最上位加護
勇者が何故最強と言われるのか。それは世界共通の認識であり。冒険者や、王国騎士じゃなくとも誰もが知っている事だ。
個人スキルは強力な攻撃系を幾つも使い。攻撃魔法や回復魔法までも万能ではないが扱う事ができる。一人で支援なしに戦う事の出来る勇者は正に鬼神と言っても過言ではない。
ここまででも化物級に強いのは分かるだろうが。
だが、勇者には更に特別な加護がある。
【神々の加護】
自身の全能力値アップ(大)
魔法耐性 (大)
状態異常無効
即死無効
神々の寵愛を一身に受けているだけあり、とんでもない加護を受けているのだ。
そして俺に追加された加護は勇者から贈られたステータスアップだ。
【勇者の加護】
自身の全能力値アップ (大)
勇者が認めた相手に贈られる加護。
これがあったからこそ魔王を討伐する時、周りのメンバーが更に活躍出来たと聞く。
能力アップ系の最上位の加護だ。
そして極めつけはこれだ。
【勇者の祝福】
状態異常無効
即死無効
一生に一度きり、勇者と強く深く結ばれた者だけに贈られる特別な加護、勇者の祝福。
多くの魔物などが使ってくる状態異常攻撃を、この世界では支援魔法、回復魔法使いが防ぐために存在しているのに、それを必要とせず、全て無効化することの出来る勇者の祝福は最早ぶっ壊れ加護と言ってもいい。
これも状態異常無効系の最上位加護なのだ。
一生に1人にだけしか贈れない祝福を俺なんかの為に……
「なぁ……俺なんかの為に勇者の祝福を贈ってよかったのか?」
するとリリィは恥ずかしそうにアルトの頬に軽くキスをしてこう言った。
「世界で一番大切な人を守りたいと思った……それがアルト」
「――っ」
大切な人……か。
俺はただ自由にして欲しかっただけなのだが。
こうなっては俺も覚悟を決めるか。
人類最強の人間から贈られた最上位の加護。他の上級職でも手にすることの出来ない加護をこの俺が手に入れてしまうとは。
これだからこの世界は面白い。
「分かった。 お前から貰った祝福はありがたく貰う。 俺はお前と一緒に更に強くなるぞ」
「うん。アルト」
抱き寄せたリリィを胸に俺は成り上がると誓ったのだ。