和む。これなら安心だな。そう思った時、なにかいい匂いがしてきた。
「おまたせー! はい! できたよ! ハンバーグ!」
「……え?」
出てきた料理は、プロシェフか! と思うほどものすごいおいしそうなハンバーグだった。食べてみても、そこらの人が作ったものよりも数十倍美味しい。ってか、料理道具は手作りなのか? ならこのテントの雑さはなんなんだ。
「ギャップ萌えやわー。いや、ギャップというより決めつけだけど。」
「僕味覚は共有されてないけど、おいしいってのは分かる。食べてみたい。」
人間得意不得意があって、それがどこなのかはわからない事を、俺はこの人で知った。
「てか、早く仲間に誘えよ。あ、でもお前女と喋れないか。」
「ふざけんな! 俺でもそれぐらいはできるわ!」
「?」
困惑するアダマスさんに、俺は告げる。
「ええと、僕この世界がちょっと嫌で……ルールのある国を作ろうと思ってるんですよ……その、あなたみたいな人が居れば頼もしいし、何より和むので……その……一緒に作りませんか! 国。あなたが必要なんです!」
「うわ、ほぼ告白やんもしかしてそういう目で見てた?」
「馬鹿言ってんじゃねえよ見てねえわくそ神!」
「……」
(あやっべえ流石に言葉選びミスった)
「大丈夫? やろうと思えば惚れさせる魔法とかあるよ?」
「いらねぇわ!」
アダマスさんを置き去りにしてしまっている。ふと顔を見ると、ものすごくぽかんとした顔をしている。……ん? 何か頬が赤い気が。
「え、あの……こんな世界で生きてたから、そういう告白は受けたことなかったけど……気持ちはうれしい。国作りの話は勿論として……あの……その……」
「……」
「いやー陰キャも人生捨てたもんじゃないねー笑 ね? 彼女持ちの緋高くん?」
「うっせえ黙れくそ神!」
「ひどい! アダマスさん! こんな奴やめて僕にしない?」
「え、これどういう状況?」
仲間に引き込めた……ということでいいのだろうか。とりあえず、最強の武力をこの国家は手に入れることができた。なんか変な雰囲気だけど。
最近ZZZにハマって女性戦闘キャラを作りたかったので作ってみた。女性で戦闘できる人っていいよね。