ポテイト男爵によるジャガイモ料理のススメ①
私の名はポテイト男爵!
ポテト――ジャガイモをこよなく愛する変態紳士である。
ジャガイモは最高だ。
年中いつでも手に入る美味い食材の代表格と言ってもいい。
今日はジャガイモの素晴らしさを布教するため、その歴史や健康効果について簡単に触れつつ、オススメの料理を紹介したい。
それでは本題に入ろう。
まず歴史についてだが、ジャガイモは南アメリカのアンデス山脈が発祥の地とされている。
おい、異世界人なのになんでそんなことを知ってるんだって?
簡単なことだ。私はあくまでもポテイト男爵を名乗る変態紳士なだけであり、生粋の日本人だからだ!
ということで、ここで紹介する料理も日本で食べれるものが中心となるとだけ、先に言っておこう。
ジャガイモは他にも馬鈴薯と呼ばれるが、これは行政機関や学会により異なっている。
日本の行政では馬鈴薯と呼んでいるが、一般的にはジャガイモと呼ばれることが多いだろう。
その語源は、ジャワのジャガトラ(ジャカルタの旧名)から日本に伝来し、「ジャガタライモ」と呼ばれていたものが転じて「ジャガイモ」になった……と言われている。
馬鈴薯やポテトの語源についてはウィキペディアなどに書かれているので、気になる者は各自調べてくれ。
世界や日本に伝わった歴史は諸説あるため確証はないが、日本に伝わったのは1598年にオランダ人が持ち込んだという説が有力だ。
ジャガイモは世界中で食糧難を救ったとされるが、当然日本でもジャガイモは重宝された。
学校の授業で、戦時中はよくジャガイモが食されていたと習った者も多いことだろう。
寒冷地でも育ち、年に複数回の栽培が可能であり、地中に作られることから鳥害や踏み荒らしにも影響されないジャガイモは、まさに庶民の味方と言っていい食材だ。
しかも、米よりも育てるのに必要な水の量が少なく、栽培に伴う温室効果ガスの排出量も米や小麦よりも少ないため、環境にも優しい食材なのである。
その上、味も美味い。最高だ。
諸君 私はジャガイモが好きだ。
諸君 私はジャガイモが好きだ。
諸君 私はジャガイモが大好きだ。
どのくらい好きかというと、肉とジャガイモどちらかしか食べられなくなるとしたら、ジャガイモを選ぶくらいには好きだ。
恐らく色々な面で肉の方が無難だとは思うのだが、私は好みを優先する!
ちなみにこれは豆知識だが、ジャガイモは実はサツマイモやサトイモとは植物学上の分類が異なり、実はピーマンやトマトと同じナス科の作物である。
そして根菜だと思われがちだが、実際食べているのは茎の部分だったりする。
嘘だと思うなら調べてみてくれ。
さて、そんな私の大好きなジャガイモについて、味や栽培面以外の優れた要素について語っていこう。
ジャガイモは炭水化物であり、調理方法の関係もあって太るイメージがあるが、実は低カロリー食材である。
同じサイズのバナナよりもカロリーが少なく、エネルギー量は白米の半分以下。
それなのに栄養は豊富で満腹感を味わえるため、ダイエット面で見ればかなり優れた食材と言えるだろう。
粉吹芋やマヨネーズ控えめのポテトサラダなどがダイエットにオススメだ。
栄養面で有名なのが、ビタミンCが豊富に含まれている点だ。
なんでも、150g程度のジャガイモでも1日に必要なビタミンCの約15%が含まれているらしい。
これはリンゴの約5倍で、フランスでは「大地(畑)のリンゴ(pomme de terre:ポム・ド・テール)」と呼ばれている。
ビタミンCの効能については言うまでもないと思うが、美容面で言えば肌のコラーゲンの生成を助けるため美肌効果があり、ストレス対策などの効能があるため女性にもオススメだ。
……とはいえ、単純なビタミンCの含有量ならば他にも優れた食材はいくつかある。
今の世の中、必ずもジャガイモ取らなくてはならないということはない。
しかしジャガイモの場合、加熱してもそれが損なわれにくいという特徴が存在する。
本来ビタミンCは熱に弱いのだが、ジャガイモの場合は主成分のデンプン質に包まれているため、加熱調理をしても失われにくく、長期保存をしてもほとんど損失しないという利点があるのだ。
これは、料理で摂取するという点では見逃せない特徴と言えるだろう。
また、ビタミンとしては他にビタミンB6が豊富に含まれており、補酵素の役割を果たすほか、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質生成にも必要となる。
つまりジャガイモを沢山食せば、メンタルヘルス対策にもなり得るということだ。
他にもカリウムやコリン、クロロゲン酸、パントテン酸、食物繊維といった健康面で優れた成分が豊富に含まれており、芋類としては珍しいアルカリ性の野菜であるため尿酸増加も防げると、まさに良いことづくめ!
……どうだろう?
ジャガイモの素晴らしさが、少しは伝わったのであれば良いのだが……
では最後に、私からオススメしたいジャガイモ料理を紹介しよう。
①フライドポテト
ジャガイモ料理と言われて真っ先に思いつくのが、このフライドポテトだろう。
最高に美味いので、私も大好きだ。
しかし、健康的食材でありながら、フライドポテトは基本的に体に悪いとされている。
主な理由は、高カロリーなことと塩分量の多さだ。
当然これはジャガイモ自体が悪いワケではなく、油で揚げる料理全般に言える問題ではあるのだが、具材の面積の小ささから油の摂取量が多くなるため、大量に食べると太りやすくなる。
しかし、優良健康食材であるジャガイモなので、もちろん悪い面だけではない。
まず、上記で少し触れた栄養素であるカリウムは、水に溶けるという性質を持っている。
カリウムには高血圧や動脈硬化、むくみや糖尿病の予防効果があるのだが、茹でてしまうとそれらが失われる可能性があるのだ。
(カリウム自体が破壊されることはないため、煮込み料理やスープなどで汁ごと接種すれば回避は可能)
その点フライドポテトはカリウムが接種しやすいという点で優れた料理だ。
(ただし、腎臓病の者は高カリウム血症になる可能性があるので注意が必要)
つまり、カロリーなどの問題点を解決すれば最高クラスの料理になるということである。
こればかりは自分で調理しないと調整できないが、健康的に仕上げる重要なポイントを記載しよう。
・揚げない、またはオリーブオイルなどのヘルシーな油を使用する
・塩分控えめな調味料を使用する
・皮ごと調理する
フライドなのに揚げないというのは矛盾しているが、オーブンなどで調理すればソレっぽく仕上げることはできる。
とはいえ、やはり揚げた方が美味しいのは間違いないので、オリーブオイルなどを使用するのがオススメだ。
調味料については、昨今色々な減塩調味料があるので、それらを利用すればいい。
皮ごと調理するのは、皮が栄養面で非常に優れているからである。
皮には上記で紹介したカリウム、クロロゲン酸、食物繊維が特に多く含まれており、上記では触れなかったビタミンB2なども接種でき、中身以上に健康的な食材だ。
食物繊維は昨今注目されていることもあり説明不要とは思うが、便秘や癌予防、血糖値やコレステロールの急激な上昇を抑える効果がある。
そして、クロロゲン酸にも癌や糖尿病予防の効果があり、老化防止の効能まである。
油料理は高温のためアクリルアミドという発がん性物質が生成されるが、素材自体はご覧のように癌予防となる成分が豊富に含まれているため、昨今流行りの低温調理などを利用すれば実は健康的な料理になるのだ。
いずれにしても食べ過ぎず、適量を守れば決して悪いだけの料理ではないため、避けている者も改めて注目してみて欲しい。
実はこの作品を書いている今も、上記を考慮して私自身が作ったフライドポテトを食している。
皆も食べてみるといい……、飛ぶぞ。
②ポテトサラダ
本当は他にも紹介したいところだが、キリがないのでこれで最後にしたいと思う。
ジャガイモの素晴らしさは散々語ったので、ここではポテトサラダならではの強みを紹介しよう。
実はジャガイモは冷やすことで、デンプンでありながら消化されにくい「レジスタントスターチ」と呼ばれる難消化性のデンプンが形成されることがわかっている。
細かい説明は省くが、これは最終的に腸内細菌の栄養源となったり、有害な腸内細菌の増殖を抑えたりと、腸の動きを活発化させる効果をもたらす。
ただでさえ健康的食材であるジャガイモが、さらに強化されるのだ。
サラダなので他の野菜もたっぷり……、もはや最強レベルの料理と言っても過言ではないだろう。
当然だが調味料を入れ過ぎれば悪手となるが、適量であれば問題は無いし、最近はカロリーハーフなマヨネーズなどもあるので調整することも可能だ。
以上だが、他にもオススメの料理はいくらでもある。
健康面を考えず、単純に味だけで評価するなら、正直もっと沢山の料理を紹介できた。
ただ、昨今は筋トレやダイエットの動画でこれだは食べるな! という食べ物ランキングでコロッケやポテトチップスが紹介されたりと、悪い部分が取り上げられることが多い。
私からすればコロッケを禁じるなどとんでもない話だが、美意識が高い人や合理的な考え方をする人はジャガイモ料理というだけで避ける人もいることだろう。
しかし、だからこそ伝えたかった。
ジャガイモは何も悪くない、むしろ最高の食材だと!
私からは以上だ。
最後に、創作者に向けたちょっとした豆知識を後書きに記載しておくので、興味のある方は見て欲しい。
では、さらばだ!
創作者諸君、いや、厳密には異世界作品を書く作者に伝えたいことがある。
本編でも記述したが、ジャガイモの語源はジャワのジャガトラ(ジャカルタの旧名)だ。
そのため、そんな国が存在しない異世界でその呼称はおかしいと指摘するものがいる。
普通なら気にしないレベルの話だが、気にする者は一定数おり、そういった者に指摘されるのが面倒な場合は軽く説明を入れたり、呼称を変えるといいだろう。
大した手間ではないし、長い説明を入れなければテンポが損なわれることもないからな。
言わば「転ばぬ先の杖」的な対応だ。
それから、ジャガイモには実は薬用的効果がある。
湿疹、かぶれ、打ち身、くじき、やけどに効果があり、生のジャガイモをすりおろして小麦粉と酢を混ぜて布にに延ばして患部に湿布すると、痛みが和らぎ早期治療に役立つのだそうだ。
異世界転移した際、魔法に頼らず現代知識で戦う必要がある場合などに、ネタとして使用できるかもしれない。
以上だが、最後に一言。
私はハッシュドポテトが大好きだ。