見た目に引っ張られる精神
ムーンホースカフェを出た4人。
お店を手伝った影響で時刻は15時を過ぎていた。
「門限もあるしもうそろそろ帰ろっか」
「本当はもう少し見て行きたかったのですが……仕方ありませんね」
と言う事で帰ろうとし始めたところで意外な人物と遭遇する。
「あら、クレアちゃん達じゃない。
今日は遊びに来たの?」
白衣を着たスタイルの良い美人…‥エリーである。
「うむ、実に楽しませてもらったわい。
お主こそ街に用事かえ?」
「大した用事ではないんだけど……あ、そうだ!
クレアちゃんとシゾンちゃん借りていいかしら?」
エリーは何かを思いつくとファモとメローヌに尋ねる。
「え?そりゃ、2人がいいなら構わないけど」
「そうですわね。
あと、出来れば事情も教えて貰えると助かりますわ」
「大した事ではないのよ。
今から行く場所は街の冒険者ギルドなんだけど、ウチのダンジョンの一階層を突破した人は無条件で資格が取得出来るの。
だから、丁度いいから手続きしておこうと思って」
「そう言う事なら付き合おうかのう。
2人とも、悪いが先に帰ってもらっていいじゃろうか?」
「また明日ね〜」
ファモとメローヌと別れたクレア達は冒険者ギルドへの道を歩き始める。
「ふふふ、まさか師匠が若い女の子達と上手くやっているなんてね」
「お姉ちゃんも今は若い女の子ですからね。
さっきも……」
「あら、そうなの?
ふふふ、甘いもの美味しかったの……クレアちゃん」
シゾンから先ほどの様子を聞いたエリーはニンマリと笑いながらクレアに問いかける。
「う、うぐ。
この身体になってから色々と変わってきておるから仕方なかろう」
「それは私も同じだから気持ちは分かるわよ。
あと、見た目に精神が引っ張られる事もあるわね」
「どう言うことじゃ?」
「シゾンちゃんなら何となく分かるんじゃなくて?
お爺ちゃんと一緒にいた時にこんなに接しやすかったかしら」
「お爺ちゃんは接しやすい方だとは思いますけど……流石に今のような付き合いは出来ませんよ。
見た目通りの可愛い反応とかもそうですし、言われてみると結構変わったかもしれませんね」
「な、なんじゃと……!?」
自分の中ではクレーズ時代の渋みが残っていると思っていたクレアが驚愕する。
「まぁ、いいじゃないの。
それでシゾンちゃんと仲が深まって、クラスの皆とも上手く行ってるんだから。
さ、着いたわよ。
ここが冒険者ギルドよ」