第91話 過激な儀式と不思議な少女
SIDE:ノエル
すっかり日が暮れて二つの満月が昇る夜になったころ。
エストランド領では私とアイリスの誕生パーティーの準備が進められていた。
なんでも子供が事故や病気で死にやすいこちらの世界では、子供が一〇歳を迎えたところで盛大に誕生会を開く文化があるらしく、つまみ食いを狙う私とシャルさんの前で母様とアイリスとイザベラさんとセレスさんが忙しなく台所を動き回って大量の料理をこしらえていく。
「母様! 毒見、毒見!」
「うむ! 客が毒殺されたら大変じゃからな!」
毒物がほとんど効かない私とシャルさんが毒見をする意味はほぼ無いけれど、母様たちはできたての料理が一番美味しいことをわかっているので、好き勝手につまみ食いをさせてくれた。
「どうだ?」
母様が差し出してくれたフォークにくっついた地竜肉の欠片を私とシャルさんは咀嚼して、同時に飲み込んでから素直に感想を述べる。
「「んんっ! 美味っ!」」
今回のパーティーには私の先生となるお偉いさんも招かれているため、シャルさんといっしょに毒見した料理の数々は、どれも抜群に美味しいものばかりだった。
イザベラさんが料理上手なのは知っていたけれど、本気を出したセレスさんの腕もまた凄まじい。
「……し、師匠がくる……あの師匠が…………」
ハイライトを失った目でブツブツ言いながら手だけは超スピードで包丁を動かすセレスさんは、フルーツで飾り切りのドラゴンを作ったり、魔法と料理を融合させた謎技術を使ったりして、珍しく本気で腕を振るっていた。
そして【保温】の魔法がかけられたテーブルに湯気を立てる料理が並べられたところで、エプロンを脱いだ母様が今度は包丁の代わりに愛用の黒剣を手にする。
「よし、料理の準備はひと通りできたから、私たちは教育係の歓迎に行ってくる。アイリスとシャルは私と、ノエルは屋敷の中で大人しくしているように」
普段はあまり武器にこだわらない母様が愛剣を持つのは、本気で相手を殺そうとする時だけ……。
異様に殺気立った母様の指示に従ってアイリスも美食を堪能するシャルさんを回収した。
「あっ!? ま、待つのじゃっ! その光るスープをもう少しっ――」
「――それじゃあ行ってくるわね」
チュッ、私の頬にキスを残して歩き去る婚約者は一〇歳を迎えたことで一段と大人っぽくなっていて、女神のような美少女の笑顔に私は独占されるのも悪くないと頬を染めた。
「気を付けてね? 怪我しそうなら無理しなくてもいいから……」
「大丈夫よ。あなたに寄りつく悪い虫は、私とメアリーで駆逐するから」
それぞれが武器を手に外へと出ていく女性陣は、今からエストランド領の入口に陣取るリドリーちゃんやマーサさんと合流するのだろう。
なんでも吸血鬼の間には『子供の教育を任せる者を家族総出で迎え討つ儀式』があるようで、家族の包囲網を抜いて子供の元まで辿り着くことで正式に教育係と認められるらしい。
我が家を中心に敷かれた防御網にはエストランド領の住人だけでなく普段はゴリアテにいる眷属や暗黒騎士まで参加しているから、この包囲を抜けるイメージが私にはまったく浮かばないけれど……世の中には万の軍勢を突破できる猛者が存在しているのだろう。
たぶん……きっと……おそらく……。
「……どうかその人が殺されませんように…………」
もしも教育係が迎撃されて吸血鬼教育を受けられなくなったらどうしようかと心配しながら、私は大人しく二階にある自分の部屋へと足を向ける。
二階の窓からなら戦闘の様子を遠目に見ることができるだろうから、私はみんなの邪魔をしないように教育者の無事を祈ることにした。
そして私が自室の扉を開けると、
「……あれ?」
そこには見慣れぬ赤髪ツインテールの女の子がいて……窓から差し込む月明かりに照らされた彼女は、私のベッドに数十枚の羊皮紙を広げて勝手にくつろいでいた。
うわ……すごい……。
アイリスレベルの美少女って他にもいたんだ……。
赤いドレスに包まれた膨らみはたぶんアイリスのほうが大きいけれど、その極限まで整った美貌に視線が釘付けになる。
そして不躾にも私が美少女を凝視していると、彼女は羊皮紙から顔を上げて薄い唇を動かした。
「こんばんは、いい月夜ね」
「あ、はい。今宵は双月が満ちる夜ですから……」
双月信仰が盛んなミストリア王国では二つの月が満ちる夜を神聖視する風習があって、きちんと眼帯を着けていることを確認した私は、ひとまず赤い女の子へと自己紹介をした。
「……はじめまして。僕はノエル・エストランドと申します……僭越ながら、麗しい姫君のお名前を頂戴しても?」
厳戒態勢のエストランド領に部外者が入れるわけがないから、もしかしたらパーティーに招待されたアイリスの友達かと思って貴族の礼をすると、彼女は私のベッドでくつろいだまま羊皮紙へと視線を戻した。
「あたしはプリメラーナ。楽にしていいわよ?」
ふむ……プリメラーナという名前はどこかで聞いた覚えがある気もするが……貴族の名前を覚えるのは苦手だから思い出せないや……。
しかしこの偉そうな感じは、高位貴族の娘さんで間違いあるまい。
とりあえず私は丁寧に対応した自分のファインプレイに胸を撫で下ろし、私のベッドに美少女がいる状態をアイリスに見られたら大変なことになりそうなので、プリメラーナちゃんを安全圏へと案内するためベッドサイドへと歩み寄った。
「よかったら下に美味しいお菓子が用意してあるから――」
と、しかしそこまで言いかけたところで、私は彼女が読んでいる羊皮紙の正体に気づいて、慌ててそれを奪い取る。
「――ちょっと!? 僕のメモ見ないでよっ!?」
ちゃんとリドリーちゃんに協力してもらって亜空間に隠しておいたのに……いったいどうやって取り出したんだっ!?
彼女が読んでいたのは、私が前世の知識を頼りに書き起こした発明メモだった。
戦闘用に開発したレールガンだけでなく、黒色火薬とか手押しポンプとかリバーシとか、こちらの世界でお金になりそうな知識を書き出しておいたメモ……。
さらに彼女から取り上げた羊皮紙の中には危険だから永久封印しようと思っていた『核燃料の濃縮方法』なんかもあって……そんなヤバい知識を盗み読みされたのは痛恨のミスと言えた。
「それ……あんたが書いたの?」
興味津々と言った感じでプリメラーナちゃんがベッドから立ち上がり、私が大事に抱える羊皮紙を指差してくる。
「う、うん……これはただ妄想を書き殴っただけだから……他人に見られるのは恥ずかしいというか……」
どうにか地球のオーバーテクノロジーを誤魔化そうとするが、プリメラーナちゃんは怪しい笑顔を静かに深めて、
「ふーん、なら――」
次の瞬間、私に細い指先と仄暗い殺意を向けてきた。
「――爆ぜちゃえっ♪」
ドクンッ、と完璧に制御していた全身の血液が操られ、全身の穴という穴から噴出して身体が内側から膨れ上がっていく。
「ぐっ!?」
咄嗟に血液操作を最大にしたから全ての血を操られることは避けられたけれど、慌てて吹き出た血を回収した私は、目の前の吸血鬼へと片手を向けて全力で反撃した。
「いきなり何すんだっ!」
「おっ!」
怒り任せに最大出力の血液操作をぶつけるが、しかしプリメラーナちゃんの血はビクともしない。
ええっ!? なにこの子の操作精度!?
鋼鉄みたいに硬いんですけどっ!??
小さい頃から鍛えてきた血液操作にはかなり自信があったんだけど……私は井の中の蛙だったということか……。
「ぬぐぐぐぐっ!!!」
全力でやっても一筋の鼻血しか流させることができなくて、得意分野で負けたことに私が本気で落ちこんでいると、ペロッ、と桜色の舌ベラで血を舐めたプリメラーナちゃんが今度は子供らしく笑いかけてくる。
「やるわねあんたっ! あたしに血を流させるとは、良いセンスしてるじゃないっ!」
……あれ? もしかしてこれって吸血鬼流のスキンシップ?
はじめて他の吸血鬼の子供と出会ったからわからなかったけれど、もしかしたら吸血鬼の間ではこうやってお互いの実力を見せ合うのが普通なのかもしれない。
河原で殴り合う不良みたいな?
一歩間違えれば身体が水風船みたいに爆発四散するスキンシップとか、流石は異世界の吸血鬼である。
彼女の血を動かしたことでそれなりに実力を認められたのか、プリメラーナちゃんは殺気を消して先ほどよりもフレンドリーな雰囲気で接してくる。
「キャハハッ! だけどあんた他人の血を操るのヘッタクソね? もしかして戦闘経験が少ないの?」
その的を射た指摘に私は頬をかいた。
「あー……昔はゴブリンとかを爆発させてたんだけど、最近は剣で戦ってばかりだったから……」
剣術修行にかまけて血液操作の修行が疎かになっていたことを告白すると、プリメラーナちゃんはこんな提案をしてくれた。
「それじゃあ、あたしがやり方を教えてあげる!」
吸血鬼の友達というのははじめてだから、その提案はとても有り難い。
「いいのっ!?」
「ええ! だから今からあたしのことは師匠と呼びなさい?」
偉そうに胸を張るプリメラーナちゃんには師匠って感じの威厳はまったくないけれど、おそらく背伸びをしたいお年頃なのだろう。
子供の遊びに付き合ってあげるのが大人の男というものなので、私は笑顔で同意した。
「はいっ! プリメラ師匠っ!」
「勝手に略すなっ!」
そんな突っ込みと同時に、今度はわかりやすく体内の血液が操られ、私の身体が背後の壁へと叩きつけられる。
そして、ビシャッ、と壁一面に血液が飛び散って、私は張り付けにされながら血を操るコツを掴んだ。
……ああ、なるほど。
他人の血を動かす時は直接操ろうとするんじゃなくて、思念波に命令を乗せて叩きつける感じでやればいいのか。
飛び散った血液を回収して壁から下りた私は、プリメラちゃんへとお返しをする。
「こんな感じ?」
二本の指を下から上に動かしながら思念を飛ばすと、今度は彼女の身体が勢いよく浮き上がって天井を貫いた。
豪快に突き刺さった頭を抜いたプリメラちゃんは、額に青筋を浮かべて私に凶悪な笑みを向けてくる。
「……やりゃあできんじゃない」
続けて彼女の身体を吹き飛ばしてやろうと思念波を飛ばすけれど、それはプリメラちゃんの思念波によって相殺されて、代わりに私の身体が壁へと叩きつけられる。
「すごいっ!」
ほんの数十秒で新しい技術をいくつも見せてもらった私は感動して、その後もプリメラちゃんと血液操作でしばらく遊び続けた。
ドッカン、バッコン。
ドッカン、バッコン。
ドッカン、バッコン。
そうして激しく吸血鬼流のスキンシップを繰り返していると、いつものように騒音を聞きつけたリドリーちゃんが私の部屋へと駆け込んでくる。
「こらーーーっ! さっきから危ない波動をバンバン飛ばしてっ! 家の中で暴れちゃダメじゃないですかーーーっ!!!」
扉を勢いよく開けて私と師匠の間に割り込んできたメイドさんに、私の吸血鬼友達はまた思念を飛ばした。
「邪魔すんなっ!」
しかし我が家の中でも破竹の勢いで成長しているリドリーちゃんは、
「ほっ!」
空間跳躍することで血液操作を避けて、小さな頭へと拳骨を振り下ろす。
「ふんっ、無駄よ――」
「あっ…………」
かっこつけてプリメラちゃんが薄い結界を張るが、その拳の脅威を知っている私が警告する間もなく結界が割られて、小さな頭に拳骨が突き刺さった。
「――んぎゃっ!?!?!?」
……ダメだよリドリーちゃん相手に適当な結界を張ったら……その子はお皿や結界を割るのが誰よりも得意なんだから……。
そして赤毛の頭にタンコブを作ったリドリーちゃんは、殴ってから相手が見知らぬ美少女であることに気がつく。
「……な、なんですかこの凶悪なお子様は? 今とてつもない殺気を感じましたよ?」
「え? そう?」
どちらかといえば彼女からとてつもない喜びの感情が湧き上がった気がするけれど?
その証拠に頭を押さえたプリメラちゃんは、瞳をキラキラさせながら顔を上げた。
「なによこいつっ!? あたしの【混沌障壁】貫くとかやるじゃないっ!!!」
その強そうな障壁に関しては後で張り方を教えてもらうとして……私は軽く拳骨を落とされた頭をさすりながらメイドさんへと首を傾げる。
「儀式はどうしたの? 確かリドリーは『歓迎』の最前線を任されていたよね?」
最近の彼女なら仕事を放り出すことはないだろうと思って訊ねると、リドリーちゃんも同様に首を傾げた。
「それが理由はよくわからないのですが……なぜか急に儀式が中止になったみたいでして……私はラウラ様から坊ちゃまたちを呼んでくるように言われたんです」
歓迎の儀式がこんなに早く終わるということは……。
「……教育者がメアリーにやられちゃったのかな?」
「……それはあり得るかもしれません……メアリーちゃん、ここの村人たちが引くくらい本気でしたから」
くっ……やはり我が家の防御網が厳重すぎたのか……。
これから私は教育係が(この世から)いなくなったことを告げられるのかもしれない。
「……とりあえずパーティー会場に向かおうか? プリメラ師匠もそれでいい?」
最悪の場合はプリメラちゃんを本物の師匠にしてしまおうかと血迷いながら確認すると、彼女は偉そうに薄い胸を張った。
「その舐め腐った呼び方は気に入らないけれど……ちょうどお腹が空いたから付き合ってあげるわ!」
……さっきからいい匂いが漂ってきてたもんね?
お偉いさんの許可も得たので、私たちは急ぎ足でリビングに行くことにする。
そしてリドリーちゃんに先導されてトコトコ階段を下りていくと、その道中でプリメラちゃんがこんなおねだりをしてきた。
「ねえ、ノエル? この子あたしにちょーだい?」
もちろん私は断固拒否する。
「絶対ダメ!」
「なんでよっ!? 弟子のものは師匠のものでしょっ!?」
「……ガキ大将みたいなこと言わないでよ……リドリーは僕の専属って決まってるの!」
「あんた弟子のくせに生意気ねっ!?」
「それとこれとは別問題だから」
だいたい彼女との師弟関係は遊びなのだから、大切な専属メイドを渡すわけがないのだ。
しかしプリメラちゃんはよほどリドリーちゃんのことを気に入ったのか、今度は私を無視して直接口説きにかかった。
「リドリーとか言ったっけ?」
「……なんですか?」
「あたしの従者になるなら巨万の富とか、巨大な城とかあげるわよ?」
「……間にあってますぅ」
「チッ……この程度じゃ靡かないか……」
「……僕の前で引き抜きするのやめてもらえる?」
「ちょっと坊ちゃまっ!? なんなんですかこの子っ!? これまで見たどんな人よりも足運びがヤバいですよっ!?」
そして騒がしくおしゃべりしながらリビングに入ると、そこでは美食に夢中になったシャルさんが一足先に食事を始めていて、テーブルに乗る生首を見てプリメラちゃんが目を丸くした。
「シャルっ!? あんたこんなところでなにしてんのよっ!?」
「む?」
シャルさんのもとまで駆け寄ったプリメラちゃんは、動く生首を恐れることなく捲し立てる。
「もうっ! かれこれ八〇〇年以上も探したんだからっ! どっか行くならせめてバイバイくらい言いなさいよねっ!」
「………………誰じゃ貴様は?」
「あっ!? またあたしのこと忘れたのか!? この空っぽ頭がっ!!!」
「なんじゃとっ!? このクソ生意気な小娘がっ!!!」
ふむ……シャルさんの頭が空っぽなことを知っているということは、この二人はたぶん知り合いなのだろうけれど……それより今の私には他に気になることがあった。
「……で? なんで父様は部屋の隅で土下座しているのですか?」
そして父様の横に並んで土下座する白髪のメイドさんは…………誰?
◆◆◆
SIDE:メルキオル
それはノエルたちがリビングに入ってくる少し前のこと。
エストランド領はかつてないほどの緊張感に包まれていた。
ルガット様にノエルの教育を任せるはずが……突如として現れた上位者の気配に、僕たちは儀式を中止してリビングの隅で土下座しながら彼女が下りてくるのを待つ。
本来であれば『面白そうなこと』は彼女への報告義務があるのだが……僕たちはノエルやシャルティア様のことを隠していたから、ここでエストランド領ごと消されるかもしれない……。
そんな恐怖によって室内は墓地のような静寂に包まれており、上から響いてくる『プリメラ師匠』という不穏な単語を聞いて、僕はさらに自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。
「……あの御方が弟子を取ることなんてあるのですか?」
少なくとも僕が知る限りでは彼女に弟子はいなかったはずなので、どうしても気になって隣で土下座する侍女に確認すると、冷や汗をダラダラ流しながらルガット様はか細く声を震わせた。
「……前代未聞の事態です」
彼女からファーストネームで呼ぶことを許されているあたり、僕の息子は本当に弟子として認められてしまったのだろう。
たとえ千年以上の時を生き筆頭眷属の地位を競う三公爵であっても、彼女の弟子を名乗ることは許されていないのに……。
ノエルが三公爵の誰かに弟子入りしたら才能豊かなあの子は吸血鬼界に大きな権力闘争をもたらすと思っていたけれど……どうやら我が子の才覚は僕の予想を大きく越えて、その上にいる最上位存在にまで興味を持たれてしまったらしい。
やがて二階からリドリーさんに先導されて子供たちが下りてきて、本来であれば【男爵級】の僕程度では滅多に会うことすら叶わない、裏社会を統べる女帝の楽しそうな声が聞こえてくる。
ああ……やはりリドリーさんも気に入られてしまったか…………。
本来であれば子供の教育者は家族総出で迎え討つのが僕たち吸血鬼の流儀だけど……彼女に関しては実力を試す気など微塵も起こらなかった。
やがてリビングの扉が開かれて、シャルティア様と再会した彼女が土下座する私たちへと冷たい視線を向けてくる。
「キャハッ♪ いい匂いがするわ~っ♪ 絶望に震える背信者の匂いがっ♪」
「「ひっ!?」」
果たして僕たちは生き残ることができるのだろうか……。
赤い死神。
少女の形をした破壊神。
鬼神の喧嘩仲間。
数々の暴力的な呼び名を持つ彼女は金月神ラグナリカによって生み出された吸血鬼の始祖にして、多くの神と英傑たちが死んでいった【神戦紀】を常に最前線で戦い続けた本物の神格者。
【鮮血皇女】――プリメラーナ・ヴラド・ラグナリカ。
試すまでもなく、彼女の実力は太古の昔から証明されている。
なぜなら僕たち組織の頂点に君臨する彼女こそ……『世界最強』と謳われる吸血鬼なのだから……。