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裏で動く者

「本当に皆様にはご迷惑をおかけしました」


イズの監視の元でグラーダが深く頭を下げる。


「私の方からもお礼を言わせてください。

それに合わせて4人にはこちらをお礼として渡しておきますね」


イズはそう言ってカバンの中から幾つかのアイテムを取り出した。


回復薬、魔力回復薬、万能キーの3種類がセットになった物で、それを1人につき1セットずつ渡していく。


「それでは皆んな学校に帰るわよ!」


「まるで引率の先生みたいじゃのう」


「みたいじゃなくて実際にそうなの」


肩にナハトを乗せたエリーが先立って歩き、生徒4人を促していく。


それに合わせて4人はゾロゾロとついてギルドを退出した後……この場にはまだイズとキンハー、そしてグラーダとエメリアが残っていた。


「それで、何か掴めましたか?」


「明らかに外部からの協力が入ってるみたいやね。

元々はチンケな金貸しだったのに、仕事の規模が急激にデカくなっとる。

それにナハトを攫うのに分不相応なマジックアイテムを使いはったからね」


「言ってる事は分かるんですけど普通に喋ってくれませんか?

会話しづらいです」


イズがそう言うと、ヘラヘラとしていたキンハーの空気と表情が引き締まる。


「了解だ、ボス。

手を貸していた組織が何なのかまでは掴めなかったが、狙いは明らかにダンジョンだろう。

金貸しの方は下卑た目的だったみたいだが、グラーダを狙ったのもそこを狙ってのことだろうな」


「まぁ……そうでしょうね。

こう言う理由なんでグラーダさんが1人で頑張れば何とかなるという話でも無いんですよ。

これからは何かあったら頼ってくださいね」


「うう……分かりました」


既にイズによって心が折られたグラーダは半泣きになりながらも頷いた。


「ギルドの方で何かやるべき事は?」


「今の所は何もありません。

そちらのボスの情報網に何か引っ掛かることがあれば連絡をお願いします」


「分かりました。

こちらとしても学園に何かあれば大損失ですからね。

マスターには全力で働いてもらいますよ」


「皆さん、くれぐれも気をつけてください。

この一件は予想以上に根が深い気がします」


こうして主に3人が打ち合わせと情報のすり合わせを行い、イズとキンハーは学園へ。


グラーダは教会へと戻っていったのだった。


完全に締め切ったギルドの中で、1人と1人の会話がなされていた。


「それで……私の騎士様はこれからどう動くつもりなのかしら?」


「何も変わりませんよ。

私はギルドの受付嬢の仕事をこなしていくだけです。

私には姫様との時間さえあれば良いのですから。

ただ……」


「ただ、どうしたのかしら?」


「長い……永い人生の中でここ程愉快だった場所はありません。

この生活を脅かす存在がいるならば少しくらい手を貸してもと思わないでも無いですね。

まだその時だとは思いませんが」


「それじゃ、その時が来ることに期待しちゃおうかしら。

死んでからも楽しく過ごせるんだから人生って素敵よね」


「それは姫様だけです」

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