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年の功より強い甘味

一日の探索を終えた後は学校の食堂で待ち合わせをしていた……のだが、程々で切り上げたクレア達の方が先だったらしい。


2人は其々に飲み物とデザートを注文し、受け取ってからテーブルへと運ぶ。


「2人はまだのようじゃな」


「あの2人のことだから限界までやるでしょ。

特にメローヌはシゾンの事ライバル視してるからね」


「普段は上品で大人しく見えるんじゃがのう」


「ウチの両親って男爵家でよく言えば誠実な人柄なんだけど、悪く言うとぜんっぜん貴族らしくないの。

領民と一緒に土いじったりしちゃうような人だったから。

だから私達も普通に平民の子達と遊んでたんだけど……メローヌはその中で常に一番になりたがってるような子供だったんだよね。

ガキ大将って言ったらいいのかな?」


「それはかなりヤンチャじゃのう」


デザートのプリンをつっつき、口元を綻ばせながらクレアが答える。


ファモはそれに頷きながら続きを話し始めた。


「でも、大きくなるにつれて貴族と平民の違いって分かっちゃうじゃない?

それでメローヌはそこでふんぞり返ってても仕方がない事に気が付いたの。

その日から貴族社会で通用するようなマナーや仕草を勉強していったのよね。

両親はそんな事する必要がないって言ったんだけど、自分がやりたいからやるんだって聞かなくて。

それで今の外面が作られたんだけど……根っこが変わってないのと、冒険者っていうのが元々の性格に合っていたせいか、外面崩さないまま内面を押し出してくる事が多くなっちゃった」


お手上げといった様子で両手を頭の上に上げるファモ。


「良いではないか。

話を聞いておる限り、無理をしたのでは無く、自分でやりたいようにやった結果があの姿なのじゃろう?

ならば内も外も全部ひっくるめてメローヌという人物なんじゃよ」


クレアの話を聞いたファモは驚いたように瞳を開く。


「やっぱクレアちゃんってずっと歳上なんだね」


「どうしたんじゃ、藪から棒に」


「いや〜最近はそうやってデザートを美味しそうに食べてるところばっかり見てたから実感無かったんだけどね。

なんか人生経験積んだ深いお言葉だったなぁって」


「80年は生きておるからのう……よっと」


クレアはそう言いつつ椅子から降りた。


「あれ?何処か行くの?」


「プリン、もう一つ頂こうかと思ってのう」


「……ごめん、やっぱ歳上って気のせいだったかもしれない」


真面目な話から他愛のない雑談へと移行しながら2人はお互いのパートナーの帰還を待つのであった。


今日からはいつも通りに一話ずつです。

流石に5日間で15話分あげたのはやり過ぎた気がしないでもないですね。

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