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末狭良子に憧れて

作者: 命野糸水

 好きな女優が容疑者になったことを彼女は入院先のベッド上で知った。末狭良子(すえせまようこ)容疑者がトレンドになっていた。彼女は初め誰かのイタズラもしくはデマ情報だろうなと軽い気持ちで見ていた。


しかしデマではなく事実だった。ネット記事にもなっていたしテレビのニュースでも取り上げられていた。国民的女優が一夜でなぜ容疑者になってしまったのか。彼女はこの件に関し真剣に向き合った。


末狭良子は3日夕方に蛙川パーキングエリア付近で大型トレーラーと追突する事故を起こし鳥田病院に搬送された。搬送時に末狭は意識があり会話が出来る状態で軽い怪我だった。


日付が変わり4日末狭は30代の女性看護師に対し蹴る叩くなどの暴行をして事故の聞き取りに来た警察官に逮捕された。


看護師と末狭の間で何があったのかは分からない。末狭は事故を起こした後でパニックになっていて精神的に不安定で暴行をはたらいたかもしれない。単に看護師に対し腹が立って暴行をはたらいたかもしれない。まぁどちらにしても暴行はダメである。


事故の時末狭の隣には末狭のマネージャーが乗っていたらしい。マネージャーが仮に男性だとしたら末狭は男性の横顔に見つめて事故を起こしたのかもしれない。途中嬉しすぎてホッペにチュッてしたくなったかもしれない。まだ事故を起こした原因は分かっていないらしい。


暴行時マネージャーは別の病院に搬送されていてその場にいなかったらしい。マネージャーがその場にいたら末狭は暴行していなかったかもしれない。


その後のニュースでアルコール検査には問題なかったことが報道された。アルコールによる運転の事故ではなかったということだ。その後薬物検査でも陰性であることが分かった。


 彼女はこの事件に真剣に向き合った。真剣に向き合ったが憧れというのは怖いものである。看護師を蹴れば私も末狭さんに近づけるかもしれない。私は今そのために病室にいるんだ。そうか、これを達成するためなんだ。彼女はなぜかそう考えてしまった。


 記事を読んでいた時暴行、暴力はいけないと思っていた心はいったいどこへ行ってしまったのだろうか。あの時の心そのままであれば彼女は退院後にパトカーの中にいなかっただろう。


「このパトカー渋谷には行かないですよね」


彼女は警官に尋ねた


「え?少しは反省したらどうなんだ。渋谷?行かないよ。君が暴行したのは県内だろ」


「そうですよね。良かった」


「良かった?暴行は良くないよ」


「いえ、そのことじゃなくてですね、このパトカーが渋谷に行かなくて良かったと。私渋谷はちょっと苦手なんで」

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 なぜ「狭初暑親」ではないのかと小一時間
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