クレア、心を放す
3-2です
少し修正しました。
「ぬおおおお、なんじゃ……この飲み物は!?」
クレアの前に出されたカップ、その中にはラテに蓋をするようにクリームが乗っており、更にその上からキャラメルソースをかけた上で細かく砕いたナッツが散りばめられていた。
「何でもここのお店の店主さんが独自に開発したキャラメルラテって飲み物なんだとさ」
「甘味好きの女性達に絶大な人気を誇るらしいですわ」
「早速飲んでみようよ!」
うぬがされるままにカップの取っ手を掴んで口に運ぶクレア。
「!!??」
その瞬間にキャラメルの甘さとナッツの食感、クリームの滑らかさにラテの味わいがいっぺんに口の中に入って混ざり、80年の人生で経験したことのない感覚が口の中を支配した。
「甘くておいし〜」
「評判以上の美味さだな」
「本当ですわね。
これだけでここに来た甲斐がありましたわ」
三人がキャッキャっと感想を言い合うなかで、クレアだけは放心したように動かなくなっていた。
「もしもーし、お姉ちゃん?」
「…………………はっ!?
いま、死んだ婆さんの姿が見えたのじゃ」
「あら……クレアさんはお婆様を亡くされているのですか?」
「あ、いやいや、違うよ!
多分だけどお姉ちゃんは、私の家のお婆ちゃんの事を言ってるんだよ。
クレアちゃんが家に来た頃に亡くなっていたんだけど、肖像画とかは沢山残ってるから印象に残ってたんじゃないかな?」
「そ、そうじゃよ。
とても優しそうな人で印象に残っておったんじゃな」
無意識に口走ってしまった単語を拾われてしまったので、慌ててフォローに入るシゾン。
その意図を察してクレアも即座にそのフォローに乗っかることにした。
「肖像画だけでそんなにインパクトに残るんだね。
ちょっと見てみたいかも」
「私も気になりますわ」
「それじゃ学校が夏休みになったら遊びに来なよ。
2人なら大歓迎だからさ」
「うむうむ、我が家の全力を持って持て成させて貰うぞ」
クレアとシゾンの言葉に「約束だよ!」と言いながら喜ぶ2人。
そうしてワイワイと会話を楽しみつつ甘味を突っついていたのだが……
「何だって!?」
何やら店の奥から野太い叫び声が聞こえてきた。
「すいません、ちょっと様子を見てきます。
お客様は気にせずにご歓談ください」
そう言って4人の注文を運んできたウェイターが店の奥へと消えていく。
どうしたのだろうかと4人でそちらの方向を見ると、先程までの冷静さが嘘のように慌てたウェイターが4人の元へと走ってきた。
「す、すいません。
不躾なお願いで申し訳ないのですが、どうか!
どうかこの店をお助けください!!」