俺の役割
案の定、次の日の練習は無くなった。
朝に萌美から休むと連絡があり、直後に日比谷先輩が中止を告げた。
以降グループに動きはない。
これはダメなやつだ。
先輩がまだキレてそうなのが文字だけでも伝わってくるし、萌美の方はそのうち「私は辞めるから別のボーカルを探してください」なんて言い出しそうだ。
数分考えて、萌美にラインを送った。
【起きてる?】
そのまま待っても反応はない。
昼になり俺の腹が減る頃になってもトークの最終更新は十時のままだった。
あいつはもう見ただろうな。見ていて、無視をするタイプだから。
そのあと午後五時を回っても、既読は付かなかった。
今日が終わる。
なにもしないまま……。
可哀想ではあるが、彼女が時間を以て気持ちを整理するのを待っていられるほど、ゆとりがなかった。
申し訳ないと思いつつも、俺は無理やり引っ張り出す作戦に出ることにする。
【昔いってた一丁目の公園で待ってます。来ないと卒アルを晒します】
付き合っていた頃の帰り道、もっと一緒にいるためにわざわざ遠回りして寄っていた。
相変わらず質素な公園だ。石造りの椅子が数個まばらに置かれているだけの。
座ると、椅子はまだ日中の熱を保っていた。
俺が右、彼女が左、それが定位置だった。
今日もそれに倣って左を空ける。
何の話をしてたかな。
きっと記憶に残らないような下らない内容だろう。だけど、あのとき確かに満たされていたという感覚がここには残っていた。
風で木の陰が揺れて、葉がさらさらと鳴る。
すぐ隣の児童公園から、子供たちの楽しそうな声が響く。
やがてそこに足されて、下履きがザッザッと土を踏む音が近づいてきた。
良かった。出てきてくれて。
「おー」
声をかけると彼女は苦笑いを作った。
萌美は小さく手を振り、半人分のスペースを開けて隣に座る。
今、肌が感じる熱は、彼女のものではない。
「今日はなにしてた?」
「なにしてたかな……。寝てたかも……」
嘘じゃないなと、無地でだるだるのTシャツ、無造作な髪を見て思った。
こんなとき、引きずる質なんだろう。
萌美はうつむいたまま、指先をこすり合わせている。
「なんでああなったのよ?」
「……。」
「なんでだろうね。あんまりよく覚えてない……かも……です。ごめん」
「日比谷先輩にめちゃくちゃ言われたとか?」
萌美は搾り出すように言葉を続ける。
「めちゃくちゃ……ではなかった、と思う。うん。いつも通りか、ちょっときついなぁくらいで……。なんだろうね。他のこととごちゃごちゃして、わかんなくなっちゃった」
曖昧な返事だ。
けど反応的に、先輩に対する拒否感は薄そうにみえる。
「先輩もちょっと焦ってるのか、最近アレだよな……。でも萌美のこと嫌いとかじゃなくて、純粋にクオリティ上げたいってだけだと思う。キツいけどな」
俺は萌美を気遣いながら、先輩をフォローして、返事を待つ。
萌美はうつむき、ただ足元をじっと見つめていた。
「……。」
「うん、私もそれはわかってる……」
「つもり、だったんだけどね……」
「さっき言ってた、他のことってなんだ? テストも近いのに……とか?」
「うーん……。」
「私、アカペラ始めたの、最近でさ。なのにいきなり、本大会までいけちゃって。でも、曲は増やさなきゃで……。もう時間もないのに。焦って、技術も足りないし、迷惑かけてるなって、思ってて……」
「いっこ……、ほんとに苦手なとこがあってさ、昨日またうまくいかなくって、怒られちゃったときに、色々考えちゃって、頭がいっぱいになっちゃった」
「迷惑とか思ってないぞ俺らも」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけどさ、みんな思ってると思うんだ。もっと上手いバンドいっぱいあるのに、どうしてあいつらが本大会なんだって。実力じゃないだろって、言ってる人も、いてさぁ……。あぁ、私のことだなって……。私がボーカルやって、なかったら、みんなまでそんな、こと、言われなかったのにって……」
肩を震わせ、目尻からこぼれた涙が頬を伝った。
追い詰められて、うまくいかない責任を自分で引き取り、周囲の讒言も全て背負いこんで。
その結果がアレだ。
言ってくれたら、気持ちを共有できたのに。
日比谷先輩だって周りの雑音を一蹴してくれていたかもしれないのに。
「萌美だけのせいじゃないよ。俺らも高校でやってたレベルと、大学のレベルが違いすぎてビックリしてんだから」
「そう、なんだ……」
「実力で言ったら、市原さんのバンドとかが落ちてるのみるとさ……。確かに実力だけで選ばれたとは言い切れないけど。ほら、テレビだからさ、実力だけを見てるわけじゃなくて、他にも色々加味された結果、俺たちが良いってなったんだよ」
「そう……かも、しれないね……」
そう言ってたのは日比谷先輩だけど、と付け加えると萌美は納得したように「そっか」と呟いた。
「日比谷先輩のこと完全に嫌になったわけじゃないんだな」
だったら、どうにかなると思った。
「うん……。私ができてないのは、ほんとだし、時間がないのも分かってて。でも頑張れると思ってたのに……。あそこの和音がどうしても気持ち悪くて、でも、まほ先輩はそういうものだからって感じで、つらいのが重なって、かなしくて。あぁなっちゃった。ほんとダメだ私……」
「萌美はさ、もうアカペラ甲子園、出るのやめたいと思ってる?」
そう聞くと、萌美はようやく俺に顔を向けた。
「やめたくない。出たいよ。出たいけど、どうしていいかわかんない。こんな風に他人にあたっちゃったことなくて。私たぶんひどいこと言っちゃったし、戻れないよ。きっと先輩ももう私とはやりたくないって……」
「やめたくないんだよな? じゃあ日比谷先輩は俺がなんとか説得するから。あと萌美がまた頑張れるかどうかだと、俺は思ってる」
「……。」
「うん……」
「できるなら、頑張りたい……です」
「できる! 僕にはわかるんだ。萌美。君にはできるって」
言って俺は、洋画っぽい大げさな身振りをしてみせた。
「あは……。それこの前みた映画のやつじゃん」
そこで今日、初めて萌美の明るい顔を見た。
鼻水をすする彼女にハンカチ差し出す。
少しして、落ち着いたみたいで余裕も出てきた。
「ねぇフジモトさん、なんか私の扱い上手くない? 今日の呼び出し方もずるいし」
「まぁ元カレだからかもな。そしてあれは未読放置するお前が悪い。あと、」
「明後日の練習来てくれよ?」
「うん……。先輩のこと、よろしくお願いします」
あれこれと考えた末、日比谷先輩に送る内容は「今日会えませんか?」というシンプルなものになった。
メモ帳に下書きしたそれをキモくもガッついても見えない時間に送って、返ってきたのは、
「電話じゃだめ?」
という、意訳して『会いたくはない』という旨のNOだった。
確かに話は電話でもできる。
だけど正しく伝わらない事もあるから。
先輩も引っ張り出す、そのための算段が俺にはあった。
【大事な話は面と向かってしないとって言ってたのは、先輩じゃないですか】
先輩は自己矛盾を嫌う人だ。
自分の言葉は裏切らないはず。
きっと嫌々承諾してくれる。
そう思っていたのに返事はなんとも子供じみていた。
【日比谷先輩:きょうはいやだ】
もう、うちの女子達はどうしてこうめんどくさいんだ。
【家にいますよね? 今から先輩の家行きますからね】
送信して家を飛び出し、その身一つで電車に乗り込む。
冷静に考えて家にいなかったらどうするのかという話だけど、最悪帰ってくるまで待てばいいって事にした。
先輩の最寄り駅は半蔵門駅だと言っていた。
あとは向こうに着いたらわかるだろう。
乗り換えの合間にラインをみても、既読はついてなかった。
駅から徒歩数分の高層マンション。アレの十四階に先輩の家があるはずだ。
辺りにも似たようなタワマンが密集していて、高級住宅街というか、この辺りの地価の高さを伺わせていた。
エントランスの椅子に座ってラインを開く。
既読はまだない。
【下で待ってます】と伝えて、来なかったらスタンプ連打。それでもダメなら家族の方には申し訳ないが呼び出しのインターホンを鳴らして、なんとか降りてきてもらう。
結果的には一つ目だけで済んだ。
既読はすぐに付き、不機嫌オーラを纏った先輩がオートロックの向こうからやってきた。
「ハァ、ほんとに君は……。もし僕が降りて来なかったらどうする気だったんだか……。それと、よく覚えてたね、僕の家」
忘れられる訳がない。ここには苦い思い出を置き去りにしたままなんだから。
鬱陶しげな先輩を宥和するように笑い顔を作る。
「なんで返事してくれなかったんですか」
「眠かったんだよ」
わざとらしくあくびをして見せる先輩。
つっかけを踏み、すっぴんにメガネ。着ているのは胸元の空いたキャミソール。ヘアバンドで前髪を全開に上げ、後ろ髪はヘアゴムで束ねた明らかなオフの恰好だった。
先輩はクリスタルのテーブルを挟んだ対面にどすんと座り、膝の上で頬杖をつく。そっぽを向き一瞬だけ流し目で俺を見た。
「で、話ってなに?」
「バンドのことです」
「あぁ、萌美のことね」
「萌美と先輩のことです」
眉間にしわが寄る。
やはり先輩の中では、あくまで萌美の過失という認識のようだ。
「……それで?」
「どうしてあぁなったのか、聞かせてもらえませんか?」
先輩は「はぁ」とため息をついて、目をそらしたまま続けた。
「始めは曲についての議論だったんだよ。ここはこう。いやそうじゃないだろって。あの子が意見するのは珍しかったし、あと無駄に反抗的だったけどね。それはまぁいいよ。だんだん何を言っても『忙しい』とか、『余裕がないできない』って自分を正当化するようなことを言いだすから、『そんなの君だけじゃないよ』って。そうだろう?」
「最後には『もう出たくない』なんてさ。落選した他のバンドにも、一緒に組んでる僕らにも失礼なことじゃないかな? それに僕らが始まったのだって、萌美の一言があったからだよね。なのにその言葉は無責任じゃないか。それで僕も怒ってね。あとは君が見た通りかな。ほんと、甘えてるよ……」
先輩の理屈は息苦しい。
敷き詰められた正しさは、対立する者を許さない。
でも今は、それじゃあ困る。
「それは、もちろん良くないですけど。萌美は萌美なりに溜まってることがあって、それが爆発しちゃったんだと思いますよ」
「それはなにが言いたいのかな?」
「いや、その……。ただ、ちょっとは理解してあげてほしいなって」
そう言うと、一定のリズムで膝を叩いていた先輩の左手が止まり、
「はぁー。あのね……。それならまず僕にアプローチするんじゃなくてあの子にするべきじゃないかな。そもそもの原因はあの子にあるんだから」
「萌美とは昨日、話しました」
「へぇぇ~? 君の中では僕より萌美優先なんだねぇ……」
その目玉だけが動いて俺を睨んだ。
理不尽だ。先にあっちにいけよと言ったばかりなのに。
「単に家が近いからですよ……」
本当は少し、先に萌美のフォローをしないと、と思ったのもあったけど。
少しの沈黙のあと、
「それで、あの子はなんて?」
聞かれて、先輩に昨日萌美と話した事を伝える。角が立たないように気を配りながら。
練習やテストに追われてつらかったこと。
周囲の雑音や停滞感に責任を感じていたこと。
そして今、身の振り方がわからないこと。
その間先輩は、体を伸ばしたり身を捩ったり、落ち着かない様子で聞いていた。
「ふぅん……」
「それで?」
それでって……。
理解を示して欲しかったのに、突き放すようなことを言う……。
「萌美のこと許してあげてくださいよ」
「許す許さないの話じゃないと思うけどね」
先輩は頑なに、譲ろうとしない。
打っても響かない鉄のようだった
先輩は強い人だ。
他人に左右されず、自分が正しいと思うことを貫く強さがある。
だからこそ他人の弱さがわからない。
わかろうとしてくれない。
でもそれじゃ、ダメじゃないですか先輩。
「先輩にも言い方よくなかったとかあるんじゃないですか?」
「なに、僕が悪いっていいたいのかな」
「俺もきついなーと思うときありましたよ」
先輩は前のめりに姿勢を変えた。
据わった目が俺を捉える。
「そんなの彼女の技術が低いから増えるのは仕方ないだろ。初心者だったんだから。言わずに本番で恥を晒したほうが良かったのかな?」
「もっと、良い伝え方もあったでしょってことですよ。そうやって先輩が譲らなくて、萌美が戻ってこなかったらどうするつもりなんですか」
「どうしようもないよ。棄権になるか、また五人目を探すかしかないだろうね」
「それじゃダメだって先輩もわかってるでしょ!」
エントランスに自分の怒声がこだまする。
先輩の瞳が、わずかに揺れ動いた気がした。
「君は私を責めにきたの?」
言われて、途中から目的を忘れていたことに気づいた。
先輩があまりに頑なだったから。
確かに先輩は正しいんだろう。
でも俺は萌美の気持ちもわかってほしくて、これからも一緒にやると言ってほしかっただけだった。
だから先輩に非を認めさせようとするんじゃなくて、俺は意思を聞くべきだった。
なにしてんだよ俺は。
改めて、聞く。まだ俺の言葉が届くことを願いながら。
「先輩はこの五人で出たくないんですか?」
「この五人で出る以外の選択肢なんてないだろう。でもきっと無理だよ、こうなったら。人は感情で、自分の発言とか責任とか立場とか、簡単に投げ出すんだから」
先輩は遠い目をした。
高校の頃、何度か見てきた目だ。
皆始めはすり寄ってくるのに、やがて付いていけなくなって先輩から離れていく。きっとそれを何度も繰り返してきただろう彼女が語ったのは、諦めだった。
「あいつはきますよ。先輩が五人でやろうと思い続けるなら」
「ほんとかなぁ」
彼女は信じない。
「昨日そう言わせましたんで。だから先輩も今回は許してあげてくださいよ」
「だから、僕が許す許さないじゃないよ。萌美が今つらかったとしてもみんなで頑張るしかないんだから、できないことを正当化して欲しくないし、ましてや『出なきゃよかった』なんて絶対言うべきじゃない。それは変わらないよ。でも僕がどう思おうが、あの子は来るべきだ。続けるべきなんだよ。萌美は責任のある、トリルのメンバーなんだから」
先輩の本音に俺はホッとした。
なんだ、この人はある意味、最初から許していたんだ。
萌美の行動自体には怒っていても、一緒に続けることは、初めから。
いつも饒舌に喋るくせに、肝心なところは言葉足らずだ。
「だったら、大丈夫です」
「なんで言い切れるのかな。昨日は続けるって言ったとしても、建前かもしれないし、今日心変わりしてるかもしれないよね」
「元カレだからです」
先輩は呆れたように深々とため息をついた。
「はぁ。次の練習は明日の予定だったかな。もうキャンセルしちゃったから代わりにスタジオの予約を取っておいて」
「わかりました」
「もしあの子が来なかったら、どうするのかな?」
「引き摺ってきます。俺、あいつん家知ってるんで」
ふふ、と笑みがこぼれる。
目の前にいるのは、もういつもの、理性的な先輩だった。
「それにしても、やっぱり僕よりも先に萌美と話すことを選んだの、ムカつくなあ」
「なんでですか」
「君の中で、あの子の方が大事みたいじゃないか」
理性的な……?
「そんなことないですよ。家近いのが萌美だったってだけで」
「許せない」
えぇ〜。
次の日の夜練、やっぱり気まずいだなんだとグズる萌美を引き摺ってスタジオへ向かった。
先に受付で待っていた智誇と英輔さんは暖かく迎え入れてくれた。
「おかえり~」
「先日はすみませんでした」
謝る萌美に、二人は笑いかける。
「まぁいろいろあるもんなぁ」
「俺は信じてたぞ、余裕で」
受付を済ませて部屋に行く。
いつも通りにマイクを五本受け取って。
スタンドをセッティングし、ミキサーにコードを繋いでいると、ドアがガチャと音を立てた。
ドアの小窓からピンク色の髪が覗く。
来た。
日比谷先輩だ。
室内の空気が張り、萌美はびくっと体をこわばらせる。
「お疲れ様でーす」
俺たちはあくまで普段通りに挨拶を投げかける。
先輩も普通に「お疲れ」と返して、そのまま萌美に向き直った。
身長の高い先輩が萌美を見下ろす形になる。
圧がすごそうだ。
目が泳いでいる。
頑張れ萌美。
俺たち三人は脇で様子を見守る。
萌美がモジモジしている中、先に口を開いたのは先輩だった。
「僕は謝らないよ」
予想外の表明に面食らう萌美。
反射で「じゃあ私も謝りません」と開き直った。
全く、素直じゃない。
「君は謝るべきだろう。僕だけじゃなくてみんなにもね」
「みんなには謝りました」
「それは僕に大して失礼じゃないかな」
「先輩がそんな感じだからですっ」
智誇はあわあわと心配していた。「ちょ、あかんやん」って、袖口を引っ張られる。
まぁ大丈夫だから、見てろって。
「今日来たってことは二人とも、このまま一緒にやってくって事でいいんですよね?」
「はい!」
「当然だよ」
二人は揃って肯定の返事をした。
ほらな。
「ほんじゃま、今日も頑張るかぁ」
英輔さんは唇を弾いて音を鳴らし、マイクの調整をし始める。
萌美と先輩はようやく目を合わせると、
「遅れを取り戻さないといけないからね。もうやめるとかいうのはナシだよ?」
「それはいいません絶対に」
そこで初めて先輩は笑顔を見せ、白いタオルを差し出した。
萌美がそれを受け取る。
絵面から放出される、解決した感。
「え、何が解決したん?」
そして智誇はただ一人置いてかれている様子だった。額に無数のシワが寄っている。
確かに正直、何かが解決したわけではないだろう。日比谷先輩は相変わらずの性格だし、萌美の不安も据え置きで、時間に余裕ができたどころか余計に無くなった。
あと結局二人とも謝らなかったし。
だけど、これでもいいんだと思う。
お互いに言いたいこと言い合って、不満が爆発して、喧嘩になっても、それでもまだ一緒にやっていいと認識し合えたなら。
同じ目的に向かって、頑張ることをやめないと信頼できたなら。
きっとこれでもいい。
だから今日、二人が練習に来た時点で、雨降って地固まっていたのだ。
日比谷先輩は鞄から中身が二割くらいしか残っていないペットボトルを取り出して、その結露を萌美の額に押し付ける。
「ペットボトルの方もあるけど? 君が置いて行った」
「ちょ冷っ。い、いりませんっ!」
取って払う萌美。
楽しそうに笑う先輩。
そんな二人の様子を智誇は唖然とした顔で見ていた。
智誇には後で、説明しておきます。
どうせ今晩電話かかってくるからな。
余談になるが、この日の練習の時には、萌美が気持ち悪いと言っていた部分の和音は変更されることになった。
この数日の間に日比谷先輩は修正を加えていたらしい。
なら最初からそれを伝えればいいのにな。
ほんと、一言のとこで損してますよ、先輩。




