上へ参っています
(あ〜うん……本当に相手を見た目で侮っちゃいかんわ)
空高く吹き飛ばされながらエアルはそんなことを考えていた。
クレアが真面目だった事や、シンリが素直に応じた事から只者ではないと思っていた。
武器が巨大なハンマーだった事から見た目に反してパワー系であるのも想像が出来た。
だが、まさか盾で受け止めたのにそのまま空高く打ち上げられるなど全く想像していなかった。
(身体は無事だから戦闘には復帰できるんだけど……麻痺の刻印が無かったらアウトだったろうな)
麻痺の刻印が施された武器では対象を傷付ける事はできない。
そのルールは無機物にも採用されており、イズの一撃を受け止めた盾には何の影響も出ていなかった。
これが実戦であるならば盾は粉々に砕け、衝撃を殺しきれないハンマーの一撃をモロに喰らっていたところである。
地上の方を見ると大剣使いのメイド、カプスがイズと激しい撃ち合いをしていた。
そして、その後ろからは弓使いのメイド、イリンが得意の5連射で矢を放ち援護しているのたが……
(おいおい、アレは何の冗談だよ!?)
カプスの大剣の使い方は重心を移動させることによって攻撃のスピードを高め、大剣らしからぬ高速の連撃を与える事を真髄としている。
だが、イズは大剣のスピードが乗ると思われた瞬間にハンマー打ちつけて勢いを殺していた。
そしてイリンからの矢であるが……まるでそんなものは見えていないと言わんばかりに無視し続けていた。
イズの身体に当たっては力なく地面に落ちていく矢の数々。
だが、イズの身体が麻痺する様子は一切見られない。
(いや、これは俺が戦線に戻っても出来ること無いんじゃないか?)
盾で攻撃を受けたら吹き飛ばされ、イリンの矢よりもダメージの低い剣で攻撃した所で全くの無傷。
打つ手無しとは正にこの事であろう。
(というか、俺はどこまで飛んで行くんだろうね?)
最早諦めから無我の境地へと至っていたエアルだが、突如として身体が引っ張られる感覚が起きる。
その動きに身を任せていると彼の身体は段々と地上に近づき、シンリの側へと着地した。
「シンリさん、助けられるならもっと早くお願いしますよ」
「冷静に観察した事で十分に頭が冷えたでしょう」
「そりゃ、もう十二分に……正直言ってどうやれば勝てるか見当もつきませんよ」
「そうですなぁ……貴方には無茶を頼みますが一理の望みをかけてこんな作戦は如何でしょうか?」




