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戦いは数

「私が引きつけるから子供達を孤児院の中に!」


シゾンが叫び、チンピラ達と職員の間に割って入る。


「いい判断ね。

前衛はシゾンちゃんで私は後衛。

抜かれないように気をつけるのよ」


エリーはそう話している間に複数の魔法を展開する。


それらは全て補助強化の魔法であり、それらを一身に受けたシゾンの身体が淡く光る。


「おい、先ずはあの色っぽい姉ちゃんからやるぞ!」


チンピラの1人がシゾンの横をすり抜けようと試みる。


「そんな見え見えの方法で通すわけないでしょ!」


シゾンはロングソードを男の前に突き出して通せんぼする。


「おい、今だ!」


通せんぼされて動きを止めた男の後ろから、今度は2人の男が走ってくる。


「囮!?

ええーい、何とかしてみせる!」


シゾンは前に突き出していたロングソードの腹を、目の前の囮役に叩きつける。


「ぐへ!?」


シゾンはそのまま力任せに振り上げまでいくと、腹に引っかかった男の身体も一緒に浮かび上がる。


「飛んでけーーー!!」


シゾンが剣で囮役を投げ飛ばし先には、すり抜けようとしたチンピラ2人の姿が。


3人は男同士絡み合った状態で吹き飛んでいく。


「ちっ、情けない奴らめ。

俺がこの女の相手をしている隙にお前らは後ろの女を襲ってこい。

押し倒して好きにしていいぞ」


「流石リーダー、分かってる!!」


リーダーと呼ばれた男の指示で、残り5人のチンピラが一斉に動き出す。


「ちょっと!

行かせな……」


「おっと、あんたの相手は俺だぜ」


シゾンと同じように剣と盾を構えたリーダーは明らかに他のチンピラとは違う。


その男が前に立つとシゾンはそこから目線を外すことが出来なくなってしまった。


(少しでも他所に気を取られたらヤられる……でも、どうしたら)


チンピラが横を抜けていくのを感じながら、どうする事も出来ないもどかしさを感じた……そんな時であった。


空から黒い何かが飛来してくる。


それはシゾンを抜けたチンピラの前を横切るように動いて勢いを止め、そのまま空中で止まる。


「ここは我に任せるが良い。

この者たちに借りも返さねばならぬからな」


「あら、一回負けちゃったナハトちゃんに任せていいのかしら?」


「そう言われては返す言葉も無い……が、駆け付けたのは我だけでは無いぞ」


「なんかよく分からないけど助太刀するよ!」


「彼方の方々は如何も悪そうな雰囲気ですからね。

シゾンさん、こちらは任せてあなたは目の前の相手に集中を!」


「その声はファモにメローヌ!?

どうしてとか聞きたいところだけど、今は分かった!

そっちは任せるからね」


数で圧倒的に不利だったシゾン達であったが、急遽現れた2人と一匹の増援によって完全に息を吹き返した。


こうしてシゾン達のバトルが白熱する一方で、クレア達の方はと言うと……


「ぐぅ……」


「姐さん、すんまへんなぁ」


キンハーの振るったトンファーの先端がクレアのお腹に突き刺さっていた。



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