孤児院
少女の名前はリアと言い、孤児院で暮らしている事が分かった。
孤児院で詳しい話を聞く事にした2人は、リアを送り届けなつつクロちゃんの話を聞いていた。
「クロちゃんはいつもリアたちとあそんでくれるやさしいどらごんさんなのです。
わるいひとがきてもクロちゃんがおっぱらってくれるのですよ」
「悪い人?」
「こわいひとたちがたまにくるのです。
でも、クロちゃんがいてくれるようになってこなくなったのです」
「お姉ちゃん、これって……」
「恐らくはそういう事であろう」
クレア達はリアの話から、孤児院が何者かに狙われている……恐らく土地か子供狙いであるのだろうと当たりをつけた。
そして、クロちゃんことナハトが孤児院を守るために常駐していたのだろうと考えた。
「これは思ったよりも根が深い話になってきのう」
クレアがそう呟いたところで3人は孤児院へと到着した。
殆どの街でそうであるように、この街でも孤児院は協会の隣に建てられており、神職に就く者達で管理されている事が分かる。
「リア、どこに行っていたの!?
お二人が連れて来てくださったのですか!」
孤児院の職員と思われる年配の女性が3人の姿を見つけて駆け寄ってくる。
その様子を見るにリアは黙って出て来ていたらしい。
「せんせい、このおねえさんたちがクロちゃんをさがしてくれるのです」
「え、それはどういう……」
「リアの依頼を受けてやって来た冒険者じゃ。
話を聞かせてもらって良いかのう?」
職員に先ほどのやり取りを説明すると、最初は子供がと謝り断ろうとする。
だが、2人にはその意思は無く、受けた依頼をキッチリと遂行したいので詳しい説明を求めた。
職員はその話を聞いてやや安堵した表情を浮かべて経緯を話し始めた。
「彼らはいきなりやって来て、この土地の権利は自分達にあると言って私達を追い出そうとしに来たのです。
土地の権利書はこちらが持っている……筈でしたが、何故かそれは紛失しており、彼らの手にあったのです」
「盗まれたという事じゃろうな」
「恐らくはそうでしょう。
彼らは土地の権利書と引き換えに孤児院の院長の身柄の引き換え、もしくは金銭の要求をして来たのです」
「なぜ、院長を?」
「あ、ええっと……非常に申し上げにくいのですが、院長はその……スタイルが非常に扇情的と言いますか。
修道服に身を包んでいるにも関わらず男性達を魅了してしまうような方で。
無自覚で悪気も無いんですよ」
職員は言いにくそうにそう答えたため、シゾンの方は気付いていないようであったが、クレアの方は気付いてしまった。
これでもかなりオブラートに包んでいるんだろうなと。
「つまり、その院長を自分の手にする為にこのような事をしておると」
「はい……恐らくですが……」
くだらない理由ではあるが仕方のない事でもあると思う。
人を惑わすほどの美貌や色香を持つものというのは存在する。
「それで院長先生は今どこに?」
「院長は高レベルのプリーストでもあるので報酬の高いクエストをこなしに行っております。
暫くは戻られないかと」