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忙しい人のための「PanDemonicA/0」パンデモニカ第0部


幼馴染と悪夢

 チューヤとサアヤは幼馴染み。チューヤは授業中、奇妙な悪夢を見ていた。

 夢の中でサアヤは黒い影に飲み込まれてしまい、チューヤは「西荻、どこさ」と尋ねる目玉と目が合う。


鍋部の活動と不可解な出来事

 物語は、高校生のチューヤと、彼を取り巻く個性的な友人たちの日常から幕を開ける。週に3回、放課後に食材を持ち寄り、鍋を囲むという一風変わった活動をする「鍋部」。

 メンバーは、幼馴染のサアヤ、格闘技に情熱を燃やすリョージ、お金持ちで頭脳明晰なケート、無気力系女子のマフユ、そして謎の美少女ヒナノ。一見、普通の高校生グループである彼らの周りで、不可解な出来事が起こり始める。


日常と異変の始まり

 その日の帰り、石神井公園で事件は起こる。異世界線が「侵食」してきて、人間たちが悪魔に食われていくありさまは、まるで映画だ。

 いつものようにプレイしていたゲーム『デビル豪』と現実世界との奇妙なリンク。この世界に悪魔が実在し、人間社会に深く関与しているという設定が現実となった。

 それは「侵食」と呼ばれる事象で、世界各地で起こっているが、日本では10月14日(鉄道の日)からはじまったという。「あちら側」の世界線に住む悪魔たちが、「こちら側」の世界に満ちる豊かさを奪おうとしているらしい。


悪魔相関プログラムの内在化

 チューヤは、自分のことを知っているらしい妖精ピクシーから「デメトリクス・カプセル」なるものを渡される。それは人間の潜在能力を引き出し、悪魔を召喚する「悪魔使い」としての能力を覚醒させるものだった。

 「悪魔相関プログラム」を内在化させるナノマシンは、適性ごとに4タイプあり、チューヤはそのうち「召喚」タイプの能力者であった。自らの身体に秘められた力を目覚めさせ、仲間たちと共にはじめての戦闘をなんとか克服する。


受け入れられない現実と仲間との戦い

 容易に人が死ぬ過酷な現実を受け入れられず、引きこもるチューヤの社会復帰を促すため、サアヤは毎日のように友人たちを連れてきてくれる。

 最初の戦いの舞台は、石神井公園駅。リョージとともに訪れたホームで、チューヤたちは堕天使サレオスと対峙する。未だレベルの低い一同だったが、サアヤの回復魔法や、リョージの冷静な判断、そしてチューヤ自身の成長により、激闘の末に勝利を収める。


深まる謎と強大な敵との遭遇

 戦いを重ねるごとに、チューヤたちは自らの運命、この世界に隠された真実へと近づいていく。公園の下に広がる巨大な地下神殿、病院で目撃した異形の院長、そして姿を現す強力な悪魔たち。

 異世界線にはもうひとりのチューヤがいて、どうやらこちら側のチューヤに助けを求めているらしい。ピクシーが知っていた「ニシオギのアクマツカイ」も、どうやら異世界線における自分自身を指しているようだ。

 病院では多くのことを知らされた。チューヤ自身の出生の秘密、幼いころに亡くなった母親の真実。それは、彼の運命を大きく揺るがす、過酷な真実だった。


邪教の概念と信仰の利用

 数々の困難に立ち向かう中で、チューヤは仲間たちとの絆を深め、悪魔使いとしての能力を高めていく。とくに「鍋部」に象徴されるごった煮の要素は、「悪魔合体」という特殊な技法とチューヤをつなげていく。

 戦闘経験を通じて成長するだけでなく、仲間たちのガーディアンである古代生物ハルキゲニアや、財宝を守る悪魔カーバンクルなど、個性的な悪魔たちとの交流も糧として、こちら側のニシオギのアクマツカイは育っていく。


病的な信念の不安

 サアヤもまた、自身の過去と向き合いながら、仲間を守るため、そして大切な人を失った悲しみを繰り返さないため、強くなっていく。

 その決意のあまり、親戚にあたるアマヒコくんが死んで楽になることを、けっして許さなかった。彼は生きて罪を償わなければならないのだと、禁断の呪禁を行使するサアヤ。無理やり蘇生させられたアマヒコくんは呆然として、自分が殺した店員たちに取り憑かれ、苦しみながら生きなければならない。

 彼女はけっして「敵を殺さない」。ひたすら回復魔法を極めていく彼女に対する漠然とした不安を、鍋部の一同も共有しつつある。


それぞれの正義

 東京拘置所は、神と悪魔がせめぎあう重要な戦場と化していた。そのなかでケートも、過去のトラウマを回収しようと試みるが、重要な敵を逃してしまう。

 一方、一神教の総本山である神学機構の内部に走っている亀裂が、弁護士の榎戸や犯罪者の志村などをまじえて浮き彫りにされていく。やがてヒナノの重要な保護者であるガブリエルが、査問(異端審問)にかけられることになる。

 ヒナノは過去のトラウマと向き合いながら、自らの正義のために戦うことを決意する。バンシーの攻撃にひるむことなく、その死は自業自得であると言い放つ。これはヒナノの精神的な強さ、そして彼女が背景とする「一神教」の揺るぎない意志を示すものだ。


交流と成長

 チューヤは組み合わせを変えながら、仲間たちとともにひとつひとつ、クエストをクリアしていく。そんななか知り合った他校の女子高生鷹匠・石野は、のちのエジプト勢とのかかわりを予感させる。

 またゲーム会社の室井という謎の人物は、そうとう危険な知識を身につけたインサイダーであり、彼からは多くの世界の「背景」について知らされることになる。室井の開発したゲーム『デビル豪』が、なぜこれほど現実を映しているのか。彼は異世界線に魂を売ったクリエイターなのか。あまたの謎を積み上げて、第0部は終わる。



まとめ


 この物語は、悪魔の侵略によって日常が侵食されていく世界で、高校生たちがそれぞれの正義を胸に戦う姿を描いています。主人公チューヤは、幼馴染のサアヤや仲間たちとともに、悪魔や天使を交えた壮絶な戦いに身を投じていきます。

 非日常的な出来事と日常的なシーンが交錯し、サスペンスとユーモアを織り交ぜながら、物語は怒涛の展開を見せます。緻密な設定と魅力的なキャラクター、そして予測不可能なストーリー展開が読者を魅了する、新感覚のライトノベル作品と言えるでしょう。



主要キャラクター紹介


●チューヤ

 ○この物語の主人公であり、高校生の少年。

 ○友人に影響されやすく、プロレスやゲーム好きになったが、本質的には鉄道オタク。

 ○母親は彼が生まれたときに亡くなっており、その原因は彼の特異な遺伝子によるものだった。ちなみに父親は警視庁の刑事で、ほとんど家に帰らないほどのワーカホリック。

 ○当初は引きこもり気味だったが、サアヤやリョージら友人のおかげで社会復帰に成功しつつある。

 ○悪魔使いとしての能力を持ち、ピクシーやケットシーなど、さまざまな悪魔を召喚して戦う。

 ○戦闘時には、ナノマシンを使って極度に集中する「魂の時間」を使い、敵のタイプや行動パターンを予測するなど戦略的な指揮をとる。


●サアヤ

 ○チューヤの幼馴染で、普通科のクラスメイト。

 ○明るく社交的な性格で、周囲の人々から好かれている。とくに昭和歌謡に通暁し、おじいちゃんおばあちゃんからの人気は絶大である。

 ○チューヤに対しては、時に叱咤激励しながら、彼のことを気にかけている。

 ○回復魔法を得意とする「魔法」タイプで、戦闘では仲間のサポートを主な役割とする。

 ○交通事故で弟を亡くした過去があり、「死」に対して強い拒絶反応を示す。そのため、どんな命も大切にしようとする強い意志を持つ。

 ○相模原のおばあちゃんから教わったおまじないや民間伝承に詳しく、時にはそれらを応用して周囲を驚かせる。


●リョージ

 ○工業科の生徒で、チューヤの友人。

 ○建設会社の現場監督の息子で、自身もアルバイトに精を出すなど真面目な性格だが、プロレス好きの戦闘民族なので一般には不良とみなされている。

 ○料理上手で、部活の料理はほぼ彼が担当する。

 ○父親のコネで得た情報によると、東京の新地下鉄「川の手線」の工事は完了したとされているものの、実際にはまだ終わっていないらしい。

 ○ナノマシンで得た能力は「特技」で、悪魔のアビリティを体得して使用できる。

 ○ミシャグジさまの力によって、戦った悪魔の力を吸収する能力を得た。


●ケート

 ○裕福な家庭の出身で、国石高校のエリート層である理系特進に通っている。

 ○周囲からは、努力家ではなく「生まれながらの勝ち組」と見なされている。

 ○典型的な「天才」で、「魔法」と「特技」を両方使いこなす。

 ○バイセクシャルで、チューヤとサアヤのことが同じくらい好きなので、ややこしいことになりやすい。

 ○幼い頃に、人身売買業者に虐待されていた少女・あいと交流があり、彼女を救えなかったことを後悔している。

 ○コンピュータに詳しく、神学機構のサーバに侵入しようとするなど、ハッカーとしての能力も高い。

 ○インド系の教育係との関係から、多神教であることを公言している。


●ヒナノ

 ○国石高校のエリート層、文系特進に通う美少女。

 ○由緒正しい名家の出身で、周囲から媚びられる存在。クリスチャンである自身、「世界の半分」を背負っているという自負がある。

 ○その一方で、周囲と必要以上に深く関わろうとせず、孤独を抱えている。

 ○遠い親戚である妙子がイジメに遭っているのを知りながら、見て見ぬふりをしてしまい、後に妙子が自殺したことに責任を感じている。

 ○特定の信仰に依拠した正義感が強く、悪魔の存在やその行為に対しては厳しい態度を取る。

 ○一神教の総本山である神学機構に属し、天使と契約して得た攻撃的「魔法」の力で悪魔と戦う。


●マフユ

 ○商業科の女子で、鍋部の仲間。

 ○高身長で男まさり、じつはサアヤのことが好きなレズビアン。

 ○ぶっきらぼうな言動が多く、しばしば「ダーク」な行動をとる。兄貴分であるロキは、反社会組織の頭目で世紀のトリックスター。

 ○過去に成田先生に退学の危機を救われたことがあり、彼女には恩義を感じている。

 ○身体能力が高く、ナノマシンで得た「変身」の能力で、徐々に人間をやめていく。

 ○「シキュウ同盟」に深く関わっており、そのことが原因で、物語が大きく展開していくことになる。



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